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タックスヘイブン利用実態の第3弾=パンドラ文書暴露さる
2021.10.05
タックスヘイブン利用実態の第3弾=パンドラ文書暴露さる

またまたタックスヘイブン(租税回避地)の実態が、パナマ文書(16年)やパラダイス文書(17年)に続いて明らかになりました。その名もパンドラ文書。文書の内容に入る前に、タックスヘイブンを巡る状況について。

 

1)タックスヘイブンを利用して税金逃れを行う富裕層や企業によって、世界では年間4270億ドル(約45兆円)もの税収を失っています。

 

2)途上国は先進国よりも失う税金は少ないが、公共支出に与える影響ははるかに大きい(先進国の税損失は公衆衛生予算の8%相当程度だが、途上国は50%以上に相当)。以上、(*)参照。

 

3)ですから、国際連帯税で途上国の保健衛生支援を行っても、タックスヘイブンへの資金流出を抑えることができなければ、まるで火事を消すのに穴の開いたバケツで水をかけるに等しい。

 

4)なお、この「パンドラ文書」には1000人ほどの日本人・企業が記載されているようですが政治家の名前はないとのこと。ただ、著名人と「孫正義氏や平田竹男氏、原丈人氏」の名前が挙がっているとのこと(以上、10月4日付朝日新聞)。

 

以下、パンドラ文書に関する朝日新聞の記事から。

 

 

【朝日新聞】租税回避は不公平の象徴、対策進む 「5年前のパナマと全く異なる」パンドラ文書

 

タックスヘイブン(租税回避地)の実態が「パナマ文書」で報じられてから5年。今回の「パンドラ文書」で、タックスヘイブンとのつながりが判明した世界の政治家や高官は330人を超え、パナマ文書の倍以上だ。ただし、日本からは政治家は見つかっていない。

 

(中略)

 

…大企業や富裕層だけが(引用者注:タックスヘイブンを利用し)税負担を減らして恩恵を受ける一方、しわ寄せは市民が負う。これは不公平の象徴となっている。

 

このため、国際社会は法制度の不備を塞ぐための仕組みを次々と設けてきた。法人の実質的支配者を透明化する制度や、非居住者の銀行口座の情報を国同士で交換する制度などだ。7月には、主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が、法人課税の最低税率を世界的に15%以上とする方針で合意した。

 

(中略)

 

各国で財政悪化や格差の拡大があっても、国際世論の圧力がないとタックスヘイブン対策は進まない。対策を決める立場の政治家たち自身が利用者であることが背景にあるのだろう。その点、これまでの文書が明らかにした限りでは、日本の政治家は比較的、タックスヘイブン利用を控えているようだ。

 

日本は国際社会で対策の仕組みづくりを主導すべきだ。(編集委員・奥山俊宏)

 

(*)タックス・ジャスティス・ネットワークの報告書によると、世界は富裕層や企業の租税回避で年間4270億ドル(約45兆円)の税収を失っているという。このうち2450億ドルは、企業の税金逃れ、1820億ドルは富裕な個人の税金逃れ。

 

【TJN】The State of Tax Justice 2020