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7、金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案
2014.03.05
7、金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案

欧州委員会

2011年9月28日 ブリュッセル

COM(2011) 594 final

2011/0261 (CNS)

金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案

{SEC(2011) 1102}

{SEC(2011) 1103}

解説的覚書

 

1.             提案の背景

1.1.           序文:金融・経済危機、政策目標、域内市場の適切な機能確保の必要性

近年の世界経済・金融危機は、我々の経済および財政に深刻な影響を与えた。金融セクターはこの経済危機の発生要因を作ったが、そのコストを負担したのは政府および欧州市民全般であった。この危機の処理費用および金融セクターに対する現在の課税の低さに鑑み、金融セクターによるより公平な負担が必要との強い合意が欧州内および国際的に形成されている。EU加盟国のうち数か国は既に金融セクターへの課税について異なる措置を取っている。この課題に対し域内市場と調和した欧州共通のアプローチを示すことが本提案の目的である。本提案は、過去の慣行を繰り返さぬよう金融市場の一部の区分における特にリスクのある行為に対処し、金融サービスの安全強化に関するEUの規制枠組みを補完することを目的とする。

欧州委員会は既に、金融セクターへの課税に関する2010年10月7日委員会報告書[1]においてFTT(金融取引税)実施の構想を検討している。委員会が実施した分析に照らし、また欧州理事会[2]、欧州議会[3]および理事会からの数多くの要請に応え、以下の目的達成に向けた第一歩として本提案を示す。

 

-             協調性のない国家レベルの課税策導入が増加している現状を念頭に置き、金融サービスの域内市場における分断化を回避する。

-             金融機関が近年の危機のコストを公平に負担し、金融セクターと他のセクターが課税の観点から[4]平等な競争条件の下に置かれることを確保する。

-             金融市場の効率性を高めない取引に対し適切な阻害要因を作ることで、将来の危機回避を目的とした規制措置を補強する。

 

課税対象となり得る取引のほとんどは極めて移動性が高いため、加盟国単独の着想による課税ルールが市場の歪みを生むのを回避することが重要である。事実、EUレベルで対策を実施することによってのみ、様々な活動に渡る国境を越えた金融市場の分断を回避し、EU内の金融機関の平等な待遇を確保し、最終的には域内市場の適切な機能を確保することが可能となる。

このため本提案は、EU単一市場の円滑な機能を確保するためにEU加盟国の金融取引税の整合化を規定している。

欧州連合の自己資金制度に関する2011年6月29日理事会決定の委員会提案[5]に従い、本提案はEU予算への各国の拠出金を徐々に置き換え国庫への負担を減らすために新たな収入源を創出することも目的としている。

 

1.2.           EU予算の資金調達

金融セクターへの課税に関してはEU予算見直しに関する2010年10月19日委員会報告書[6]でも取り上げられている。ここでは「各国の拠出金を徐々に置き換え国庫への負担を減らす方法の候補となり得るものとして、委員会は以下の資金調達方法に関する非排他的リストを検討している。- 金融セクターへのEU課税。」とある。これに続く欧州連合の自己資金制度に関する2011年6月29日理事会決定の委員会提案[7]では、FTTをEUの予算に含める新たな自己資金と見なしている。従って本提案は、FTTがEU予算の資金となる旨を委員会がどのように提案するかを提示した別途の自己資金提案により補完されることになる。

 

1.3.           規制上の背景

欧州連合は現在、金融サービスセクターにおいて野心的な規制改革プログラムを実施しているところである。委員会は、欧州の金融市場を規制・監督する方法を根本的に改善するために必要な主要素を今年末までに全て提案することとしている。このEU金融サービス改革は、金融セクターの監督改善、金融機関の強化および必要に応じその回復のための枠組みの提供、金融市場の安全性および透明性の向上、金融サービスの消費者保護の向上という、4つの戦略的目的を重視するものである。この広範囲に及ぶ改革により金融サービスセクターが再び実体経済に役立つもの、特に成長を助成するものとなることが期待される。FTT提案はこれらの規制改革を補完することを目的としている。

 

1.4.           国際的な背景

本提案はまた、現在進行中の金融セクターへの課税に関する国際的議論、特にグローバルレベルでのFTTの策定に大きく貢献するものである。効果的にリスクを最小限に抑えるには、国際レベルでの協調したアプローチが最良の策である。本提案では、効果的なFTTを設計・実施し相当な額の歳入を創出できる方法を明示している。このため本提案は最も重要な国際的パートナーとの協調したアプローチに向けた道を開くはずである。

 

2.             関係者との協議および影響評価の結果

2.1.           外部との協議および専門家の意見

本提案は広範な外部からの意見に基づき策定されている。これらの意見は、金融セクターへの課税に関する公聴の過程におけるフィードバック、EU加盟国、専門家、金融セクター関係者との協議、影響評価を目的として委託された3つの外部調査という形で提供されたものである。

協議プロセスの結果と外部の意見は影響評価に反映されている。

 

2.2.           影響評価

本提案に伴う影響評価では、(1) 金融セクターの財政への貢献を確保する、(2) 望ましくない市場行動を制限することで市場の安定化を図る、(3) 域内市場の歪みを回避するという目的に関して、金融セクターへの追加的課税の影響を分析している。影響評価では、金融取引税(FTT)と金融活動税(FAT)という2つの基本案およびこれらに関連する多数の設計案を分析し、FTTがより望ましい案であるとの結論に達した。

FTTは金融セクターから相当な額の税収を得られる可能性を持つようだが、FATと同様にGDPおよび市場の取引高の縮小という観点から悪影響を及ぼす恐れがある。取引の本来の場所からの移動を回避するには、EU単一市場の分断化を避けるためにEUレベルで、またG20間の協力という野心的目標に沿うために国際レベルで協調したアプローチが必要となる。

さらに、市場の反応および成長への影響に関するリスクに対応するため、FTTの設計には、経済効果、税負担、起こり得る租税回避に対する戦略、取引移転のリスクという観点から影響の軽減を目的とした具体的な設計上の特徴が組み込まれている。

 

・             商品、取引、取引・金融主体の種類、金融グループ内で実施される取引に関して税の範囲を広範に定義する。

・             居住地原則を適用し、取引場所に拘わらず金融主体が設立されたEU加盟国で課税する。本指令はまた、非EU金融機関がEU内の主体との金融取引に関与した場合と非EU金融機関のEU内の支店が金融取引に関与した場合のEU内での課税についても規定している。

・             金融投資以外を目的とする資本コストに結果的に与える影響をできるだけ抑えるために適切な税率を設定する。

・             有価証券(株式、債券)のプライマリー市場の取引(政府や企業による資本調達の阻害とならないようにするため)および通貨のプライマリー市場の取引をFTTの範囲から除外する。プライマリー市場の除外は指令2008/7/ECにも記されているように長年実施されているEU政策と一致する方針である。

・             一般世帯、企業、金融機関による賃借、その他の日常の金融活動(住宅ローンや支払取引など)を保護する。

・             本指令が金融機関の借り換えの可能性や金融政策手段に影響を与えないよう、例えば欧州中央銀行(ECB)や各国の中央銀行との金融取引をFTTの範囲から除外する。

 

実際に提案されたFTTの設計上の特徴による影響の軽減策を考慮に入れると、GDPレベルへの長期的な悪影響は基礎シナリオと比較し0.5%程度に止まると予想される。

影響評価によると、FTTは金融セクターの市場行動およびビジネスモデルに影響を与えることが分かった。金融市場での自動売買は、税を起因とする取引費用の増加の影響を受ける可能性がある。この費用により限界利益が浸食されるからである。これは、金融機関がおびただしい数の大量かつ薄利の取引を行う取引プラットフォームと物理的に密接に関わる高頻度取引のビジネスモデルについて特に当てはまる。これらについては、数はより少ないが(税引き前の)利幅がより高い取引を行わせるアルゴリズムに置き換えなければならない可能性がある。

