グローバル連帯税推進協議会「最終報告書」を掲載します

既報通り、昨年11月からはじまったグローバル連帯税推進協議会(座長:寺島実郎日本総合研究所理事長)は、先月27日第8回目の協議会をもって終了し、12月中に最終報告書をまとめあげました。

 

最終報告書のタイトルは、『持続可能な開発目標の達成に向けた新しい政策科学―グローバル連帯税が切り拓く未来―』です。どうぞお読みください。

 

グローバル連帯税推進協議会「最終報告書」を読む PDF

 

簡単にコメントを:

世界の貧困問題や気候変動問題など地球規模課題に対処するための資金調達に関する国際的な議論は、2009年から2010年にかけて盛んに行われていました【注1】。2010年という年は、ミレニアム開発目標(MDGs)に関する第2回目のレビューが行われた年であり、同時に気候変動カンクン会合・COP16(「緑の気候基金」など資金問題で合意)が行われた年でした。

 

そこでの議論の特徴は、新しい資金源(革新的資金)の構想で、どの議論でも金融取引税などのグローバル・タックスの提案が行われています。また、気候変動では炭素に価格付けをした上での排出権取引や炭素税(含む航空・海上輸送税)などが提案されました。

 

ところが、税制を取った場合当該ビジネスセクター(金融、航空等)からの反発が強く、また政治の側からの強いイニシアティブが発揮されず、その後進展がみられていません。

 

今年7月に開催されたポスト2015開発アジェンダに向けた第3回国連開発資金会議(FfD3)でもグローバル・タックスを後景に退けています。原案では、金融取引税、炭素税、航空・海上輸送税、タバコ税などのグローバル・タックスが提案されていました (「成果文書のゼロ・ドラフト」2015年3月)【注2】。ところが、会議の議論の中で米国はじめとした強い反対があり、グローバル・タックスは「成果文書」から消えてしまいました。

 

そういう状況の中で、グローバル・タックスとしてのグローバル連帯税とは何か、それがなぜ必要なのか、そしてどのようなガバナンスが求められているのか等につき、じっくりと分析したのが本最終報告書です。どうぞ目を通していただき、ご意見を寄せていただければとてもうれしく思います。

 

【注1】

・「地球環境税等研究会」報告書(2009年3月 環境省)

・「保健システムへの革新的国際投資検討タスクフォース」(2009年3月 ブラウン英国首相・ゼーリック世界銀行総裁共同議長)

・「国際通貨金融システム改革についての専門家委員会(スティグリッツ委員会)報告」(2010年9月 国連)

・「開発のための国際金融取引についてのタスクフォース・専門家グループ」(2010年7月 開発のための資金調達に関するリーディング・グループ)

・「国連事務総長の気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ」報告(2010年9月)

・「国際連帯税推進協議会:環境・貧困・格差に立ち向かう国際連帯税の実現をめざして―地球規模課題に対する新しい政策提言―」(2010年9月)

 

【注2】The zero draft of the Outcome document, 16 March 2015

62. …We encourage additional countries to voluntarily join in implementing the agreed mechanisms and to help develop and implement additional innovative modalities, including a widening of countries participating in a financial transaction tax, carbon taxes or market-based instruments that price carbon, taxes on fuels used in international aviation and maritime activities, or additional tobacco taxes.…

国際連帯税推進派は?外務省、民主党、民間税調、池田会長

国際連帯税を巡る動きのなかで、どの省庁、政党、団体等が賛同しその導入をめざしているかとの質問が寄せられていますので、紹介します。

 

1)外務省

●平成 28 年度税制改正(租税特別措置)要望事項
「…前略…平成26年8月8日に採択された国連の『持続可能な開発のための資金戦略に関する政府間専門家委員会』の報告書においても,革新的メカニズムの探求が提言されている。こうした革新的な資金調達のための税制度として,既に航空券連帯税が複数の国で実施されているほか,欧州では金融取引税による対応も検討されている。…中略…

