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ACT-A資金ギャップ解消へ!コロナ対策のための資金調達を国際連帯税で   
2021.12.16
ACT-A資金ギャップ解消へ!コロナ対策のための資金調達を国際連帯税で  

 ●オミクロン型の出現>ワクチン格差(アパルトヘイト)状況に警鐘

 

1)新型コロナウイルスの新たな変異種であるオミクロン型の出現は、途上国・貧困国でのワクチン接種が進まないままでは高所得国も決してコロナ禍から自由ではありえない、ということを明らかにしました。

 

2)世界ではいぜんとしてグローバルなワクチン格差の解消が進んでいません。「アフリカでワクチンを2回接種した人は8%程度と、世界平均の45%を大きく下回る。アフリカの中では接種率が高いとされる南アフリカでも25%とされ、日本(77%)や英国(69%)、米国(59%)との差が歴然だ」(12月11日付日経新聞「進まぬ接種、止まらぬ変異 オミクロン型、アフリカで猛威 ワクチン格差の解消急務」)。さらに、このような事態を抜本的に改善しないまま高所得国が3回目のワクチン接種を行おうとしており、いっそう格差が広がりそうになっています。アフリカの政治指導者は国連総会で「ワクチンのアパルトヘイト(人種隔離)」と批判しました。

 

高所得国が追加接種を優先している

 (図表は、12月11日付日経新聞より)

 

●途上国へのコロナ対策機関=ACTアクセラレータ、十分に機能を発揮できず

 

3)途上国・貧困国へのコロナ対策のため、ワクチン、検査、治療、保健システムなど公平なアクセスを実現させるための国際ファシリティが「ACTアクセラレータ」(以下ACT-A)です。ACT-Aは年内に20億回分のワクチンを提供する予定でしたが、12月上旬で6億回程度に留まり、多くの貧困国等へのワクチン接種が遅れたのです。この要因は、①G7など政治的なリーダーの不在、②圧倒的な資金不足が挙げられます。

 

4)ACT-Aは10月に評議会を開催し、①ワクチン、検査、治療、個人用防護具のアクセス格差や重大な障壁ついて全体的に把握すること、また②ワクチンについては2022年内に世界人口の70%のワクチン接種目標に向けた進展を加速させること、等を軸に向こう1年間の活動計画を決めました。またこれらの目標を実施するために必要な予算額を234億ドル(約2.64兆円)と算出しました。しかし、2021年でも資金不足に見舞われているという現状にあって、上記予算額を調達し、資金ギャップを埋めることは容易ではありません。

 

●従来の各国ODAなどによる資金調達ではとうてい資金ギャップを解消できず、国際連帯税を

 

5)一方、パンデミック危機に国際社会が立ち向かうために、WHOならびにG20がそれぞれ独立パネルを設置しました。後者は「パンデミックへの備えと対応のための国際公共財への資金調達に関するG20ハイレベル独立パネル(HLIP)」で、向こう5年間、年間100億ドル(約10兆円)規模の「世界保健脅威基金」設立を提案しています(*)。しかし、この基金に向けての資金調達方法は「事前に合意された拠出額に基づいて各国が資金を供給し、緊急時には債券発行(各国拠出誓約に基づく債券発行)を実施」との提案で、各国が自国の財政(主にODA)からの拠出で賄うという従来の方法のままです。

 

6)コロナ対策のみならず気候変動関係の途上国支援1000億ドル問題はじめ飢餓や難民問題など地球規模課題での資金需要は多額に上り(そもそもコロナ以前のSDGs資金ギャップでも2.5兆ドルに上っている)、とうてい先進国等のODAでは賄いきれるものではありません。そこでインパクト投資やブレンデッド・ファイナンスなど民間資金を利用してとなるのですが、公的資金ではありませんので、地球規模課題解決のために動員するには限界があります。

 

7)そこで第二の公的資金となりうる国際連帯税の必要性が浮上してきます。それはグローバル化によって利益を上げている経済セクターに広く薄く課税し、その税収を地球規模課題に充てる、というものです。国際金融や巨大IT企業などグローバル企業への課税が対象となります。詳細は後日。

 

(*)G20独立パネル報告書 ”A Global Deal for Our Pandemic Age”