また影響評価では、FTTが累進的な分配効果を持つ、つまり、高所得者層は金融セクターが提供するサービスからより多く恩恵を受けているためFTTの影響は所得に比例して増加することが分かった。これは、債券、株式およびそのデリバティブなどの金融商品取引に限定したFTTについて特に当てはまる。積極的に金融市場に投資していない一般世帯や中小企業は、FTTの設計に組み込まれた「保護」機能の結果、本提案の影響を受けることはほとんどない。

税収の地理的分布は税の技術的設計によって異なってくる。本指令では、地理的分布は金融商品の取引場所ではなく金融取引に関与する金融機関の設立場所によって決まる。この設計は税収の地理的集中の軽減につながる可能性が高い。これは、ある金融機関が他のEU加盟国に設立された金融機関に代わって取引プラットフォームに介在する場合に特に当てはまる。

また本指令では、委任法令を通して租税回避、脱税、税の乱用に対する具体的措置がEU加盟国レベルおよびEUレベルで規定されることを保証している。再検討条項では、実施から3年後に、金融セクターへの課税の国際的進展も考慮に入れつつ、FTTが域内市場の適切な機能、金融市場、実体経済に与える影響を検討することとしている。

 

3.             本提案の法的要素

3.1.           法的根拠

本指令案に最も関連の深い根拠法はTFEU(欧州連合の機能に関する条約)第113条である。本提案は域内市場の適切な機能を確保し競争の歪みを回避するために必要な、金融取引への間接課税に関する制定法の整合化を目的としている。

 

3.2.           補完性の原則と比例性の原則

EU内における取引・市場参加者の不適当な移動、および金融商品の置き換えを回避するためには、FTTの基本的特徴をEUレベルで一律に規定する必要がある。言い換えれば、域内市場の適切な機能を確保しEU内の競争の歪みを回避するには、EUレベルでの一律な規定が必要なのである。

同様にEUでの一律規定は、金融セクターにおいて近似の代替品となることの多い異種商品などの、現在存在する域内市場の分断化を低減するために重要な役割を果たす可能性がある。整合化されていないFTTは租税裁定行為につながり、加えて二重課税または課税の空白を引き起こす可能性もある。これは平等な競争条件下で金融取引が実施されるのを妨げるだけでなく、EU加盟国の歳入にも影響を与える。さらに、2つの異なる税制を順守する必要が出てくるため金融セクターのコンプライアンス費用が増加する。

これらは経験的証拠により裏付けられている。金融取引への国税はこれまでのところ、金融活動・金融機関が本来の場所から移動するか、それを避けるために比較的移動性の低い税基盤にのみ課税した結果、近似の代替品が課税対象外となる結果を招いている。このためEUレベルでの主要な考え方の整合化と実施の協調は、金融取引税の適用の成功と歪みの回避に必要不可欠な条件である。このようなEUによる措置は望ましいアプローチを促進することにもなる。

このため本提案の内容は、FTTの共通構造および課税可能性に関する共通条項の設定に集中したものとなっている。従って本提案は、実際の最低税率以上の税率の設定、会計・報告義務の詳述、脱税、租税回避、税の乱用の防止に関して、EU加盟国に十分な政策の余地を残している。

以上のことから、EUにおけるFTTの共通枠組みは、TEU(欧州連合条約)第5条に規定された補完性の原則および比例性の原則を順守している。EU加盟国では本提案の目的は十分に達成することはできない。本提案の目的は、域内市場の適切な機能の確保のためにはEUレベルにおいてより効果的に達成することができる。

この整合化案は規則ではなく指令という形で提案されており、我々が追い求める目的(何より域内市場の適切な機能)の達成に必要な措置の範囲を超えておらず、よって比例性の原則を満たしている。

 

3.3.           本提案の詳細な解説

3.3.1         1章(課税対象、範囲、定義)

この章ではEUにおけるFTT案の基本的枠組みを規定している。このFTTはネッティング以前のグロスの取引への課税を目的とする。

金融商品は互いに近似の代替品となることが多いことから、この税では全種類の金融商品に関わる取引を対象にすることを目指しているため、課税対象範囲は広範に渡る。このため対象範囲には、資本市場において譲渡可能な商品、短期金融市場の商品(支払手段を除く)、集団投資事業(UCITS(譲渡可能証券の集団投資事業)およびオルタナティブ投資ファンド[8]を含む)のユニットや株券、デリバティブ契約が含まれる。さらに、税の対象範囲は規制市場や多国間取引施設などの組織された市場に止まらず、他の種類の取引(店頭取引を含む)も対象となる。また対象範囲は所有権譲渡に限らず、関与する金融機関がその金融商品に含まれたリスクを負うか否かを反映し、締結された契約(「売買」)が対象となる。また、デリバティブ契約の結果金融商品が供給される場合、全ての課税条件が満たされれば、課税対象のデリバティブ契約に加えて金融商品の供給も課税対象となる。

ただし、金融機関の借り換えの可能性や金融政策全般に対する悪影響を回避するため、欧州中央銀行および各国の中央銀行との取引は対象範囲外とされる。

特に、金融商品のうち売買・譲渡が課税されるものおよびデリバティブ契約の締結・修正については、一般的に認められた明確で包括的な定義が当該のEUレベルの規制枠組みにおいて示されている[9]。より具体的にここで言及されるデリバティブ契約について言えば、ここで関係してくるのは投資目的のデリバティブである。これは、スポット通貨取引は課税対象外の金融取引であるが、通貨デリバティブ契約は課税対象となるという使用定義に基づくものである。またコモディティの現物取引は課税対象外であるが、コモディティに関わるデリバティブ契約は課税対象である。

また金融取引は、仕組み商品(証券化を通して提供される売買可能な証券またはその他の金融商品)の売買または譲渡から構成されることもある。このような商品は他の金融商品に類似しているため、本提案で使用する用語としての「金融商品」に含まれる必要がある。これらをFTTの対象外にすれば租税回避の機会を与えることとなる。この種の商品には、手形、ワラント、サーティフィケート、通例住宅ローンやその他のローンなどの資産に関わる信用リスクを市場に移転させるバンキング証券化、その他のリスク(保険の引受けなど)を市場に移転させる保険証券化が含まれる。

ただしこの税の対象範囲として焦点を合わせているのは金融機関による取引で、これには金融機関が自己勘定または他人勘定で取引の当事者として行う金融取引、および金融機関が取引当事者の名義で行う金融取引が含まれる。このアプローチを取ることによりFTTの包括的な適用が確保される。実際面でいえばこれらは帳簿の各記載によって通常明らかになる。

金融機関の定義は広範に渡り、基本的には投資会社、組織された市場、信用機関、保険会社、再保険会社、集団投資事業とその管理者、年金基金とその管理者、持株会社、リース会社、特別目的事業体を含む。また規制目的で採択された関連EU法で規定されている定義を可能な限り参照する。加えて、相当な額での金融活動を行う上記以外の者も金融機関と見なされるべきである。

本指令案ではさらなる詳細については権限の委譲が規定されている。

集中清算機関(CCP)、証券集中保管機関(CSD)、国際証券集中保管機関(ICSD)は、これらの機関が果たす機能自体は売買活動にあたらないため、金融機関とは見なされない。またこれらの機関は金融市場の機能の効率性と透明性の向上に重要な役割を担っている。