 

『持続可能な開発のための2030アジェンダ』等にも示されている世界の開発需要に対応し貢献するため,納税者の理解と協力を得つつ,国際連帯税(国際貢献税)についての検討を進め,必要な税制上の措置を講ずる。…後略…」
http://www.mof.go.jp/…/o…/fy2016/request/mofa/28y_mofa_k.pdf

 

2) 民主党
●平成 28 年度税制改正(租税特別措置)要望
「『持続可能な開発のための2030アジェンダ』等にも示されている世界の開発需要に貢献するため、納税者の理解と協力を得つつ、国際連帯税(国際貢献税)についての検討を進め、国際的な取り引きに関する課税などに関連して必要な措置を講ずること」
https://goo.gl/en75Ld 

 

※選挙公約等では、日本共産党が取り上げています(2014年総選挙)。ちなみに、自民党は2010年段階では国際連帯税を公約に入れていました。

 

3)民間税制調査会
●民間税調2016年税制改革大綱
「トービンが考案したことによってトービン税として知られる構想がある。…2013年にEUにおいて金融取引税(FTT)の委員会指令案が出されたことによって、トービン税の系列に属する税制が急速に注目を浴びるようになっている。フランスとイタリアは先行して国内法によって単独で導入済みである。わが国における導入も、その税収の使途と共に検討を始めるべきである」
http://minkan-zei-cho.jp/…/84e456ba74d60cc120ebbd5a13db9ed5… 

 

※民間税調の大綱公表を受けて、東京新聞が以下のような社説を載せました。

 

【東京新聞・社説】「『民間税調』提言 所得再分配を取り戻せ」(2015年12月9日)
=======
 <…前略…>提言の最も重要な点は、税本来の格差是正機能を取り戻し、経済協力開発機構(OECD)加盟国で下位といわれる「所得・資産の再分配」を強化することである。

 ただ、所得税や資産課税の最高税率を上げるだけでは現状では税は国外に逃避してしまう。国境を越えた租税回避を防ぐ手段が不十分なのだ。その分、限定的な改正の提言にとどまったのは残念だ。<…後略…>
=======

 

4)池田大作・創価学会インタナショナル会長
●第40回「SGIの日」記念提言『人道の世紀へ 誓いの連帯』(2015年1月)
「…経済の分野では、昨年5月、EU(欧州連合)加盟国の中で 11 カ国が『金融取引税』を共同導入することに合意しました。

 

 マネーゲームの過熱が金融危機を引き起こし、世界経済に深刻な打撃を与えた2008年のリーマン・ショックの教訓を踏まえ、金融取引に一定の課税を行い、過剰な投機の抑制と租税を通じた再分配を目指すもので、明年からの制度開始が予定されています。

 

 私は6年前の提言で、この取引税をはじめ、各国がアイデアを競いながら、「ミレニアム開発目標」を促進する国際連帯税の輪を広げることを呼び掛けましたが、今後、国連の新目標を推進するにあたり、その必要性はさらに増しているのではないでしょうか」
http://www.sokayouth.jp/content/media/teigen2015/book.pdf 

 

●イラストは、駐日フランス大使館のWEBサイトに掲載されているCOPP21特集の「気候変動対策の資金調達」より

http://www.ambafrance-jp.org/article9113 

 

28年度税制改正大綱:国際連帯税盛り込まれず>4年連続

平成28年度の(自民党)税制改正大綱・案が昨日公表されましたが、国際連帯税については今回も盛り込まれませんでした。これで、政権が交代した25年度大綱から4年連続して国際連帯税の文言が外されたことになります。

 

ただし、国際連帯税に繋がる関連部分として、次のような記述がなされています。「また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組の進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課題について検討を進めていく」(第一 平成28年度税制改正の基本的考え方)。この記述は、平成26年度以降3年連続してなされています。

 

