2月のFTT国際電話会議の内容をお知らせします。欧州では、残念ながら昨秋の合意からの進展はなく、「主要部分の詳細を詰めていく作業はまだ始まっていない」とのことです。そういう中で、ドイツでは「FTTカウント時計」キャンペーンを実施中とのこと。以下、会議の内容です。
金融取引税(FTTs)に関する市民社会国際電話会議 ― 2017年2月2日
(抜粋・要約)
1、欧州の近況: BY DAVID HILLMAN (STAMP OUT POVERTY) & PETER WAHL (WEED)
・モスコヴィシ前仏財務相・現EU欧州委員会租税担当委員は、来るフランス大統領選(4月)とドイツ総選挙(10月)がFTTの最終合意に向けた追い風となっている(妥結できれば現政権にとってプラスになる)という見方を示しているが、選挙プレッシャーが本当に功を奏しているかは怪しい。
・昨年の秋に合意したEU FTTの「主要部分(コア・エンジン)」から詳細を詰めていく作業はまだ始まっていない。コア・エンジンの法案化には着手したものの壁にぶつかっている。
・参加10カ国のうち、ベルギーとスロベニアが対極の立場にある。ベルギーは年金と保険(生保および損保)の双方を課税対象外としたいが、スロベニアは税収確保の観点からいかなる例外も認めない立場をとっている。
・これまで長らくFTTグループの取りまとめ役を買ってでていたオーストリアは、そろそろ限界にきている。
・ドイツとフランスの金融セクターはそれぞれ自国政府に対して、Brexitによってイギリスからビジネスを呼び込めるかもしれないチャンスをFTTが台無しにしてしまうとプレッシャーをかけている。これに対しAvinash Persaud(注:シンクタンクIntelligence Capitalの所長)は、小規模なFTTであれば銀行は移転しないだろうと指摘している。
・交渉が長引き遅れているようにも見えるが、これはEnhanced Cooperation(強化された協力)手続きの通常のスケジュールであることを忘れてはならない。同手続きは過去2回しかなく、一方(統一特許)は10年間、もう一方(家族法)は5年間かかった。
・ドイツでは「FTTカウント時計」なるキャンペーンを実施中。合意締結が叶わなかった昨年12月6日からどれだけの税収が失われたかを積算しているもの。
・2017年3月25日のEUのローマ条約調印60周年には、EUの未来に不可欠なものの一つとしてFTTを求める署名運動を実施する予定。
2、アメリカの近況:BY SARAH ANDERSON (INSTITUTE FOR POLICY STUDIES)
・最近実施した上院議会職員向けの会合の参加は上々で、FTTに焦点を当てたイベントやTake on Wall Streetキャンペーンの他の重要事項を推し進めていく計画を立てた。これは進歩派議団員(Progressive Caucus)の予算案に入る予定。もしかすると民主党予算案にも入るかもしれない。
3、G20:
・ショイブレ独財務相はすでに提出していたサミット議題案をトランプ政権が誕生したのち変更し、FTTを議題から外した。
・次回会合:2017年3月2日
(翻訳:K.TSUDA)