4月23日「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」に関する市民社会と関係府省庁の意見交換会」が行われました。市民社会側はSDGs市民社会ネットワークに参加している団体など、省庁側は外務省地球規模課題総括課を窓口に関係省庁など、総勢73人が参加しました。
HLPFとは、持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)の取組み状況に関して、毎年希望する国が「自発的国家レビュー(VNRs)」を行う場です(首脳級会合は4年に1回)。今年日本政府が2度目のVNRsを発表するので、その前段に市民社会からの意見を聞くということで「意見交換会」がもたれました。
会合では市民側から次の14項目についてインプットし、それに対して関係省庁から答えをもらうという形式で行われました。「1教育、2防災・減災、3環境、4社会的責任、5ビジネスと人権、6開発、7保健、8財源・連帯税、9国際貿易、10ジェンダー、11地域、12ユース、13障害、14働き方」。それで私(田中)は「8財源・連帯税」について述べました。
【田中の「財源・連帯税」に関するインプットは次の2点】
1、目標17「パートナーシップ」の17.2の遵守
・神棚に祭るのではなく、先進国の責務であることの確認
・ODAのGNI比0.7%、LDCへのGNI比0.15~0.20%拠出
・各国は2030年に向けてロードマップを提示すべき
2、第二の公的資金、国際連帯税の実現
・コロナ禍にあって、一挙にODA増は困難。民間資金をあてにするのではなく、第二の国際的な公的資金を探るべき
・グローバル化から多大に受益している金融セクターやIT情報セクター等から、その取引等に課税し、グローバルイシュー対策のための資金とする(金融取引税やデジタルサービス税など)
・コロナワクチン問題で高所得国と低所得国との格差が露骨に現れ、「一人も取り残さない」 SDGs理念がズタズタにされた(*)。各国で連帯税を探るとともに、今こそ主権国家の枠を超えた共同の「地球規模課題のための資金創出」を構想し、実施すべき。
【外務省地球規模課題総括課の吉田課長からの答弁】
・SDGsの資金ギャップは大きいが、ODAは伸び悩んでおり、何らかの資金調達は必要だ。国際連帯税については議員立法で行おうという動きもあり、私たちも出来るだけ支援したい。
(*)テドロスWHO事務局長:
「ワクチンの供給に『衝撃的な不均衡』が生じている。世界の大半の国が医療関係者や高リスクの人々の接種に必要なワクチンの入手さえ不可能な状況だ」(4月12日付ロイター通信)
「世界で約9億本近いワクチンが接種されているが、高・中所得国がその81%を占める一方、低所得国はわずか0.3%にとどまっている」(4月23日付ロイター通信)
アワー・ワールド・イン・データ:
「世界人口の2割弱を占めるアフリカ大陸でのワクチン接種回数は約1500万回と世界の2%にとどまる」(4月22日付日経新聞) ※グラフは同新聞より