今年も、自民党税制調査会レベルまで国際連帯税案件は上がるものの、そこからの進展が今回も図れませんでした。私たちの力不足を反省するのみです。

 

ともあれ、この税制改正全体の動きを見てみるならば、与党が消費税の軽減税率問題ですっかりエネルギーを取られ(本日に至るも最終合意はみていない)、肝心の税制の役割としての所得や資産の再分配、格差是正に向けた抜本的改革がなされなかったことです。

 

民間税調共同代表の三木義一青山学院大学教授は「(今回の税制改正の点数)20点:所得税の抜本的改革など必要な改革が手つかずのまま。軽減税率は不公正な業界の要望を生み出し、税で票を買う従来型政治に戻る原因も」(本日付日本経済新聞)、と分析しています。

【報告】金融取引税に関する国際電話会議(15.11.25)

去る11月25日に行われた「金融取引税に関する国際電話会議」の報告につき、和訳しましたので送ります。実は本日12月8日、ECOFIN(EU財務相会合)が開催されますが、そこで11カ国金融取引税(FTT)につき、実施に向けての全体的な合意が発表される可能性があるということで、欧州のNGOが電話会議で分析を行っています。

 

現在気候サミット・COP21がパリで開催中ですが、「フランスは気候サミットにて合意に到達したことを発表できるよう強力に推し進めてきた(注:昨年あたりは「FTTの税基盤を狭くせよ」と主張するなどむしろブレーキ役だったが)」という経過もあり、もし合意ということになれば、「2017年1月1日に税収があがるというスケジュールの実現はかなり厳しいが、2017年中のどこかのタイミングで実現することはあり得るだろう」とのことです。

 

国際電話会議の報告⇒ PDF

 

ところで、COP21ついでで言えば、次の2つの情報に注目してください。

 

ひとつは、海水面の上昇による陸地の減少など気候変動に対して最も脆弱な20カ国(V20グループ:)による気候資金の要求として金融取引税を上げていることです。

 

Vulnerable nations unite to call for greater access to climate funds

 

V20グループとは、アフガニスタン、バングラデシュ、バルバドス、ブータン、コスタリカ、エチオピア、ガーナ、ケニア、キリバス、マダガスカル、モルディブ、ネパール、フィリピン、ルワンダ、セントルシア、タンザニア、東ティモール、ツバル、バヌアツ、ベトナム

 

もうひとつは、フランスが独自で実施しているFTTのうち、これまでは税収の15%を開発支援に拠出していたが、それを50%までに高めるということです。2015年のFTT税収は7億ユーロ(2016年税収見込み9億3270万ユーロ)ですので、開発政策に年間4億ユーロ(約520億円)程度が拠出されることになります。

 

France to use 50% of FTT revenue on overseas aid

 

◆写真は、脆弱国(V20グループ)の国旗

グローバル連帯税推進協議会、最終報告書へ>8回の協議

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国際連帯税創設を求める議員連盟から「国際連帯税の目的と具体的な税制について」の検討を依頼され、昨年11月からはじまったグローバル連帯税推進協議会(座長:寺島実郎日本総合研究所理事長)は、先月27日第8回目の協議会をもって終了しました。

 

この協議会を通称、第2次寺島委員会とも呼んでいましたが、最初の(第1次の)寺島委員会(正式名称:国際連帯税推進協議会)は2009年4月から2010年9月にかけて行われました。この協議会の最終報告書は以下から読むことができます。

 

※  国際連帯税推進協議会・最終報告書⇒ PDF

  

 現在、最終協議会での議論をもとに、最終報告書をまとめているところですので、全文の紹介はできませんが(A4版で65ページを予定)、「最終報告書・報告要旨」を先行的にお知らせします。どうぞお読みください。

 

グローバル連帯税推進協議会最終報告書・報告要旨⇒ PDF

 

 