本提案のFTTの各国領域における適用とEU加盟国の課税権は、居住地原則に基づいて規定されている。EU内で金融取引が課税対象となるには、取引当事者の一方がEU加盟国の領域内に設立されている必要がある。金融機関が自己勘定または他人勘定で取引当事者として金融取引を行うか、または取引当事者の名義で金融取引を行う場合に、その金融機関の事業所が位置する領域を管轄するEU加盟国においてFTTが課税される。

取引当事者としてまたは取引当事者の名義で金融取引を行う金融機関の事業所が、それぞれ異なるEU加盟国の領域に位置していた場合、これらのEU加盟国は本提案に従って各国で設定した税率でこの取引に課税する権限を持つ。取引に関与する事業所が非EU国の領域内に位置する場合、取引当事者の一方がEU内に設立された機関でない限り、その取引はEU内のFTTの対象にはならない。取引当事者の一方がEU内に設立された機関である場合、第三国の金融機関も取引に関係するEU加盟国内に設立されたものと見なされ、そのEU加盟国での課税対象となる。取引がEU外の取引場所で行われた場合、取引を行う事業所または取引に介在する事業所のうち少なくとも一方がEU内に位置する場合はその取引は課税対象となる。

ただし、納税義務者が取引の経済的実質とEU加盟国の領域の間に関連性がないことを証明できた場合には、その金融機関は加盟国に設立されたものと見なされない。

さらに、売買が課税対象となる金融商品がグループ内の企業間での譲渡の対象を形成する場合、この譲渡は売買ではなくても課税対象となる。

以上のことから、上記の目的に従ったFTTの論理では、多くの金融活動が金融取引と見なされないこととなる。プライマリー市場の除外に加え、市民や企業に関係のある日々の金融活動のほとんどはFTTの範囲外となる。範囲外となるのは保険契約、住宅ローン、消費者信用、支払いサービスなどである(ただしその後の仕組み商品を通したこれらの取引は範囲内となる)。また、スポット市場での通貨取引をFTTの範囲外とすることで資本の自由な動きを確保している。ただし、通貨取引に基づくデリバティブ契約は、それ自体は通貨取引ではないためFTTの範囲内となる。

 

3.3.2.        2章(課税可能性、課税価額、税率)

課税の時点は金融取引の発生時点と規定されている。その後のキャンセルは、エラーの場合を除き課税除外の理由とはならない。

金融商品(デリバティブ以外)の売買または譲渡と、デリバティブ契約の売買、譲渡、締結、修正では、性質と特性が異なるため、これらの課税価額は異なるものでなければならない。

ある金融商品(デリバティブ以外)の売買については通常、価格またはその他の対価が特定される。論理的にはこれが課税価格と考えられる。しかし市場の歪みを回避するには、対価が市場価格より低い場合やグループ内の企業間で行われる「売買」の概念から外れる取引の場合には特別なルールが必要となる。これらの場合、FTTの課税時点における公正妥当に決定された市場価格が課税価額となる。

デリバティブ契約の売買、譲渡、締結、修正については、FTTの課税価額はそのデリバティブ契約が売買、譲渡、締結、修正された時点の想定元本とする。このアプローチによりデリバティブ契約へのFTTの適用が分かりやすく容易となり、またコンプライアンス費用および行政費用が低く抑えられる。またこのアプローチにより、例えば価格や価値の差のみに関する契約を締結する税制上のインセンティブは発生しないため、巧妙な設計によるデリバティブ契約を通して作為的に税負担を軽減することが難しくなる。またこのアプローチでは、契約のライフサイクルの異なる時点で発生するキャッシュフローに課税されるのではなく、契約の売買、譲渡、締結、修正の時点で課税されることになる。このため適正な税負担を規定するためには使用税率を低く抑える必要がある。

租税回避、脱税、税の乱用を防ぐためにはEU加盟国における特別条項が必要となる可能性がある(3.3.3も参照のこと)。例えば想定元本が作為的に除算されることが考えられる。例としてはスワップの想定元本が恣意的に高い数値で除算され、全ての支払額が同じ数値で乗算される可能性がある。この操作によりこの商品のキャッシュフローは変わらないが税基盤の規模が恣意的に縮小されることになる。

課税価額またはその一部が、査定を行うEU加盟国以外の国の通貨建てである場合についても、課税価額の確定のために特別条項が必要となる。

デリバティブ以外の金融商品の売買または譲渡と、デリバティブ契約の売買、譲渡、締結、修正では、性質が異なる。さらに、この2つのカテゴリーへの金融取引税に対し市場は異なる反応を示すと考えられる。これらの理由および広く均等な課税を確保する目的から、この2つのカテゴリーには異なる税率を適用すべきである。

また税率を決める際には課税価額の決定方法の違いも考慮すべきである。

概説すると、提案された最低税率(それ以上については各国に国内政策の余地が与えられている)は本指令の整合化目的を達成するのに十分な高さであると同時に、移転のリスクを最小化するのに十分な低さに抑えられている。

 

3.3.3.        3章(FTTの支払、関連義務、脱税・租税回避・税の乱用の防止)

本提案では、EU加盟国の領域内に設立された金融機関が(自己勘定または他人勘定で)当事者として行う金融取引またはその金融機関が当事者の名義で行う金融取引を参照することにより、FTTの対象範囲を規定している。実際、金融機関は金融市場での取引の大部分を実施しており、FTTは市民ではなく金融セクター自体に焦点を絞るべきである。従ってこれらの機関が税務当局に納税する義務を負うべきである。ただしEU加盟国は取引当事者の本社がEU外に位置する場合を含め、他者にもFTTの支払義務を連帯して負わせることができるべきである。

金融取引の多くは電子的に行われる。この場合FTTは課税時点で直ちに支払われるべきである。その他の場合、FTTは支払処理を手動で行うのに十分な時間を確保しつつ当該金融機関がキャッシュフローから不当な利益を得ることのない期間内に支払われるべきである。この意味で3営業日が適切な期間と見なすことができる。

EU加盟国はFTTが正確かつ適時に課税され、脱税、租税回避、税の乱用が防止されるよう適切な措置を取る義務を負わされるべきである。

これに関連してEU加盟国は、金融取引に関する報告・データ保守義務を含む既存および今後制定される金融関連EU法を活用すべきである。

同様にEU加盟国は、必要な場合は常に、税の査定・回収に関する既存の行政協力文書を活用すべきである。これには特に、課税における行政協力および指令77/799/EECの廃止に関する2月15日理事会指令2011/16/EU[10](2013年1月1月より適用)、および租税、関税、その他の措置に関する請求分の回収のための相互支援に関する2010年3月16日理事会指令2010/24/EC[11](2012年1月1日より適用)が含まれる。他の法律文書(例えば欧州評議会・OECD税務行政執行共助条約[12]など)も、関連性・適用性がある場合には使用すべきである。

本指令案ではさらなる詳細については権限の委譲が規定されている。

本FTTの基礎を成す概念的アプローチ(広い対象範囲、居住地原則、免除なし)に加え、上記で概説したルールにより、脱税、租税回避、税の乱用を最小限に抑えることができる。

 

3.3.4.        4章(最終条項)

整合化という本提案の目的から判断すると、EU加盟国はVATおよび本指令案が規定するFTT以外の金融取引税を維持・導入すべきでないことになる。VATについては、付加価値税の共通制度に関する2006年11月28日理事会指令2006/112/EC[13]の第137条1.(a)に規定された税の選択権は引き続き適用されるべきである。保険料に対する税などは当然性質が異なる。また金融取引の登録料も、それが純粋な費用の返済または提供されたサービスの対価に相当する場合は性質が異なる。従ってこのような税や手数料は本提案の影響を受けるものではない。

