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『世界』11月号での寺島実郎氏の論考=米大統領選と金融取引税
2016.10.22
『世界』11月号での寺島実郎氏の論考=米大統領選と金融取引税

世界11月号

 

米国大統領選挙も第3回目のテレビ討論会を終え、いよいよ2週間後に投票となりました。この大統領選挙のもつ今日的、あるいは時代的意義は何なのか? このことにつき月刊誌『世界』11月号(岩波書店)で、寺島実郎氏が「2016年米大統領選挙の深層課題―民主主義は資本主義を制御できるか」と題し、縦横無尽に語っています。

 

「格差と貧困」をもたらす「経済の金融化」をいかに制御するか―欧州金融取引税に注目

 

タイトルにもあるように、氏の論考は大統領選挙だけではなく今日の資本主義の本質的課題も展開しています。超簡単にまとめてみます。

 

「…この民主主義と資本主義の緊張関係のバランスが近現代史の主題であった」が、80年代から冷戦終焉以降、「新自由主義」の名のもとに、とくに金融資本が肥大化し、「…健全な経済社会へと制動をかける力(注:民主主義のこと)を失ったかに見える」。

 

ところが、「資本主義の総本山たる米国の大統領選挙」で両候補とも、今や「新自由主義からの決別を語っている」(TPP見直し・反対、グラス・スティーガル法の復活など)。両候補が「どこまで本気かは別にして」資本主義改革に触れざるをえないほど、資本主義の変質は顕著であり、これに対して米国の民主主義が機能するかどうか注目される。

 

「『経済の金融化』が進む21世紀資本主義の変質と民主政治に齟齬が生じ格差と貧困を増幅させていることは、欧州においても政治の中心課題に浮上しており、BREXIT後の英国を率いることになったメイ首相も…『資本主義改革』…を強調している」。

 

「今や実体経済の4倍を超すまでに肥大化した金融資産…、ICTで武装した金融工学の進化により制御不可能とさえ思われるマネーゲームの自己増殖をいかに人間社会のあるべき仕組みにおいてコントロールできるか、それこそが格差と貧困を克服する起点であり、新しい公正な政策科学が求められている。EU10カ国が進める金融取引税の導入など国際連帯税の動きが重要になる」。

 

「おそらく、この『資本主義改革』という世界的テーマがまったく自覚できていないのが日本であろう。…産業活動や家計消費など実体経済は動かず、(エスカレートする日銀の異次元金融緩和など)金融政策に過剰依存した経済政策が展開されているのである」。<以下、省略>