さて、この最終報告書の核心は、第2章の『グローバル・タックスの定義と課税原則』にあります。グローバル連帯税とは一言でいえば、「グローバルな資産や活動に、グローバルに課税し、負の活動を抑制しながら、税収を地球規模課題の解決に充当する税制」ということですが、今協議会ではその定義を厳密化しました。

 

これまで私たちは国際連帯税と呼んでいましたが、グローバル化の時代にあってその負の影響が様々な地球規模課題をもたらしていること(地球環境破壊や貧困・格差の拡大、金融危機等)、従って、それへの対処のために最初からグローバル化を射程に入れた、あるいはグローバル・タックスとしての税制が必要になっています。それがグローバル連帯税です(そういう意味では単にODAを補完する資金ではない)。

 

しかし、現実は国家の壁(主権としての課税権)や金融セクターを含むグローバル企業の壁は厚く、グローバル連帯税実現の道は厳しいものがあります。とはいえ、14カ国で実施されている航空券連帯税はグローバル連帯税そのものですし、また欧州11カ国で実施されようとしている金融取引税はグローバル連帯税に繋がっていく可能性をもっています。

 

さらに、グローバル連帯税そのものではありませんがスターバックスやアップルなどの多国籍企業の租税回避行動に対してのOECDによるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの発動等は国際課税(グローバル税制)の改革をもたらす第一歩となるでしょう。

 

現在行われている気候変動・COP21パリ会議でも議論されている気候資金についても、国連環境計画(UNEP)は「途上国が国連に提出した温暖化対策の計画で、対策実施に必要とする資金は少なくとも1兆360億ドル(約126兆円)に達する」と発表しました。今協議会の試算では、地球規模課題解決のために必要な資金として、年間1兆810億ドル(約129兆7200億円)を挙げました。これらの数字が厳密に正確であるか否かはともかく、ばく大な資金が必要であることに間違いはないと思います。

 

それでは最終報告書全文をお待ちください。

 

◆写真は、左が第8回協議会の全体風景、右が発言する石橋通宏参議院議員(国際連帯税創設を求める議員連盟事務局長)でその右隣が寺島座長

 

 

【ご案内】感染症とワクチン・予防接種の役割~日本の民間セクターへの期待

エボラ出血熱やマーズ等の感染症は、グローバル化・航空網の発達とともに地球規模で拡大しています。その対策費用として利便性を享受している航空機利用者に一部払っていただくことも考えられますね。航空券連帯税はそうした国際貢献のためのものです。ともあれ、下記セミナーに参加し、ともに感染症問題とワクチン・予防接種の役割について考えてみましょう。
 
 
 
<一般社団法人平和と健康の会 設立記念セミナー>
感染症とワクチン・予防接種の役割~日本の民間セクターへの期待~
 
 
■日時 2015年12月17日(木)18:00-21:15
■会場 ホテル ルポール麹町 3階 エメラルド
 
 
■主催 一般社団法人平和と健康の会、特定非営利活動法人日本リザルツ
■共催   Gaviワクチンアライアンス、ストップ結核パートナーシップ、一般社団法人ジェイ・アイ・ジー・エイチ(JIGH)
■日英同時通訳付、参加費無料(要参加登録、定員100名)
 
 
■開催趣旨
日本政府は国際保健分野に多くのイニシアティブを打ち出し、すべての人々が医療を受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進しようとしています。9月には「平和と健康の基本方針」、「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本方針」を発表するなど、来年のG7サミットやTICAD VI、そして2030年までの国連・持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献しようとしています。
 
 
一方、WHOチャン事務局長が指摘するように、世界の感染症対策は「予防の時代」を迎えています。特にワクチン・予防接種への投資は、費用対効果が高く、その後の医療費を大幅に抑えることができます。またワクチン研究開発の進歩により、HIV/エイズ、マラリア、結核、エボラ出血熱のワクチン開発も進められています。
 