資本調達への間接税に関する2008年2月12日理事会指令2008/7/EC[14]の条項は原則として引き続き全面的に適用される。これにより例えば、指令2008/7/EC第5条(2)で言及されているように、株券または同種の有価証券もしくはそのような有価証券に基づくサーティフィケート、債券(国債を含む)、ローンに関わるその他の譲渡可能な有価証券のプライマリー市場での発行は、EUにおいてFTTの対象外となる。この2つの指令間に起こり得る対立を避けるため、ここで提案する指令は指令2008/7/EC条項に優先する旨を規定すべきである。

 

4.             予算への影響

仮見積もりによると、市場の反応によってはEU全体での税収は年間570億ユーロとなる可能性がある。

本質的に本提案は、欧州連合の自己資金制度に関する2011年6月29日理事会決定案に沿って、EU加盟国およびEU予算の新たな収入源を創出するものである。

EU内でFTTから創出された歳入は、EU予算の自己資金として全額または一部を使用できるため、加盟国の国家予算から支払われる既存の自己資金に取って代わることができる。これによりFTTの税収はEU加盟国における財政再建の取り組みに寄与することになる。委員会はどのようにFTTをEU予算の資金として使用できるかを示した必要な補完提案を別途提示する。

 

         2011/0261 (CNS)

金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案

 

欧州連合理事会は、

欧州連合の機能に関する条約および特にその第113条を考慮し、

欧州委員会からの提案を考慮し、

立法機関制定法案の各国議会への伝達後に、

欧州議会の意見[15]を考慮し、

欧州経済社会評議会の意見[16]を考慮し、

特別立法手続きに従って行動し、

以下の事実に鑑みて、本指令を採択した。

(1)            近年の金融危機の結果、金融セクターへの追加的課税の可能性、特に金融取引税(FTT)の可能性についての議論が全てのレベルにおいてなされるようになった。この議論は、金融セクターによる危機の費用負担に対する貢献を確保すること、今後は他のセクターと同等の公平な課税が金融セクターに課されるようにすること、金融機関による過度のリスクを伴う活動を抑制すること、将来の危機の回避を目的として規制措置を補強すること、総予算または特定の政策目的のための追加的歳入を創出することを求める声から生じたものである。

(2)            当該の金融取引のほとんどは極めて移動性が高いことを念頭に置き、加盟国単独の措置による市場の歪みを防ぐことで域内市場の適切な機能を確保するためには、加盟国におけるFTTの基本的特徴は欧州連合レベルで整合化させることが重要である。これにより、欧州連合内での租税裁定行為に対するインセンティブの発生、欧州連合内の金融市場間の移転による歪みの発生、二重課税または課税の空白の発生を回避すべきである。

(3)            域内市場が適切に機能するためには、FTTは、組織された市場および「店頭」市場における仕組み商品、全てのデリバティブ契約の締結と修正を含む、幅広い金融商品に適用されるべきである。同じ理由から、FTTは広範に定義された金融機関に適用されるべきである。

(4)            「金融商品市場および理事会指令85/611/EEC、93/6/EEC、欧州議会および理事会指令2000/12/ECの修正、ならびに理事会指令93/22/EECの廃止に関する2004年4月21日欧州議会および理事会指令2004/39/EC」(MiFID)[17]の付属書Iに示された金融商品の定義には、集団投資事業のユニットも含まれる。これはつまり、譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)に関わる法律、規制および行政条項の協調に関する2009年7月13日欧州議会および理事会指令2009/65/EC[18]の第1条(2)に定義された、譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)の株券およびユニットも金融商品となることを意味する。また、オルタナティブ投資ファンド管理者および指令2003/41/EC、2009/65/EC、規則(EC) No 1060/2009、(EU) No 1095/2010の修正に関する2011年6月8日欧州議会および理事会指令2011/61/EU[19]の第4条(1)(a)に定義された、オルタナティブ投資ファンド(AIF)の株券およびユニットも金融商品となることを意味する。従って、これらの商品の引受けや償還はFTTの対象となるべき取引である。

(5)            金融市場の効率的で透明性ある機能を保つためには、それ自体が売買活動とは見なされずむしろ売買活動を促進する機能を果たしている、または加盟国を財政的に支援するために金融取引を行っているという理由から、一定の事業体を本指令の範囲から除外する必要がある。

(6)            金融機関の借り換えの可能性や金融政策全般に対する悪影響を回避するためには、欧州中央銀行との取引と同様に各国の中央銀行との取引もまたFTTの対象となるべきではない。

(7)            企業および政府による資本調達の阻害とならないように、また一般世帯への影響を回避するために、デリバティブ契約の締結または修正を除いて、プライマリー市場でのほとんどの取引および、保険契約の締結、住宅ローン、消費者信用、支払いサービスなどの市民・企業に関係のある取引は、FTTの範囲から除外されるべきである。

(8)            域内市場での歪みを回避するために、課税可能性および課税価額は整合化されるべきである。

(9)            課税時点は必要以上に遅延されるべきではなく、金融取引の発生時点と同時であるべきである。

(10)           企業および税務管理組織の費用を抑えられるよう課税価額の決定をできる限り容易にするためには、デリバティブ契約に関わるもの以外の金融取引については、通常は取引の中で与えられた対価を参照すべきである。対価が与えられていない、または与えられた対価が市場価格より低い場合、取引の価値を公正に反映したものとして市場価格が参照されるべきである。同様に計算を容易にするという理由から、デリバティブ契約が売買、譲渡、締結、修正された場合には想定元本が使用されるべきである。

(11)           無差別待遇の促進ために、取引の各カテゴリー(一方のカテゴリーはデリバティブ以外の金融商品の取引、他方のカテゴリーはデリバティブ契約の売買、譲渡、締結、修正)内では単一税率が適用されるべきである。

(12)           課税の焦点を市民ではなく金融セクター自体に合わせるために、また金融機関は金融市場での取引の圧倒的大部分を実施していることから、これらの機関が自己名義、他人名義、自己勘定、他人勘定のいずれで取引をした場合にも、本税はこれらの機関に適用されるべきである。

(13)           金融取引は移動性が高いことから、また租税回避の可能性を軽減するために、FTTは居住地原則に基づき適用されるべきである。

(14)           最低税率は本指令の整合化目的を達成するのに十分な高さに設定されるべきである。同時に、最低税率は移転のリスクを最小化するのに十分な低さでなければならない。

(15)           加盟国はFTTが正確かつ適時に課税されるために必要な措置を取る義務を負うべきである。脱税、租税回避、税の乱用を効率的に防止するために、加盟国は必要な場合は常に財政案件における相互支援に関する既存の法律文書を使用する義務を負うべきである。また該当する法規に従い金融セクターに義務付けられている報告・データ保守義務を活用する義務を負うべきである。

(16)           ある企業が本指令でいう金融機関と見なされる程度に一定の金融活動がその企業の活動のかなりの部分を占めているか否かを判断するための詳細ルールを採択できるよう、また脱税、租税回避、税の乱用からの保護に関する詳細ルールを採択できるよう、この目的の達成に必要な措置の指定について、欧州連合の機能に関する条約第290条に従い法令を採択する権限が委員会に委譲されるべきである。委員会が準備作業段階で専門家レベルの協議を含めた適切な協議を行うことが特に重要である。委任法令の作成準備および作成の際には、委員会は確実に理事会に対し関連文書を適切かつ適時に伝達すべきである。

(17)           本指令と資本調達への間接税に関する2008年2月12日理事会指令2008/7/EC[20]の間の対立を避けるため、その指令は適宜に修正されるべきである。

