米IT企業の大手であるフェイスブックは、これまで広告収益を実質タックスヘイブンであるアイルランドの法人に集め、そこで納税していましたが(従って、日本やEU各国に法人税を払っていなかった)、今後は売り上げ発生地で納税することにした(従って、日本やEU各国に法人税を払う)とのことです。下記日本経済新聞の記事をご覧ください。
「『本来払うべき税金を納めていない』との批判」の高まりの前に、フェイスブックも心を改めて法人税を払う気持ちになったのでしょうか。もしそうであればたいへん結構なことだと思います。
しかし、同記事は「フェイスブックは…売上高のうち98%は広告収入が占める。課税額が増えるかについては『今後フェイスブックは各国で生じた知財使用料を費用計上する』(ウォール・ストリート・ジャーナル)との指摘もあり、不明瞭だ」と報じています。つまり、各国内で売り上げが増えても、知財使用料を“がっぽり”と取るので(その国での)利益は少なくなるから、そうたいして法人税を払わなくて済む、というのでしょうか。監視が必要ですね。
ところで、フェイスブックの決算を調べた人がいて、「(Facebook Q3 2017 Resultsによると)税引前純利益が$5.2B(約5,200億円)あるのに対し、法人税として支払っているのが$529M(約529億円)で、実効税率が10%となっています」と報告しています。で、Facebookが納めている法人税のあまりにも少ないことに驚いた、と言っています。下記の「Facebook決算で見るべきは驚くほど低い『法人税』だ」をご覧ください。
また、筆者は米国と日本のIT企業の実効税率も調べていまして、それは次の通りです。
《米》Facebook: 10%
《米》Google/Alphabet: 16%
《米》Apple: 24.6%
《日》ヤフー: 31%
《日》サイバーエージェント: 46%
【日経新聞】フェイスブック、納税は売り上げ発生地で 戦略転換
【ロサンゼルス=中西豊紀】交流サイト(SNS)大手の米フェイスブックは12日、税率の低いアイルランドの法人で一括処理している納税戦略を変更し、今後は売り上げが立った国それぞれで税金を支払うと発表した。欧州を中心に「課税逃れ」との指摘が出ているためで、規模拡大とともに高まるIT(情報技術)企業への反発感情に配慮したものとみられる。
…(中略)…
フェイスブックは17年7~9月期決算の売上高が103億2800万ドルと四半期ベースで初めて100億ドルを超えた。売上高のうち98%は広告収入が占める。課税額が増えるかについては「今後フェイスブックは各国で生じた知財使用料を費用計上する」(ウォール・ストリート・ジャーナル)との指摘もあり、不明瞭だ。