 
今回のセミナーでは、バークレーGavi事務局長、シディベUNAIDS事務局長、ディトゥー・ストップ結核パートナーシップ事務局長等の海外ゲストをお迎えし、日本企業が世界の感染症対策にどのように貢献し、ビジネス機会を拡大できるのか、主にワクチン・予防接種の観点から考えます。本年10月に設立された一般社団法人「平和と健康の会」は、こうした日本の民間セクターの貢献を後押しすることを目的の一つに掲げております。ぜひご参加ください。
 
 
■18:00-20:00 第一部 感染症とワクチン・予防接種の役割~日本の民間セクターへの期待~
 
 
モデレーター: 梅村 聡 前参議院議員、内科医師
 
 
18:00-18:10 開会挨拶 伊藤 雅治 (一社)平和と健康の会 理事長
            大島 一博  内閣官房 健康・医療戦略室次長
 
18:10-18:30 スピーチ1「感染症対策と予防接種の役割、日本の民間セクターへの期待」
                セス・バークレー Gaviワクチンアライアンス事務局長
18:30-18:50 スピーチ2「世界のHIV/エイズ対策と民間セクターの役割」
                ミシェル・シディベ UNAIDS事務局長
18:50-19:10 スピーチ3「世界の結核対策への取り組みとワクチン開発」 
                            ルチカ・ディトゥー ストップ結核パートナーシップ事務局長
 
19:10-19:55 コメント「感染症対策と日本の民間セクターの役割」、質疑応答
            渋谷 健司 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授、
           (一社)ジェイ・アイ・ジー・エイチ(JIGH)代表理事
            ご参加の民間企業よりコメント
 
19:55-20:00 閉会挨拶 高久 史麿 日本医学会長
           
 
■20:15-21:15 第2部 ミシェル・シディベUNAIDS事務局長との意見交換会 
 
UNAIDS事務局長のミシェル・シディベ氏の来日機会を活用し、日本の市民・NGO、企業等と意見交換会を開催致します(同会場)。
第2部からのご参加からも可能です。
 
モデレーター: 田中 剛 内閣官房国際感染症対策調整室 企画官
 
 
20:15-20:20 冒頭挨拶
         竹若 敬三 外務省国際協力局審議官(地球規模課題担当)
20:20-20:30 ミシェル・シディベUNAIDS事務局長スピーチ
20:30-20:35 モデレーターコメント 
20:35-21:10 質疑応答、参加者との意見交換
21:10-21:15 総括、閉会挨拶
         伊藤 雅治 (一社)平和と健康の会 理事長
 
 
*会場に軽食をご用意しております。
*PDFのご案内はhttp://resultsjp.org/top-japaneseに掲載しております。
 
■参加申し込み方法:http://goo.gl/forms/kl2ilBeo9cよりお申込みください。
           うまく登録できない場合には、Eメールにてinfo.jahp@gmail.com までお名前・所属・役職・電話番号を送付ください。
 
 
■会場アクセス Google Map https://goo.gl/maps/NLqkguQDBsH2
ホテル ルポール麹町(〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-3)
 TEL 03-3265-5361
有楽町線「麹町駅」1番出口より徒歩3分
有楽町線・半蔵門線「永田町駅」 5番出口より徒歩5分
南北線「永田町駅」9a番出口より徒歩5分
丸の内線・銀座線「赤坂見附駅」 D番出口より徒歩8分
 
 
【平和と健康の会】世界の平和と健康、貧困問題解消のために、政府、関係機関や団体等に対する諸問題への政策提言とその支援活動、民間企業との連携、または市民社会への啓発活動を通じて、健康の外交と貧困のない平和な世界の創造に日本がさらに貢献できるよう寄与することを目的として、2015年10月設立(事務局:千代田区霞が関)。伊藤雅治理事長。
 
 
【Gavi】Gaviワクチンアライアンス(以下Gavi)(本部:ジュネーブ)は、2000年の設立以来、世界で約5億人の子どもたちにワクチン接種し、約700万人の死を未然に防ぎ、280回以上の新ワクチン・キャンペーンの導入を達成。現在では全世界の子どもたちへの予防接種の約60%にGaviの支援が関与し、対象国は73か国に上る。
 