(18)           本指令の目的、すなわち欧州連合レベルにおけるFTTの基本的特徴の整合化は加盟国によって十分に達成することはできず、単一市場の適切な機能を確保するには欧州連合レベルにおいてより効果的に達成することができるため、欧州連合は欧州連合条約第5条に記載された補完性の原則に従い、措置を採択することができる。その条項に記載された比例性の原則に従い、本指令はこの目的の達成に必要な措置の範囲を超えていない。

 

1

課税対象、範囲、定義

 

1

課税対象、範囲

1.             本指令は金融取引税(FTT)の共通制度を制定するものである。

2.             本指令は、少なくとも取引の一方の当事者が加盟国に設立され、加盟国の領域内に設立された金融機関が自己勘定または他人勘定で取引当事者として関与するか、もしくは取引当事者の名義で関与した場合の、全ての金融取引に適用されるものとする。

3.             本指令は以下の主体には適用されないものとする:

(a)               欧州金融安定ファシリティ;

(b)              パラグラフ4ポイント(c)を条件として、2か国以上の加盟国により設立された国際金融機関で、深刻な資金問題に悩むかまたは脅かされている参加国のために財源を動員するまたは財政援助を行うことを目的としたもの;

(c)               集中清算機関(CCP)の機能を果たしている場合のCCP;

(d)              証券集中保管機関(CSD)、国際証券集中保管機関(ICSD)の機能を果たしている場合のCSDおよびICSD。

ただし、ある主体が第1サブパラグラフに準じて課税対象外となる場合、これはその取引相手に対する課税の可能性を除外するものではない。

4.             本指令は以下の取引には適用されないものとする:

                (a)             委員会規則 (EC) No 1287/2006[21]第5条ポイント(c)に定めるプライマリー市場取引。ただし、欧州議会および理事会指令2009/65/EC[22]第1条(2)に定義する譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)、ならびに欧州議会および理事会指令2011/61/EU[23]第4条(1)(a)に定義するオルタナティブ投資ファンド(AIF)の、株券およびユニットの発行および償還を除く;

                (b)            欧州連合、欧州原子力共同体、欧州中央銀行、欧州投資銀行との取引、および、欧州連合または欧州原子力共同体により設立された欧州連合の特権及び免除に関する議定書が適用される機関との取引。ただしこれは、その議定書およびその実施のための協定もしくはその本部協定の範囲内および条件下において、競争の歪みにつながらない範囲内に限定される;

                (c)             ポイント(b)に定めるもの以外の国際組織または機関で、その組織または機関のある国の公的機関にそのように認められている組織または機関との取引。ただしこれは、その機関を設立する国際条約または本部協定により規定された範囲内および条件下に限定される;

                (d)            加盟国の中央銀行との取引。

2

定義

1.             本指令では以下の定義が適用されるものとする:

(1)            「金融取引」とは、以下のいずれかをいう:

                (a)             レポ取引、リバースレポ取引、有価証券の貸借契約を含む、ネッティング、決済以前の金融商品の売買;

                (b)            ポイント(a)にあたる場合以外で、グループ内の企業間における、金融商品を所有者として処分する権利の譲渡、およびその金融商品に付随するリスクの移転を意味する同等の操作;

                (c)             デリバティブ契約の締結または修正;

(2)            「金融商品」とは、欧州議会および理事会指令2004/39/EC[24]の付属書IセクションCに定義する金融商品および、仕組み商品をいう;

(3)            「デリバティブ契約」とは、指令2004/39/ECの付属書IセクションCポイント(4)~(10)に定義する金融商品をいう;

(4)            「レポ取引」および「リバースレポ取引」とは、欧州議会および理事会指令2006/49/EC[25]第3条に定める取引をいう;

(5)            「有価証券貸付取引」および「有価証券借入取引」とは、欧州議会および理事会指令2006/49/EC第3条に定める契約をいう;

(6)            「仕組み商品」とは、欧州議会および理事会指令2006/48/EC[26]第4条(36)の意義の範囲内での、証券化を通して提供される売買可能な有価証券またはその他の金融商品、もしくは信用リスク以外のリスクの移転を伴う同等の取引をいう;

(7)            「金融機関」とは以下のいずれかをいう:

                (a)             指令2004/39/EC第4条に定義する投資会社;

                (b)            指令2004/39/EC第4条に定義する規制市場および、その他の組織された取引場所またはプラットフォーム;

                (c)             指令2006/48/EC第4条に定義する信用機関;

                (d)            欧州議会および理事会指令2009/138/EC[27]第13条に定義する保険、再保険事業;

                (e)             指令2009/65/EC第1条に定義する譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)および、指令2009/65/EC第2条に定義する管理会社;

                (f)             欧州議会および理事会指令2003/41/EC[28]第6条(a)に定義する年金基金または職域年金基金、そのような基金の投資顧問;

                (g)            指令2011/61/EU第4条に定義するオルタナティブ投資ファンド(AIF)およびオルタナティブ投資ファンドのマネージャー(AIFM);

                (h)            指令2006/48/EC第4条に定義する証券化特別目的事業体;

                (i)             指令2009/138/EC第13条(26)に定義する特別目的事業体;

                (j)             以下のうち1つ以上の活動を行うその他の企業。ただしこれらの活動が金融取引の量または額から見てその企業の活動全体のうちかなりの部分を占める場合に限る:

                                (i)             指令2006/48/EC付属書Iのポイント1、2、3、6に定める活動;

                                ii)             全ての金融商品について自己勘定または顧客の勘定による売買;

                                (iii)           事業における持株の取得;

                                (iv)           金融商品への参加または金融商品の発行;

                                (v)            ポイント(iv)に定める活動に関連するサービスの提供。

(8)            「集中清算機関」(CCP)とは、1つ以上の金融市場内での売買の取引当事者間に介入し、あらゆる売り手の買い手となり、あらゆる買い手に対する売り手となる法人をいう;

(9)            「ネッティング」とは、欧州議会および理事会指令98/26/EC[29]第2条に定義する意味を持つものとする;

(10)           「想定元本」とは、あるデリバティブ契約における支払金を計算する際に使用する、原資産の額面価額をいう。

2.             委員会は、第13条に従い、パラグラフ1(7)(j)に定める活動が企業の活動全体のうちかなりの部分を占めるか否かを判断するための詳細なルールを定める委任法令を採択するものとする。

3

設立

1.             本指令では、金融機関は以下の条件のいずれかが満たされた場合に、ある加盟国の領域内に設立されたと見なされるものとする:

                (a)             その加盟国の当局が所轄する取引については、その金融機関が金融機関として活動することをその当局が認可した場合;

                (b)            その金融機関がその加盟国で登記されている場合;

                (c)             その金融機関の定住所または常住地がその加盟国にある場合;

                (d)            その金融機関の支部が行う取引については、その加盟国内にその支部がある場合;

                (e)             その金融機関が、取引当事者として自己勘定または他人勘定で、もしくは取引当事者の名義で、ポイント(a)、(b)、(c)または(d)に準じてその加盟国で設立された金融機関、またはその加盟国の領域内で設立された金融機関以外の当事者と、金融取引を行う場合。

2.             パラグラフ1に記載されたリスト内の条件のうち2つ以上が満たされる場合、満たされた条件のうちリストの最も上位にある条件により設立加盟国が決定されるものとする。

3.             パラグラフ1の記述にかかわらず、FTTの納税義務者がその取引の経済的実質と加盟国の領域との間に関連性がないことを証明した場合には、金融機関はそのパラグラフの意義の範囲内においては設立されたと見なされないものとする。

