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「気候危機下の何十億人が依存」(COP議長)>L&D基金と革新的資金調達
2023.10.31
「気候危機下の何十億人が依存」(COP議長)>L&D基金と革新的資金調達

COP28のロゴ

 

●損失と損害への資金が決まらなければ、COP28交渉全体が頓挫する可能性!

 

標題は、来月開催されるCOP28の議長スルタン・アル・ジャベル氏の言葉です。気候危機に脆弱な何十億人もの人々が損失・損害基金(以下、基金)立上げを待ち受けていること、そのために「…基金の導入方法や補充方法について、COP28までに明確でクリーンかつ確実な勧告を打ち出すよう、世界の注目が集まっている」とAFPのインタビューに答えています。

 

ところが、基金立上げに向けての管理運営ならびに実施方法等の設計に関する「移行委員会」がこれまで4回開かれたにもかかわらず、富裕国と貧困国の対立で合意できずにいます。

 

世界資源研究所(WRI)地球気候プログラムおよび金融センターの上級顧問のプリーティ・バンダリ氏は「(基金)に関する途上国の優先事項が適切に対処されなければ、COP28の成功を測る重要な尺度なので、このままでは交渉全体が頓挫する可能性がある」(注1)と危機感を強めています。

 

実際、COP27での画期的ともいえる基金設立の合意は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの134か国ならびに小島嶼国によって勝ち取られたものですから、もしCOP28で立ち上げが不可能となれば、COPそのものが大混乱に陥りそうです。

 

●対立を解消し、基金は早く革新的資金メカニズムの議論を

 

対立は、まず基金の主催は誰か(管理部門をどこに置くべきか)ではじまり、先進国側は世界銀行に管理を任せるべきとし、途上国側は独立した機関に管理部門を置くべきとして平行線をたどっています。このため追加会合をアル・ジャベル議長がCOP28の前に設定しました。世界銀行のバンガ新総裁も対案を持っているようですので、対立を克服し早急にどのような資金で基金を賄うのかを決めていくことが必要です(注2)。

 

その資金ですが、これについては先進国も途上国も「革新的資金メカニズム」を重要視するということで一致しています。ただし、支払う側となる先進国は「民間資金の動員による」ということになるでしょうし、途上国側は「新規かつ追加的な公的資金による」という主張になると思われます。

 

そういう中で明快な主張をしているのが、ケニアのウィリアム・ルト大統領です。9月の国連総会の一般演説で、また気候野心サミットで「革新的資金調達として、航空・海上運輸、航空券、化石燃料取引への課税ならびに金融取引税を」と主張し、さらに大規模な資金調達にあたっては金融取引税が有効と力説しています(注3)

 

●「損失と損害/世界の国会議員の誓い」キャンペーンにご協力を!

 

このようにCOP28が重要テーマである温室効果ガス排出削減を目指す「グローバルストックテイク(GST)」を成功裡に実施するためにも、基金の立上げがぜひとも必要となっています。これにむけ基金を専門的にウォッチしているNGOやアフリカの最大規模の環境NGOが「損失・損害に関する世界の国会議員の誓い」キャンペーンを実施しています(注4)。

 

遅れましたが、グローバル連帯税フォーラムはこの世界的なキャンペーンに参加することとし、今後国会議員のみなさんからのご協力を得るべく宣伝・広報していきます。このキャンペーンにご関心があり一緒に活動してくださる方がおりましたら、ご連絡ください。

 

(注1)STATEMENT: Loss and Damage Transitional Committee Fails to Reach Consensus Ahead of COP28

(注2)Tensions soar over new fund for climate ‘loss and damage’ ahead of COP28
(注3)ルト大統領演説  
(注4)「損失と損害/世界の国会議員の誓い」キャンペーンのWebサイト

 

※写真は、アル・ジャベルCOP28議長