 
【本セミナーに関するお問い合わせ】
一般社団法人平和と健康の会 事務局 高木
Tel: 03-6268-8744  Fax: 03-3597-3448
 
 

自民党税調での橋本外交部会長の発言>国際連帯税支持して

去る11月30日自民党の税制調査会が開催されましたが、同党外交部会から上がっていた国際連帯税(航空券連帯税)新設要望も議論され、「長期検討」ということになったようです。以下の外交部会長である橋本岳議員の報告をお読みください。橋本議員がしっかりと航空券連帯税の必要性を述べていたことが分かります。

 

次年度より(即時)航空券連帯税実施ということにならないのは誠に残念ですが、今後橋本議員のような有能な中堅・若手議員がグローバル連帯税(国際連帯税)に取り組んでもらえるようアプローチしていきたいと思います。

 

 

【橋本岳 2015年12月1日】

党税調における外交部会長発言

 

 11月30日における自民党税制調査会において、橋本が外交部会長として発言した内容をご紹介します。なお、その後他の方々から賛成・反対のご意見があった結果、「長期検討」という扱いにしていただきました。ご関係の方々や、納税者の皆さまにご納得いただけるように進めなければなりません。外務省にはそのように指示しました。

 

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 いわゆる国際連帯税について、先日の部会長ヒアリングにおいて、国土交通部会長から三点の理由を挙げて反対といわれました。まずその三点について申し上げます。

 

 一点目は、「受益者と負担者の関係が不明確」ということでした。これは全くおかしな議論です。今回は、政府開発援助、すなわちODAの財源として要望していますが、そもそもODAの直接の受益者は途上国の国民であり、それを先進国が負担して行うから意味があるものです。直接的な負担者と受益者が違うのは当然のことです。

 

 ODAは、直接的な負担と受益の関係で考えるものではありません。我が国が途上国の開発を支援し、その国の社会が安定したり、豊かになったりすることが、まわりまわって我が国の利益にも繋がるという発想によるものです。結果として国際的な人・もの・金の移動も促進されるという効果も持つでしょう。その点に着目して、国際的なやりとりに広く薄くODAの財源を求めようとするのがこの税の発想であるということを、どうかご理解頂きたいと思います。

 

 二点目は、「航空券への課税はインバウンドに悪影響をもたらし観光立国に反する」という点でした。まず事実から申し上げれば、2006年7月からフランスで、2007年9月に韓国で航空券連帯税が導入されましたが、両国ともその前後で観光客数や観光収入は、むしろ増加しています。仮に国際線の航空券に課税をするとしても、旅客の行動にほぼ影響を与えない広く薄い形での金額設定で課税を行い、効果をあげることは十分可能であると考えます。

 

 三点目は、「導入している国は少数で、世界的な潮流になっていない」という点でした。確かに、アメリカやイギリス、ドイツ等は国際連帯税を導入していません。しかしこれらの国々は日本を上回るODA供与実績をあげています。日本もそこまでODA財源が豊富であれば、そもそも新税など検討する必要はありません。

 

 残念ながら近年ODA予算は減額されています。来年度概算要求において増額要求をしておりますが、円安による目減り分も含めて極めて厳しい感触が財務当局から伝わっています。さる25日には高村副総裁を議長とする自民党外交再生戦略会議は「外交力の一層の強化を求める決議」を行い、総理に申し入れを行いました。また同日、武見敬三先生が委員長を務められる自民党国際保健医療戦略特命委員会も「国際保健に係る対策の推進に関する決議」を行って頂きました。そうした中で、財務当局を頼るばかりではなく、自分たちでも独自の財源確保の努力をしなければならないという想いから、今回の要望が上がっているのです。

 