4.             金融機関以外の者は、その者の登記された地位、または自然人の場合はその者の定住所もしくは常住地が加盟国にある場合、あるいはその者の支部が行う金融取引についてはその支部が加盟国にある場合に、その加盟国に設立されたと見なされるものとする。

2

課税可能性、課税価額、税率

 

4

FTTの課税可能性

1.             FTTは各金融取引が発生した時点で各取引に対し課税可能となるものとする。

 

2.            その後に生じた金融取引のキャンセルまたは修正は、エラーの場合以外は課税可能性に影響を与えないものとする。

 

5

デリバティブ契約に関連するもの以外の金融取引におけるFTTの課税価額

 

1.             第2条(2)のポイント1(c)に定めるもの以外の金融取引および、デリバティブ契約については第2条(1)のポイント1(a)および1(b)に定めるもの以外の金融取引では、課税価額は、譲渡と引き換えに取引相手または第三者から支払われた、または支払義務が生じた、対価を構成するもの全てとする。

 

2.             パラグラフ1の記述にかかわらず、そのパラグラフに定める場合で以下の条件下にある場合には、FTTが課税可能となった時点で決定される市場価格が課税価額となるものとする:

(a)             対価が市場価格より低い場合;

(b)            第2条(1)(b)に定める場合。

 

3.             パラグラフ2における市場価格とは、公正妥当な取引であった場合に関係する金融商品の対価として支払われるはずの価格全額をいうものとする。

6

デリバティブ契約に関連する金融取引における課税価額

 

第2条(1)のポイント1(c)に定める金融取引および、デリバティブ契約については第2条(1)のポイント1(a)および1(b)に定める金融取引では、FTTの課税価額は、金融取引の時点でのデリバティブ契約の想定元本とする。

 

1つ以上の想定元本が特定された場合、課税価額の決定には最も高い想定元本を使用するものとする。

 

7

課税価額に関する共通条項

 

第5条または第6条の下で、課税価額の決定に関連する価格の全額または一部が、課税する加盟国以外の通貨建てで表示されている場合に適用される為替相場は、FTTが課税可能となった時点で関係加盟国の最も代表的な為替市場で記録された最新の売り相場、またはその加盟国が規定したルールに従いその市場を参照することにより決定された為替相場とする。

 

8

適用、構造、税率

 

1.             加盟国はFTTが課税可能となった時点で有効な税率を適用するものとする。

 

2.             税率は課税価額に対するパーセンテージという形で各加盟国が定めるものとする。

 

これらの税率は以下の割合以上とする:

(a)               第5条に定める金融取引については0.1%;

(b)              第6条に定める金融取引については0.01%。

3.             加盟国はパラグラフ2(a)および(b)に準じて、同じカテゴリー内の金融取引全てに同じ税率を適用するものとする。

 

3

FTTの支払、関連義務、脱税、租税回避、税の乱用の防止

 

9

税務当局に対するFTT納税義務者

 

1.             各金融取引について、FTTは以下の条件のいずれかを満たす各金融機関により支払われるものとする:

(a)             その金融機関が取引当事者として自己勘定または他人勘定で活動する場合;

(b)            その金融機関が取引当事者の名義で活動する場合; または

(c)             取引がその金融機関の勘定で行われた場合。

2.             ある金融機関が他の金融機関の名義または勘定で活動する場合、後者の金融機関のみがFTT納税義務を負うものとする。

 

3.             取引で使用された勘定を持つ金融機関が、第10条(4)に記載された期限までにおさめるべき税金を支払わない場合、非金融機関を含む取引の各当事者は、その金融機関が納めるべき税金の支払いに対し連帯責任を負うものとする。

 

4.             加盟国は、本条項のパラグラフ1、2、3に定めるFTTの納税義務者以外の者をその税の支払いに対する連帯責任者として定めることができる。

 

10

FTTの納税期限、確実な納税のための義務、納税の確認に関する条項

 

1.             加盟国は、登録、会計、報告義務および、税務当局に納めるべきFTTの効率的な納税を確保することを目的としたその他の義務を規定するものとする。

 

2.             加盟国は、各税率で課税された取引の総額を含め、1か月間に課税可能となったFTTの計算に必要な情報すべてを記載した申告書を、FTTの納税義務者全員が税務当局に確実に提出するようにするための措置を導入するものとする。FTT申告書は、FTTが課税可能となった月の翌月10日までに提出するものとする。

 

3.             加盟国は、金融機関が指令2004/39/EC第25条(2)に当たらない場合、所管当局から提出を求められればすぐに提出できるよう、自己名義、他人名義、自己勘定、他人勘定を問わず金融機関が行った金融取引全てに関する関連データを、少なくとも5年間は確実に保管されるようにするものとする。

 

4.             加盟国は税務当局に納めるべきFTTが以下の時点で確実に支払われるようにするものとする:

(a)             取引が電子的に行われた場合は、課税可能となった時点;

(b)            その他の全ての場合、課税可能となった時点から3営業日以内。

 

5.             加盟国は、税が正しく支払われたか否かを所管当局が確実に確認するようにするものとする。

 

11

脱税、租税回避、税の乱用の防止に関する特定条項

 

1.             加盟国は脱税、租税回避、税の乱用を防止するための措置を導入するものとする。

 

2.             委員会は、第13条に従い、加盟国がパラグラフ1に準じて取るべき措置を特定する委任法令を採択することができる。

 

3.             加盟国は、必要な場合には常に、税務に関する行政協力について欧州連合により導入された条項、特に理事会指令2011/16/EUおよび2010/24/EUにより導入された条項を活用するものとする。また加盟国は、金融取引に関連する既存の報告義務およびデータ保守義務を活用するものとする。

 

4

最終条項

12

金融取引に対するその他の税

加盟国は、本指令のFTTおよび理事会指令2006/112/EC[30]に規定する付加価値税以外の金融取引に対する税を維持、導入しないものとする。

 

13

委任の行使

 

1.             本条項に規定された条件の下に委任法令を採択する権限が委員会に与えられる。

 

2.             第18条に定める日から不定期間に渡り、第2条(2)および第11条(2)に定める権限が委譲されるものとする。

 

3.             第2条(2)および第11条(2)に定める権限委譲は理事会によりいつでも取り消すことができる。取り消しの決定によりその決定に規定された権限委譲は終了するものとする。これは欧州連合官報(Official Journal of the European Union)で決定が公表された次の日、またはこの中で規定された後日に発効するものとする。これはその時点で既に実施されている委任法令の効力に影響を及ぼすものではない。

 

4.             委員会は、委任法令を採択し次第その旨を理事会に通知するものとする。

 

5.             第2条(2)および第11条(2)に準じて採択された委任法令は、理事会への法令の通知後2か月間に理事会からの異議申立てがない場合またはその期間の終了前に理事会が異議のない旨を委員会に通知した場合にのみ発効するものとする。その期間は理事会の主導により2か月間延長できるものとする。

 

14

欧州議会への情報

 

欧州議会は、委員会による委任法令の採択、これらに対する異議申立て、理事会による権限委譲の取り消しについて通知を受けるものとする。

 

15

指令2008/7/ECの修正

 

指令2008/7/ECを以下のように修正する:

(1)            第6条(1)のポイント(a)を削除する。

(2)            第6条の後に、以下の条項を挿入する:

6a

指令…/…/EUとの関係

本指令は理事会指令…/…/EU[31]を侵害するものではない。」

16

再検討条項

委員会は、5年ごと、最初については2016年12月31日までに、本指令の適用に関する報告および、適当な場合にはその修正に関する提案を、理事会に提出するものとする。

