本日の日経新聞の『経済教室/巨大IT企業と税制』に、森信茂樹・中央大学特任教授の「課税へ当局の知恵問われる」と題した所論が載っており、いわゆるデジタル課税問題につきどのように解決していくべきか、一定の方向性を示しています。
デジタル課税問題を一言でいえば、アップルやアマゾンなど巨大IT企業が実際にビジネスを展開している国(消費国・源泉国)からその利益を低税率国やタックスヘイブンに移転し、極端な節税を図っていること。このため、消費国に入るべき税金が入らず(逆にこれらIT企業は消費国の様々なインフラへのフリーライダーとなっている)、また自国競合企業との競争を阻害するという問題を生じさせています。
これはよくない、ということで、OECDやG20財務相・中央銀行総裁会議等で国際ルールをきちんと決めようとしていますが、本格的課税案は2020年まで延ばされました。が、これではたまらんということで、EUは根本的課税案に至るまで暫定案を提示し、これを実施しようとしています。それは「IT企業の売上高に3%の間接税を課する」、というものです(が、米国は大反対し全面対決も辞さないと言明)。
当然、EUと同じく巨大IT企業の節(脱)税被害にあっている我が国も、EUと連動し、まずは売上高税を実施すべきだと思うのですが、森信教授は「米国の反発を招けば、根本的改革案の合意は不可能となる」ので、米国の賛同を得るように努力すべきと言い、「安易な(EU暫定案への)同調は避けるべきだ」とまで言っています。
しかし、米国の一方的な鉄鋼・アルミ輸入関税の引上げに見られるように、今の米国政権は自国産業擁護で凝り固まっていますので、根本的改革案に至るのはほとんど無理です。この際EUががんばろうとしているのですから同調して連動すべきです。そもそもアマゾン・ドットコムは我が国で1.6兆円もの売上を誇っていますが、税金はほとんど払っていないのですから。
【日経新聞】巨大IT企業と税制(上) 課税へ当局の知恵問われる
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