 AIIBを擁する中国が我々のライバルなのです。そして我が国は、来年、先進主要7か国のサミットの議長を務めるのです。世界のリーダーとしての誇りを持って、いかに外交上の重要な武器であるODAを充実させるかという観点で真摯に検討すべきものです。

 

 以前は、世界においてODA拠出額第一位を我が国が占めておりました。今は第五位であります。本当にこのままでよいのでしょうか?むしろ我が国が先進国としてODAを通じて世界に貢献しているという事実を、もっと広く国民の皆さまに共有するべきです。それこそが安倍総理が行っている「地球儀を俯瞰する外交」への国民的理解に繋がり、民間も含めた日本の外交力の強化に繋がるのです。

 

 途上国も含めた、他の国がやっているとかやってないとか横並びのような議論をされるような意識の低さは誠に残念であります。むしろ我が国はこんな取り組みまでしているのだ、と他国に積極的に発信できるような制度を整えることが大事であると考えます。

 

 ただ、正直、これまで外務省の動きは極めて鈍かったと言わざるを得ません。その責任は政治にもあるでしょう。外務省には、法律に基づき主体的かつ前向きに検討や調整をしっかりと行わせる必要があります。そういう意味で、今回の税制改正では「お断りする」となっていますが「検討する」として頂きたく、ご要望申し上げます。

 

 どうぞお聞き届け頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

◆橋本がく・ブログ「党税調における部会長発言」
  http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-597d.html 
 BLOGOS 「  〃  」
  http://blogos.com/article/147452/ 

 

※写真は、14カ国で実施している航空券連帯税からの税収を主な資金とするUNITAID(ユニットエイド)のマラリア対策事業。「蚊の出る時期に集中して“季節性マラリアの化学的予防”の薬がすべてのマラリア蔓延国に低価格で十分行きわたるようにしている」(ユニットエイド・Japanより)

朝日新聞“GLOBE”、国際連帯税に関する記事掲載

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報告が遅れましたが、11月15日付の朝日聞“GLOBE”(第1、第3日曜日発行)に『国際連帯税の挑戦』という記事が掲載されましたので、紹介します。

 

●『国際連帯税の挑戦』・・・PDF

 

 「海外旅行をしたら、あなたも知らないうちに国境を超える税金を払っているかもしれない―。/現在、フランスや韓国など13ヵ国で実施されている航空券連帯税のことだ。…日本でこの制度の導入を推進するNGO『グローバル連帯税フォーラム』の試算では、韓国とフランスを訪れた日本人観光客だけでも年間約10億円の連帯税を払っているという。…」

 

この号は、「税と国境」ということで国際課税問題が特集です。記事のかなりの部分が、“GLOBE”のWEBサイトに掲載されています。また、世界各地を取材した動画もあります。イラストもふんだんにあり、全体的にとても分かりやすく国際課税問題をひも解いています。

 

●“GLOBE”WEBサイト…http://globe.asahi.com/ 

 

WEBサイトでのもくじ次の通りです。

 

特集記事Index

 ・税と国境 Top

 ・知恵くらべ

  ‐こっちの税はあまいぞ/デンマーク【動画】

  ‐税という名の媚薬/アイルランド

  ‐始まりは冷戦崩壊/ポーランド

  ‐「乾杯!」が経済を救う?/ベトナム

  ‐大人しいままでは/日本

 ・国境超えて

  ‐移民と税、福祉国家では

  ‐国際連帯税の挑戦

  ‐免税店はアジアに勢い

 ・ルールをつくる

  ‐競争は終わらない/メアリー・ベネット

  ‐逆進性強まる恐れ/諸富徹

  ‐日本の「税と国境」

 

 

 

 

資料集と録画ほか:シンポジウム:ピケティ…とグローバル・タックス

 橘木先生

 

11月7日開催された≪シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス≫に関して、当日資料を受け取れなかった人から、また当日参加できなかった人から、資料が求められていたことや録画についての問い合わせがありましたので、資料集と録画ほかにつき、以下の通りお知らせします。