その報告の中で委員会は最低限、FTTが域内市場の適切な機能、金融市場、実体経済に与える影響を検討するものとし、金融セクターへの課税の国際的進展も考慮に入れるものとする。

17

移行措置

1.             加盟国は、遅くとも2013年12月31日までに、本指令の順守に必要な法律、規制および行政条項を採択、公布するものとする。加盟国は、それらの条項およびそれらの条項と本指令の相関表を直ちに委員会に伝達するものとする。

加盟国は、それらの条項を2014年1月1日から適用するものとする。

加盟国がそれらの条項を採択する際には、それらの条項に本指令が言及されるか、またはそれらの公布の際に本指令が言及されるものとする。その言及がどのようになされるかは加盟国が決定するものとする。

2.             加盟国は、本指令の適用を受ける分野について採択する国内法令の主要条項の条文を、委員会に伝達するものとする。

18

発効

本指令は、欧州連合官報(Official Journal of the European Union)での公布日の翌日から起算して20日目に発効するものとする。

19

発出先

本指令は加盟国に発出する。

ブリュッセルにて

理事会

議長

 

付属書

立法上、財政上の声明

 

1.             本提案・イニシアティブの枠組み

 

1.1.           本提案・イニシアティブの表題

 

金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令

1.2.           ABM/ABB構造に関係のある政策分野

 

14 05 課税政策

 

1.3.           本提案・イニシアティブの性格

 

新たな措置に関わる提案

1.4.           目的

1.4.1.        本提案により達成を目指す委員会の多年度戦略的目標

 

金融安定化

1.4.2.        具体的目標および関連するABM/ABB活動

 

具体的目標 No.3

EU政策目標を促進するために新たな課税イニシアティブ・措置を創り出す。

関連するABM/ABB活動

14章 税制・関税同盟; ABB 05 税制政策

1.4.3.        期待される成果

 

協調性のない国家レベルの課税策導入が増加している現状を念頭に置き、金融サービスの域内市場における分断化を回避する。

 

金融機関が近年の危機のコストを公平に負担し、金融セクターと他のセクターが同等に課税されることを確保する。

 

過度にリスクのある取引に対し適切な阻害要因を作り、将来の危機回避を目的とした規制措置を補強する。

1.5.           本提案・イニシアティブの根拠

1.5.1.        短期的、長期的に満たすべき要件

 

金融危機後のEUにおける安定化という全体目標への貢献

1.5.2.        EUの関与がもたらす付加価値

 

EUレベルで対策を実施することによってのみ、様々な活動に渡る国境を越えた金融市場の分断を回避し、EU内の金融機関の平等な待遇を確保し、最終的には域内市場の適切な機能を確保することが可能となる。

1.5.3.        過去の類似の経験から得た教訓

 

広範囲の税基盤を持つFTTを国レベルで導入することにより深刻な移転を招くことなく上記3つの目標を達成することは、ほとんど不可能であることが分かっている(スウェーデンの例)。

1.5.4.        他の関連法律文書との首尾一貫性および相乗効果の可能性

 

税はグローバルな解決の枠組みの一環である。さらに、委員会はFTTの税収を将来の自己資金として使用することを提案している。

1.6.           継続期間および財政的影響

 

無期限の提案

1.7.           想定される管理方法

 

本提案は行政費用の増加によりEUに財政的影響を与える。

 

委員会による集権的直接管理

 

以下の者への実施業務の委託を伴う集権的間接管理:

 

欧州連合条約第5章に準じて特定の活動の実施を委任され、財政規則第49条の意義の範囲内で関連基本法において認定された者。

 

加盟国との共有管理

 

第三国との分権的管理

 

国際機関(今後指定される予定)との共同管理

 

2.             管理方法

2.1.           監視、報告ルール

 

加盟国は、確認方法を含め、FTTが正確かつ適時に課税されるための適切な措置を取らなければならない。

 

納税を確保し正確な納税を監視、確認するための適切な措置の提供については、加盟国に任される。

2.2.           管理、抑制制度

2.2.1.        特定されたリスク

 

1. 本指令の加盟国レベルでの実施の遅延

2. 脱税、租税回避、税の乱用のリスク

3. 移転のリスク

2.2.2.                        想定される抑制方法

 

本指令第11条では、委任法令および税務に関する行政協力という、脱税、租税回避、税の乱用の防止に関する具体的な条項が記載されている。

 

移転のリスクには、適切な税率の選択および広範な課税基盤の規定により対処する。

2.3.           不正行為の防止対策

既存または想定される防止、保護措置を特定する。

 

3.             本提案・イニシアティブの財政に対する影響の概算

3.1.           影響を受ける多年度財政枠組みの見出しおよび歳出予算項目

Ÿ 既存の歳出予算項目

多年度財政枠組み見出し・予算項目順に記載

多年度財政枠組み見出し

予算項目

歳出の種類

拠出

番号

 

[種類………]差別化/非差別化1EFTA2加盟国より加盟準備国3より第三国より財政規則第18条(1)(aa)の意義の範囲内で[XX.YY.YY.YY]差別化/非差別化有/無有/無有/無有/無

Ÿ 新たに要求された予算項目

多年度財政枠組み見出し・予算項目順に記載

多年度財政枠組み見出し

予算項目

歳出の種類

拠出

番号

 

[見出し………]差別化/非差別化EFTA加盟国より加盟準備国より第三国より財政規則第18条(1)(aa)の意義の範囲内で[XX.YY.YY.YY] 有/無有/無有/無有/無

3.2.           支出に対する影響の概算

3.2.1.        支出に対する影響概算の概要

100万ユーロ(小数点第3位まで)

多年度財政枠組み見出し 番号 [見出し… … … … … … ]

 

総局: <… …> N4 N+1年 N+2年 N+3年 …影響の継続期間を示すために必要な年数を全て記入(ポイント1.6参照) 合計
Ÿ 運営予算
予算項目の番号 割当分 (1)
支払分 (2)
予算項目の番号 割当分 (1a)
支払分 (2a)
特定のプログラム用から供給された行政的性格の予算5
予算項目の番号 (3)
合計

総局<… …>用の予算割当分=1+1a

+3該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず支払分=2+2a

+3該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず

 

Ÿ 運営予算合計 割当分 (4) 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず
支払分 (5) 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず
Ÿ特定のプログラム用から供給された行政的性格の予算の合計 (6)
多年度財政枠組み見出し<….>の予算合計 割当分 = 4 + 6 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず
支払分 = 5 + 6 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず

本提案・イニシアティブに1つ以上の見出しが影響を受けた場合:

Ÿ 運営予算合計 割当分 (4)
支払分 (5)
Ÿ特定のプログラム用から供給された行政的性格の予算の合計 (6)
多年度財政枠組み見出し14の予算合計(参照額) 割当分 = 4 + 6 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず
支払分 = 5 + 6 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず

 

多年度財政枠組み見出し:

5

「行政支出」

100万ユーロ(小数点第3位まで)

2013 2014 2015 2016 2017以降
総局: 税制・関税同盟総局
Ÿ 人的資源 0.254 0.762 0.762 0.762 0.762
Ÿ その他の行政支出 0.040 0.036 0.036 0.036 0.036
税制・関税同盟総局合計 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798

 

多年度財政枠組み見出し5の予算合計 (割当分合計=支払分合計) 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798

100万ユーロ(小数点第3位まで)

2013 2014 2015 2016 2017以降

多年度財政枠組み見出し15の予算合計

割当分 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798
支払分 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798

 

3.2.2.        運営予算に対する影響の概算

                - X 本提案・イニシアティブは運営予算の使用を必要としない。

 

