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国連事務総長「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れ」
2022.06.12
国連事務総長「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れ」

ちょうど世界の貧困根絶でホワイトバンド運動が日本でも流行っていた2005年頃、1日1.25ドル未満で生活する「極度の貧困」につき、「毎日お腹をすかせて床に就く状態」と表現した記憶があります。お腹がすいても食べるものがなく、それが高じて栄養不良になることが「飢餓状況」です。この20年ほど途上国の経済発展やミレニアム開発目標(MDGs)や持続可能な開発目標(SDGs)による運動もあり、「極度の貧困」「飢餓」人口が確実に減少してきました。ところが、コロナ・パンデミックによりその傾向がすっかり逆転してしまいました。

 

<世界の飢餓人口推移>
・2015年(約7.9億人)⇒2019年(約6.5億人)⇒2020年(約7.2-8.1億人)・・⇒2022年(約16億人?)

 

そして本年2月ロシアによるウクライナ侵略(戦争)は、両国が小麦など穀物の最大の輸出国であり、これが滞っていることにから、「94カ国の16億人が影響を受ける」恐れが出てきました(注1)。このまま戦争が長引けば、国連事務総長が言うように「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす」ことになりそうで大変懸念されます。16億人と言えば、地球人口の5人に1人です。

 

実際、各国は食料危機から自国民を守るために食料等の輸出禁止を打ち出す国が相次いでおり、それが20か国に及んでいるとのこと(注2)。世界でも最大級の穀物・食料輸入国である我が国にとっても、原油高と円安と相俟ってあらゆる物価が値上がり状況となっています。賃金上がらず、年金切り下げですから、私たちの生活も大変厳しいものになりつつあります。

 

まず世界と我が国の食料危機を止めるためにロシアのウクライナからの撤退と停戦を1日も早く実現させることです。我が国がこのたび国連安全保障理事会の非常任理事国に選出されたのですから、ロシアに直接乗り込んで談判するくらいの気迫で外交力を発揮してもらいたいものです。
以下、食料危機対策や途上国支援、国内財政立て直しのための施策を考えてみます。

 

1)穀物や原油先物市場に流れ込んでいる投機マネーを抑制するために(市場参加の)証拠金の引き上げや投資額(建玉)の制限を行うこと

 

2)円安を抑制すると同時に(飢餓や医療・保健対策など)途上国支援を行うため、外国為替取引税(通貨取引税)を国際連帯税として実施すること

 

3)国内財政を立て直すために金融所得課税の増税と金融資産課税の新設を行うこと

 

(注1)
【共同】黒海封鎖は「16億人に影響」 国連報告書、食料危機に懸念表明
 ロシア軍が黒海を封鎖し、ウクライナ産の小麦など穀物の輸出が滞っている問題で、国連は8日、報告書を公表し「穀物価格の上昇など、94カ国の16億人が影響を受けている」と指摘した。グテレス事務総長は「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れがある」と強い懸念を表明した。
…中略
 ロシアの侵攻以降、黒海沿岸の港からの輸出が大幅に停滞し、世界的な食料の供給不安を招いている。(共同)

 

【TBS】ウクライナ侵攻で食糧危機深刻化 「世界で16億人が影響」と国連発表(動画あり)

 

(注2)
【日経】食料輸出規制、20カ国に 侵攻が自国優先に拍車