パリ協定採択からちょうど2年目の12月12日、パリ近郊で「ワン・プラネット・サミット」が開催されます。このサミットは主宰がフランス政府ということもあり(国連、世界銀行が共催)、日本ではあまり報道されていませんが、時事通信は次のように伝えています。
「サミットには政府だけでなく企業やNGOなどから計約2000人の関係者が参加し(注:4000人参加との報道も)、温室効果ガスの抑制と経済成長を両立する方策を話し合う。河野太郎外相も出席し、日本の取り組みについて説明する見通しだ」(12月10日付「パリ協定推進へ環境サミット=仏主催、米大統領招待せず」)。
このサミットの主な目的は気候変動対策資金の創出に向けての議論にあるようです。11月に開催された気候変動枠組条約・COP23で、米トランプ大統領の「パリ協定」離脱表明を受けて、途上国支援のための資金問題で対立が目立ったことは記憶に新しいところです。
そこで気候変動問題に並ならぬ政治的意思を持っているフランスがこのサミットを機に「資金問題」でも国際的なイニシアティブを発揮しようとしているようです。
●サミット前に仏政府4閣僚が欧州金融取引税を強く要求
この4閣僚とは、ブリュノ・ル・メール財務相とジャン=イヴ・ル・ドリアン外務相、ニコラ・ユロ環境相、フレデリック・ヴィダル高等教育大臣ですが、Le Journal du Dimanche紙に共同声明として掲載されました。
骨子は、次の通りです。フランスはすでに金融取引税を導入し(注:株式購入に0.2%課税、17年は0.3%に)、昨年は11億ユーロの税収を上げ、環境政策の資金として役立てている。政府は、この金融取引税を欧州連合(EU)規模に拡大し、気候変動対策のための資金調達に向け推進する方針である。EU規模の金融取引税は2020年までに毎年50億ユーロ(59億ドル=約7000億円)の税収を得ることができる。
「4人の閣僚は、『欧州でこの税制が適用されるように推進し、全員にこの連帯の努力に参加するよう求めている』と述べた」とのことです。
【ロイター】France to push for European financial transactions tax
●「ワン・プラネット・サミット」は、フランス、国際連合、世界銀行の共催で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、ウィ・ミーン・ビジネス、気候エネルギー首長誓約、ヨーロッパ委員会、C40世界大都市気候先導グループ、経済開発協力機構(OECD)、ブルームバーグ・フィランソロピーズの協力、そして参加国は100か国超という大掛かりなものです。
*ライブ配信もありますので、関心のある方はご覧ください(公式HPから)。