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コロナ禍を経ての時代変化>バイデン米政権と国際課税の現状から
2021.05.14
コロナ禍を経ての時代変化>バイデン米政権と国際課税の現状から

日本でのコロナ感染は英国型株「N501Y」が主流となり、厳しい状況が続いています。みなさま、どうぞお気をつけ願います。

 

●国際課税、グローバルタックス、国際連帯税などのキーワードでの問い合わせ

 

14世紀のペスト大流行以来、感染症のパンデミックの歴史を見るならば、時代の政治経済そして社会状況を大きく変えることになりました。2019年から顕在化した新型コロナウイルス危機もその例外でないようです。そのことを国際課税(デジタル課税)の状況から見てみますが、その変化をもたらしつつあるのが米国バイデン政権のデジタル課税(含む、法人税の世界共通「最低税率」)についての提案です。現在、トランプ前政権のため停滞していた同税の国際的合意が一気に進むような気運となっています。

 

このこともあり、実は上村雄彦横浜市大教授や当フォーラムに、国際課税、グローバルタックス、国際連帯税などのキーワードでの問い合わせ、原稿依頼が来るようになってきました。

 

●バイデン米政権の新自由主義政策からの転換>企業増税と大きな政府

 

米国バイデン政権の何が時代の変化をもたらそうとしているのでしょうか。それを簡潔に説明しているのがハーバード大教授のダニ・ロドリック氏です。「バイデン米政権(の)企業増税を財源にインフラや研究開発などに2兆ドル(約217兆円)を投じる『米国雇用計画』は、同国経済の重要な転機になる公算が大きい。政府の関与を減らし、市場原理を重視する新自由主義の時代の終わりをします」(「米『雇用計画』、政府の役割変えるか」4/29付日経新聞)、と。

 

ここから2つのことが指摘できます。ひとつは、財源を企業への増税によって賄おうとしており、これまでの世界の企業減税競争という流れからの大転換を意味します(英国も企業増税を提案)。もうひとつは、「大きな政府」の復権です。新自由主義は政府の福祉・公共サービスの縮小(小さな政府)を図るものですが、バイデン政権はそれを逆転しようとしています。

 

デジタル課税については、これまでOECD/G20で、①巨大IT企業等への「デジタル課税」、②法人税に対する世界共通の「最低税率」を議論してきて、昨年合意手前まできましたが、トランプ前米政権の反対でとん挫していました。ところが、バイデン政権になってから、とくに①につき、世界で100社程度の大企業を対象に各国で課税権を分かち合うという米国案が提示され、本年半ばの合意を目指し各国の協議が進む事態となっています。

 

もっとも金融政策の面では規制が弱い、また法人税増だけで大規模な政府支出が賄えるのかとの懸念はあり、後者では金融取引税まで踏み込むことが期待されます。

 

●ネット企業の勃興とGAFAの税金逃れ

 

グローバリゼーションは、IT(ネット)企業の勃興をもたらし、GAFA(アルファベット=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)等が今日のデジタル化した新経済を独占的に支配するようになってきました。これらGAFA等は独占の問題もさることながら、「悪質な課税逃れ」という問題も生じてきました。

 

課税逃れの手法は次のようなものです。まず特許やブランド等の知的財産をタックスヘイブンなどの低税率国に設立した子会社で所有し、その子会社にライセンス料などの形で各国から利益を集め、全体的に税負担を減らす、というもの。既存の法人税では、国内に支店とか工場とかの「恒久的施設(PE)」がないと課税することができません。ですから、ネット企業は各国で巨大な収益を上げながら、どの国からも課税されないのです。これが既存の国際課税ルールの限界でした。

 

その結果GAFAがいかに税金逃れしてきたかを見てみましょう。5月9日付の日経新聞で報じています。

 

・GAFAの税負担率:15.4%(世界5万社超の平均:25.1%)

・日本企業の平均:28.3% トヨタ自動車:24.8%

・主要国の法人税率(地方法人税を含む実効税率):日本29.7%、米国25.8%、英国19.0%、フランス32.0%、ドイツ29.9%

 

※グラフは同日付日経新聞・電子版より

 

GAFAの税率と世界の税率