3.2.3.        行政的性格の予算に対する影響の概算

 

3.2.3.1.     概要

X 本提案・イニシアティブは以下の通り行政予算の使用を必要とする:

 

100万ユーロ(小数点第3位まで)

2013 2014 2015 2016 2017以降

 

多年度予算枠組み見出し5
人的資源 0.254 0.762 0.762 0.762 0.762
その他の行政支出 0.040 0.036 0.036 0.036 0.036
多年度予算枠組み見出し5小計 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798

 

多年度予算枠組み見出し5以外6  

 

 

人的資源     その他の行政的性格の支出     多年度予算枠組み見出し5以外の小計該当せず該当せず該当せず該当せず該当せず

 

合計 0.294 0.798 0.798 0.798 0.798

3.2.3.2.     必要とされる人的資源の概算

X 本提案・イニシアティブは以下の通り人的資源の使用を必要とする:

概算は全額で表示(または小数点第1位まで)

2013 2014 2015 2016 2017以降
Ÿ 機関内計画ポスト(職員、臨時職員)
14 01 01 01 (本部および委員会代表事務所) 0.254 0.762 0.762 0.762 0.762
14 01 01 02 (代表部) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
14 01 05 01 (間接的研究) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
10 01 05 01 (直接的研究) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
Ÿ 外部人員(単位:フルタイム当量(FTE))7
14 01 02 01 (「グローバル用」から、CA、INT、SNE) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
14 01 02 02 (CA、INT、JED、LA、代表部のSNE) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
XX 01 04 yy8 -本部9 p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
-代表部 p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
XX 01 05 02 (CA、INT、SNE - 間接的研究) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
10 01 05 02 (CA、INT、SNE - 直接的研究) p.m. p.m. p.m. p.m. p.m.
その他の予算項目(特定する)
合計 0.254 0.762 0.762 0.762 0.762

14は関係する政策分野、予算の章番号。

 

必要な人的資源は本措置の管理のために既に配置された総局のスタッフ、および/または総局内で再配置されたスタッフで賄われる。必要な場合は、年次配置手続きの下で予算上の制約に照らして管理担当総局に追加人員が配置される。

 

職務の内容:

職員、臨時職員 税制・関税同盟総局の現在のスタッフはFTT共通システムという課題を完全に考慮して配置されているとはいえず、内部での再配置が必要である。配置された職員の主な職務は、交渉プロセスを促進するための本税の実質的な機能に関する専門的事項の詳細策定、それに続く実施状況のモニタリング、法解釈および作業文書の作成、委任法令の租税回避・乱用対策条項への寄与、必要に応じて侵害調査手続きの作成などである。

3.2.4.        現在の多年度財政枠組みとの適合性

X 本提案・イニシアティブは現在の多年度財政枠組みと矛盾しない。

3.2.5.        第三機関による寄与

- 本提案・イニシアティブでは、第三機関による協調融資について規定していない。

 

3.3.           歳入に対する影響の概算

X 本提案・イニシアティブによる歳入への財政的影響はない。

 

*原文: http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/documents/taxation/other_taxes/financial_sector/com(2011)594_en.pdf


[1] COM(2010) 549 final

(http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2010:0549:FIN:EN:PDF)

[2] 特に、ユーロ圏の首脳・政府首班は2011年3月11日の欧州理事会で「ユーロ圏、EU、国際レベルにおいて金融取引税の導入をさらに検討し、発展させるべき」ことに合意した。これに続く2011年3月24、25日の欧州議会においても世界的な金融取引税の導入をさらに検討し発展させるべきとの結論が改めて表明された。

[3] 欧州議会は2010年3月10日、25日および2011年3月8日、FTTの長所と短所を検討する影響評価の実施を委員会に求める決議を採択した。欧州議会はさらに、EU予算への寄与、途上国における気候変動の適応策と緩和策に対する支援提供のための革新的資金調達メカニズムとしての活用、開発協力の資金調達という観点から、FTTの各種案の可能性を評価するよう要請した。

[4] 金融・保険サービスのほとんどはVAT(付加価値税)から免除されている。

[5] COM(2011) 510 final

http://ec.europa.eu/budget/library/biblio/documents/fin_fwk1420/proposal_council_own_resources_en.pdf

[6] COM(2010) 700 final

(http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2010:0700:FIN:EN:PDF)

[7] COM(2011) 510 final

(http://ec.europa.eu/budget/library/biblio/documents/fin_fwk1420/proposal_council_own_resources_en.pdf)

[8] この対象範囲は、「金融商品市場および理事会指令85/611/EEC、93/6/EEC、欧州議会および理事会指令2000/12/ECの修正、ならびに理事会指令93/22/EEC (OJ L 145, 30.4.2004, p. 1)の廃止に関する2004年4月21日欧州議会および理事会指令2004/39/EC」の付属書Iに示された金融商品の定義を参照している。この定義によると集団投資事業のユニットも金融商品に含まれている。従って、指令2009/65/EC (OJ L 302,17.11.2009, p. 32)の第1条(2)に定義された譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)の株券・ユニットおよび、指令2011/61/EU (OJ L 174, 1.7.2011, p. 1)の第4条(1)(a)に定義されたオルタナティブ投資ファンド(AIF)は金融商品である。このため、これらの商品の引受けや償還は本提案の意義の範囲内では金融取引と見なされる。

[9] 特に指令2004/39/EC(前脚注を参照)。

[10] OJ L 64, 11.3.2011, p. 1

[11] OJ L 84, 31.3.2010, p. 1

[12] http://www.oecdilibrary.org/docserver/download/fulltext/2311331e.pdf?expires=1309623132&id=id&accname=ocid194935&checksum=37A9732331E7939B3EE154BB7EC53C41

[13] OJ L 347, 11.12.2006, p. 1

[14] OJ L 46, 21.2.2008, p. 11

[15] OJ C …, …, p..

[16] OJ C …, …, p..

[17] OJ L 145, 30.4.2004, p. 1–44

[18] OJ L 302, 17.11.2009, p. 32–96

[19] OJ L 174, 1.7.2011, p. 1–73

[20] OJ L 46, 21.2.2008, p. 11

[21] OJ L 241, 2.9.2006, p. 1

[22] OJ L 302, 17.11.2009, p. 32

[23] OJ L 174, 1.7.2011, p. 1

[24] OJ L 145, 30.4.2004, p. 1

[25] OJ L 177, 30.6.2006, p. 201

[26] OJ L 177, 30.6.2006, p. 1

[27] OJ L 335, 17.12.2009, p. 1

[28] OJ L 235, 23.9.2003, p. 10

[29] OJ L 166, 11.6.1998, p. 45

[30] OJ L 347, 11.12.2006, p. 1–118

[31] OJ L ….., …., p

1 差別化=差別化された予算/非差別化=差別化されていない予算。

2 EFTA:欧州自由貿易連合。

3 加盟準備国および、該当する場合には西バルカン諸国の加盟準備国となる可能性のある国。

4 N年は本提案・イニシアティブの実施開始年。

5 EUのプログラム・措置を支援するための技術・行政支援および支出(元「BA」項目)、間接的研究、直接的研究

6 EUのプログラム・措置を支援するための技術・行政支援および支出(元「BA」項目)、間接的研究、直接的研究

7 CA=契約職員、INT=臨時スタッフ(「Intérimaire」)、JED=「Jeune Expert en Délégation」(代表部の若年層専門家)、LA=現地職員、SNE=補助的国家専門家。

8 運営予算(元「BA」項目)から外部人員用の上限以下で。

9 基本的には、構造基金、欧州農業農村振興基金(EAFRD)、および欧州漁業基金(EFF)用。