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11.13議連総会報告:外務大臣要請書を手交、議員立法も射程
2019.11.25
11.13議連総会報告:外務大臣要請書を手交、議員立法も射程

★総会全体

 

遅れましたが、11月13日外務省の中谷真一大臣政務官も出席され開催された国際連帯税創設を求める議員連盟の第2回総会について、そのもようと議連活動の今後について報告します。

 

総会は衛藤会長以下国会議員8人、外務省から塚田玉樹・地球規模課題審議官ほか、議員代理や市民など40人ほどが参加しました。冒頭、茂木大臣の代理で出席した中谷政務官が「現在国際連帯税については自民党外交部会には重点事項として扱うようにお願いしている」と述べ、6月のG20大阪サミットや9月の「開発のための資金調達に関するリーディング・グループ」会合(ニューヨーク)での革新的資金メカニズムに関する外務省・日本政府の活動を披瀝されました。

 

●航空券連帯税を実施できていれば2018年で130億円の税収

 

続いて、「国際連帯税を取り巻く国内外の状況~市民社会からのご報告~」として、グローバル連帯税フォーラムの田中徹二代表理事が報告しました。

 

1)有識者懇談会は、税制と民間資金の2本立てで議論をしているが、私は税制につき発言している。

 

2)税制の中での航空券連帯税について、これまでの衛藤会長提案を具体化してみた。前提として、本年より国際観光旅客税(出国税)が導入されているので、税額は相当低くせざるを得ないことである。

 

3)具体的には、税額をエコノミー席100円、ビジネス席500円、ファースト席1000円とするが、2018年に導入されていれば約5000万人が国際線を利用しているので、約133億円の税収となる。

 

4)使途につき、航空機の負の影響として、①新旧感染症拡大のリスク、②CO2大量排出のリスク、があるので、前者からは感染症対策、後者からは温暖化対策が考えられる。実際、今日気候変動問題への関心の高まりから航空機へ環境税導入という国も現れてきている(スウェーデンなど)。税額がとても低いことと、その使途を地球規模課題に使用するということであれば、国民的な支持を得ることができる。

 

●茂木大臣あての「国際連帯税の導入に関する要望書」を手交

 

これらの報告を受けて、参加された議員から意見が出されました。「世界を見れば難民が7千万人にも上るように課題は山積しているが、我が国のODAはピーク時の半分となっており、国際連帯税は必要だ」「連帯税を実現する筋道として、外務大臣が総理や官房長官に対しその必要性を説明し、その上で三者が与党の税調会長を官邸に呼んで説得するという、いわば政府主導型で国民にアピールしていくという形が本来必要だ」等々。

 

その後、衛藤会長から中谷政務官に茂木大臣あての「国際連帯税の導入に関する要望書」が手交されました。要望は次の2項目です。①今月のG20外相会合では議長国の「茂木イニシアチブ(仮称)」として国際連帯税に関する論議をリードしていただきたい、②令和2年度税制改正にあたり、国際連帯税の導入に向け与党税制調査会に強力に働きかけていただきたい。

 

一方、外務省の塚田審議官は、有識者懇談会では税制に関して、業界からの圧力や壁があり、例えば金融への課税は資金が東京市場からシンガポール市場等へ逃避してしまうから困難との意見が出ている。また、今日公共目的に投資家が関心を持っており、SDGsに民間資金を誘導していくための方法を深堀していくべきとの議論もなされている、と述べました。

 

こうした意見を受けて、衛藤会長は「航空券連帯税に関しては世界で14か国の例をすでに見ている。日本でも実現できるのではないかと思われる。議員立法という方法もある」と述べました。

 

●外務省としてがんばってもらうが、議連としては議員立法も考える

 

続いて、9月国連ハイレベルウィークに派遣された2人の学生、横浜市立大学1年の藤澤茉由さんと南亜伽音さんが次のようにそれぞれ報告し感想を述べました。「国際連帯税に若者をどのように巻き込んでいくか、資金を提供するのは一般の人なので、国民の理解を増やすことが必要だ」「革新的資金調達について、資金の使途明確化により議論が活性化するのではないか」。

 

★【神奈川新聞】「国際連帯税」導入を 横浜市立大生、議員に訴え

 

次に、上村雄彦横浜市大教授から「民間資金の活用だが、同資金はどうしても利潤が伴わなければならず、これで開発資金を賄うことには限界があるのではないか」との問題点が指摘されました。これに対し、塚田審議官は国際的流れとしては国際連帯税より民間資金の活用の方である、との議論を展開。

 

しかし、こうした議論は、この1、2年国際社会に向けて河野(前)大臣が国際連帯税実施を発信してきたこととは異なってきます。国際連帯税を実現していくための方策と、民間資金の活用を促していく方策とははっきり区別すべきで、業界の反対や抵抗に合うので外務省としては厳しいという話は最初っから税制による資金創出を諦めているに等しいと言えます。なぜなら、航空券連帯税で言えば10数か国が業界の反対や抵抗にあいつつも国際貢献策として実施しているからです。

 

こうした議論を踏まえつつ、最後に石橋通宏議連事務局長は「外務省は国際連帯税方式の重要性をよく考えてもらいたい。税制改正に向け頑張ってもらいたいが、議連としては衛藤会長とも相談しつつ議員立法という手法も考えていき、次回までに提案したい」とまとめ、さらに今後の活動として、①茂木新大臣への要請、②各党の税調活動での要望書の主旨の反映を提案しました。①につき、学生たちも参加できるようにしてはどうかとの提案もあり、なるべくそのように図りたいということになり、議員連盟の第2回総会を終えました。