 

●資料集:

11月7日当日配布した資料をPDF化しましたので、ダウンロードしてお読みください。 

 

1、プログラムとスピーカーのプロフィール 

 

 

2、開会のあいさつ:金子文夫(グローバル連帯税フォーラム代表理事/横浜市立大学名誉教授)

 

3、基調講演:橘木俊詔(京都女子大学客員教授/京都大学名誉教授)

 

4、民間税制調査会:「民間税制調査会版税制大綱最終答申」の概要紹介

  三木義一(民間税調共同代表、青山学院大学教授)

 

5、水野和夫(日本大学教授):テーマ「超バブル経済と資本主義の終焉」

 

6、上村雄彦(横浜市立大学教授):テーマ「グローバル連帯税と21世紀の資本」

 

7、小西雅子(WWF気候変動・エネルギー・プロジェクト・リーダー):テーマ「気候変動問題から考えるグローバル・タックスの可能性」

 

8、グローバル連帯税推進協議会(第2次寺島委員会):「最終報告書(案)」の要旨・目次・提言

 

●録画:

当日のもようは以下のURLで(超)ダイジェスト版を観ることができますが、完全版はインデペンデント・ウェッブ・ジャーナル(IWJ)の会員になっていただくことが必要です(会員になるとIWJのすべての動画サービスを受けることができます)。また、このシンポジウムだけを有料で観たいという人もOKですので、所定の手続きを行ってください。

 

2015/11/07 シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス 〜行き詰まる資本主義、日本の格差・貧困、国際課税への提言〜(動画)

 

●メーリングリスト:

グローバル連帯税フォーラムは連帯税に関する情報はもとより、主に国際・国内経済、税制問題に関する情報等を交換するメーリングリスト(ML)を開設しております。このMLへの参加資格はとくにありません。上記問題に関心のある方はどなたでも参加でき、現在450人ほどが登録されています(あまり活発なMLではありませんが)。

 

MLに参加されたい方は、「ML参加希望」とお書きの上、info@isl-forum.jp まで申し込んでください。

 

●注目!COP21:

【動画で解説!3分でわかる「COP21」】

2015年の年末、フランスのパリで「COP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)」が開催されます。この会議は、国連で続けられてきた温暖化の防止を目指す国際交渉において、近年の会議の中でも最も重要な会議です。なぜなら、2020年以降の国際的な温暖化対策の枠組みについて歴史的な合意がなされる予定だからです。

この世界195カ国が熾烈な交渉を繰り広げるCOP21について、WWFジャパン気候変動担当の小西雅子が、3分の動画で解説します。

 

詳しく知りたい方には、10分バージョン、18分のフルバージョンもありますのでご覧ください。

 

◆写真は、左:パネル討論もよう、中:熱弁する橘木先生(IWJのWEBサイトより)

 

 

 

 

録画あり>「ピケティ/グローバルタックス」シンポに190人参加

IMG_1351③

 

11月7日の「シンポジウム:ピケティ『21世紀の資本』とグローバル・タックス」には、190人を超えての集まりとなり、用意していた配布資料が足りなくなるほどでした。

 

グローバル・タックスの推進と日本の<格差型>税制の是正に向けた取り組みのコラボは結構難しかったのですが(グローバル連帯税から消費税の軽減税率問題まで)、スピーカーのみなさんの熱い問題提起と会場との討論で何とか乗り越えられたようです。

 

なお、インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(略称:IWJ)でインターネット中継されましたが、以下のURLで録画を観ることができます。お時間のある方はぜひご覧ください。

 

(前半)http://www.ustream.tv/recorded/77151506
   (動画がはじまってしばらくしてIWJのバナー画面⇒8分47秒あたりから動
   画がはじまる)
(後半)http://www.ustream.tv/recorded/77159811

 

当日配布した資料については、このWEBサイトに掲載する予定ですので、そちらをご覧ください。