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財務省、外資系企業への課税強化>が、アマゾンは日本で法人税を払わず
2017.11.05
財務省、外資系企業への課税強化>が、アマゾンは日本で法人税を払わず

財務省は日本で営業している外資系企業への課税対象を広げるため、来年の通常国会で法改正するとのことです(下記参照)。が、日本で営業しているなら、日本国に法人税やら一般消費税を払うのが当然でしょう、財務省は何を今さら寝ぼけたことを言っているのか、とお思いでしょうが、実は税を払っていない外資系企業があるのです。

 

その筆頭が、みなさんもよく利用するアマゾン・ドット・コム社(以下、アマゾン)です。アマゾンは法人税を払っていません(一般消費税は2015年10月から課税されることに)。アマゾンは千葉県などに100%子会社のアマゾンジャパン合同会社という巨大な配送センターを持ち、日本人を顧客として大規模なネット販売ビジネスを展開し、その売り上げは、何と!昨年で1兆1千億円もあったのにもかかわらず、です(純利益は分かりませんが数百億円に上るでしょう)。

 

(法人税を払わないなんて)そんな馬鹿な、と思いますが、外国企業(非居住者等)に関しては日本国内に支店や支社などのなどの拠点がなければ法人税をかけられないというのです。それは「恒久的施設(PE)」と言い、「PEなければ課税なし」というのがこれまでの原則でした。でも、アマゾンには巨大な配送センターがあるではないか、これはPEそのものではないか、と誰でも思うでしょう。ところが、「『倉庫はPEには当たらない』(正確には、『倉庫の様々な機能を活用した活動の全体が、準備的・補助的なものである場合にはPEに当たらない』)」という規則ゆえに(森信茂樹・東京財団上席研究員/税・社会保障調査会座長)、配送センター等はPEではないと言うのです。

 

そんな馬鹿な!(これで馬鹿を二回使いました-失礼)ということで、実はOECDがこのような規定は租税回避に繋がるのではないかということで、「グローバル企業は払うべき(価値が創造される)ところで税金を払うべきとの観点」に立って、BEPS(税源侵食・利益移転)プロジェクトをスタートさせたのです。そこでは「人為的にPEの認定を逃れることを防止するために、租税条約のPEの定義を変更する」(行動7)とされたのです。

 

が、BEPSプロジェクトは勧告であり法的な拘束力がありませんので、行動7につき行動15(多国間協定の開発)で対応するとしたのです。そしてついに、2016年11月24日100を超える国・地域が多国間協定の交渉妥結に至ったのです。これを受けて、日本の財務省も、冒頭に述べたように、「現在は支店や支社などの拠点がなければ法人税をかけられないが、大型の配送用倉庫などがあれば課税できるようにする」として外国企業の課税対象の拡大を企図し、国内法を改正する段取りへと進んだのです。

 

これで、ようやくアマゾンからも法人税を取れる!と思ったのですが、何と先の多国間協定につき米国が署名していないことと、(古いPE規定のままの)日米租税条約があるため、いぜんとしてアマゾン等米系グローバル企業からは法人税を取れないまま推移しそうです。同じ悩みを抱えるEUは国際的に決まらなければ(米系企業に適用できなければ)、EU独自策を取ると言っています。日本もぜひそうすべきではないでしょうか。

 

追記. では日本での売り上げは、(日本にあるアマゾンジャパン合同会社ではなく)米国のワシントン州法人である Amazon.com Int’l Sales, Inc. に入り、同社が米国に法人税を払っているという形となっている。すると、ものすごく円安(ドル高)になったら、米国のアマゾンはすごく損をすることになると思うのだが…? (逆に、円高・ドル安になれば為替差益=不労所得そのもの=が生じますが)

 

 

【日本経済新聞】財務省 外資への法人税課税の対象拡大

 

 財務省は日本で営業する外資企業の課税対象を広げる。現在は支店や支社などの拠点がなければ法人税をかけられないが、大型の配送用倉庫などがあれば課税できるようにする。ネット通販企業などにも法人税を課せるようにする。日本、欧州、中国などが参加する多国間協定に対応して、2018年の通常国会で関連法を改正する見込みだ。

 一方で米アマゾン・ドット・コムのような米国企業の場合は見直しの対象外だ。米国はOECDの多国間協定に署名しておらず、日米間の租税条約が適用されるため課税されない。

 

 グローバルに展開するIT企業のなかにも認定できるPEがなく、国内で事業展開していても課税対象外となる企業がある。欧州委員会は「国際的な進展が乏しければ、EU独自策を導入すべきだ」と主張しているが、日本はグローバルに協調すべきだとの立場だ。

 

図は、「アマゾン日本事業の売上はほぼアメリカへ ~自国の税金をどう確保していくか~」よりお借りした。
https://manetatsu.com/2016/06/66812/