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G20財務相等会議から(1)>法人課税の国際ルール改革、大枠合意したが
2021.07.13
G20財務相等会議から(1)>法人課税の国際ルール改革、大枠合意したが

7月9-10日開催されたG20財務相・中央銀行総裁会合で、法人課税の国際的な改革(①デジタル<グローバル企業>課税、②国際的最低税率)について大枠合意しました。何よりも、現行課税ルールである、市場国=消費国に物理的拠点がないと課税できないという1国課税主義がグローバル化・デジタル化で機能していない中で、IT企業などグローバル企業に市場国も課税することができるルールが適用できるということで、「歴史的」出来事といっても過言ではありません。

 

とにかく、これまではGAFAなど巨大IT企業を筆頭にグローバル企業が好きなように税逃れをしてきました。例えば、アマゾンドットコムは日本国内に巨大な配送センターをいくつも有し、2兆円も売り上げながら、(工場や支店など物理的拠点がないということで)これまでほとんど法人税を払ってきませんでした(さすがに近年は一部払うようになったが)。上記、①②が最終合意されれば、グローバル企業の税逃れにもブレーキがかかると思います。

 

しかし、この大枠合意には様々な限界もあるようです。フィナンシャルタイムス(*)の記事から見てみましょう。次のようなものです。

 

1)対象となるグローバル企業があまりにも少ないこと(年商200億ユーロ超、利益率10%超が基準になりそうだが、これに該当する企業はたった78社しかない)

 

2)ほとんどの企業利益は従来通り物理的な拠点がある国で課税されること(利益率10%を超える利潤の20~30%が市場国の売上げに応じて分配するという制度設計のようなので、市場国の税収は圧倒的に少なくなる)

 

3)最低課税率が「少なくとも15%」とあまり高く設定できなかったため、そうした税率を採用する国に利益を移すインセンティブが残り続けること

 

4)銀行と資源会社が対象とされたこと(とくに銀行が除外とならなければ課税対象利益は2倍に膨れ上がるとの試算も)

 

(*)[FT]課税合意 多国籍企業へ網 簡素化に失敗、税逃れの道残す

 

ところで、FTでは指摘されていないが、今回の大枠合意には130か国・地域が参加しているが、グローバル企業を有しない途上国からすれば、上記2)からして国際課税改革の果実はほとんどないに等しいと言えます。中国を除く新興国にしても然りでしょう。多分途上国等から不満が出ていると思いますが、既存のメディアではほとんど報告されていません。

 

インドやインドネシア、トルコで実施中・実施予定のGAFAの売上高に課税するデジタルサービス税(DST)であれば、きわめてシンプルな制度であり、かつ公平に税収を得ることができますが、米国は国際ルールが合意されたのちにはDSTを取り下げるよう要望しています。

 

国際課税ルール改革は途上国に利益をもたらさず、金融取引税でカバーすべき

 

今回の大枠合意で税収を得るのは、順に「巨大IT企業の本社がある米国>グローバル企業の本社がある先進国と中国>中国を除く新興国>途上国」、となりますでしょうか。とするならば、別の税制改革でコロナ禍(ワクチンなど医療体制、債務問題など経済社会安定化)に苦しむ途上国を支援しなければなりません。それは「途上国支援のための金融取引税(国際連帯税)」についてまず金融市場が大きいのG7で共同実施することからはじめるべきです。もうひとつの国際課税ルール改革として。