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通常国会での河野外相の外交演説>革新的な資金調達メカニズム創設の訴え
2019.01.29
通常国会での河野外相の外交演説>革新的な資金調達メカニズム創設の訴え

昨日(1月28日)から第198回通常国会がはじまり、冒頭安倍首相の施政方針演説に続いて、河野太郎外務大臣の外交演説も行われました。演説内容は、内閣方針である6つの課題(日米関係、近隣諸国等との関係の強化、多角的貿易体制の堅持、地球規模課題の解決への貢献、対中東政策の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の実現)についてと、もうひとつ「河野大臣の独自的課題」について、でした。

 

●全演説中内閣課題が31%、独自的課題が69%占める

 

ざっと演説を読みまして、ユニークなのは内閣方針より「河野大臣の独自的課題」ともいうべき内容の圧倒的多さでした。正確には「外務大臣としての河野氏の独自的課題」と言うべきでしょうが、「今回は、これら(注:6つの重点的課題)に加えて、いくつかのことを申し上げたいと思います」という部分ですね。

 

字数で言いますと、前者が2318文字、後者が5127文字で、それぞれ全演説中31%と69%を占めています(ただし、冒頭あいさつと最後の結びの部分は除く)。ちなみに、前回の第196回国会での外交演説(2018年1月22日)では、重点6課題を述べるのみで、独自的課題を述べてはいません。

 

●外交の基本、人間の安全保障を中心とするODAそして革新的な資金調達メカニズム

 

さて、独自的課題の部分を読みますと、まず外交の基本が次のように述べられています。「日本は、軍事力を背景とした外交を行うことはありません。一方、我が国外交の大きな柱であるODAはピークからほぼ半減しています。知恵と工夫による我が国の『裸の外交力』が試される時代になりました」。

 

またODAに関しては、「背伸びをせず、身の丈にあった、人間の安全保障を中心とする日本らしいODAを目指します」と述べています。

 

そしてさまざまな課題がある中で、SDGs達成のために次のように訴えています。【注:「革新的な資金調達メカニズムが必要です」⇒「国際連帯税など革新的な資金調達メカニズムが必要です」と述べてもらった方がより明示的でしたが…】

 

「今や世界的に難民、避難民の数は約7,000万人に達し、第2次世界大戦後最多となっています。気候変動の影響で台風や集中豪雨などの自然災害は激甚化することが予想されています。2030年までにSDGsを達成するためには、毎年2兆5000億ドルの資金ギャップを克服しなければならないと言われていますが、我が国を始め、先進国の多くは厳しい財政制約に直面しています。そのため、革新的な資金調達メカニズムが必要です。グローバリゼーションから利益を得た者が、その利益の一部を人道支援のために国際機関に提供することが求められます。国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、グローバリゼーションがもたらす利益の一部を活用し、それを地球規模課題の対策に充てる国際的な資金調達の方法は議論を深める価値のある一つのアイデアです。日本は、こうした議論の先頭に立ってまいります。」

 

第198回国会における河野外務大臣の外交演説:全文
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pp/page3_002672.html

 

★写真は、昨年の第196通常国会で外交演説を行う河野外相(自由民主党のHPより)