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【ご案内】7.26民間税調第6回シンポジウム「社会保障と税を考える」
2015.07.12
【ご案内】7.26民間税調第6回シンポジウム「社会保障と税を考える」

図1 主要国の税・社会保障国民負担率(財務省)図2 所得階級別に見た税・社会保険料

 

民間税制調査会の次のシンポジウムは「社会保障と税を考える」です。以下、「社会保障と税」問題を少々考えてみました。

 

まず、図1の「主要国(日、米、英、独、スウェーデン、仏)の税と社会保障費(社会保険料)による国民負担比率」<税と社会保障費/国民総所得(GNI)>を見て下さい。以下のような特徴があります。

 

・日本:税負担が少なく、(税に比べて)社会保障費負担が多い 
・米国:税も社会保障費も少ない
・独・仏:税も社会保障費も多い
・スウェーデン:税が多く社会保障費が少ない

 

ここで我が国の様々な問題が起きてきます。消費税の逆進性が問題となっていますが、実は社会保障費負担の逆進性の方も大きな問題となっています。

 

え? 社会保障費(社会保険料)って本人負担もあるけれど、会社負担も同じくらいの比率で負担しているし、率で料金を計算するのだから、給料の高い人が負担率が多くなり、累進性となっているのではないの、と思われるかもしれません。

 

最新の労働・社会保険の料率表(⇒これは分かり易い)
http://www.office-i.net/insurancerate.html

 

しかし、問題は会社負担のない労働者です。つまり、非正規雇用の人々や年金生活者です。つまり、現役非正規雇用の支払う年金(国民年金)や健康保険(国民健康保険)等は定額制ですので、収入の少ない人ほど負担率が高く、まったくの逆進性になっています。

 

図2の「所得階級別に見た税・社会保険料(2010年)」を見ますと、下位所得になればなるほど保険料の負担比率は上昇し、消費税の逆進性を上回っています。この時期は消費税は5%でしたから現在はもうちょっと負担率は上がっているかもしれませんが、社会保険料(年金・保険料金等)も上がっていますから、数字的にはそう変化はないと思います。

 

ご承知のように、国民年金の未納率は40%を超えています。その背景には、非正規雇用労働者が増大(2014年で1,962万人、雇用者全体の37.4%)があります。つまり、低所得層が増大し、会社負担のある厚生年金(&共済年金)に入れないため、自己負担だけでしかも定額制の国民年金に入らないとならないが、それが払いきれないという現実があるからです。

 

とすると、解決策として次のこと(方向性)が考えられます。第一に社会保障費にも累進性を導入すること(非正規労働者の保険料をずっと安くするなど)、第二に国民負担のうち社会保障費増ではなく税金を増やす方向性に転換すること(本当の累進所得税や法人への課税ベース拡大、金融取引税などを通して)、第三に税制とは直接結びつきませんが何よりも非正規雇用を縮小させる政策を取ること(が、現在は労働者派遣法が改悪されようとしており完全に逆行しています)、ですね。

 

そんなことを考えましたが、ぜひ民間税調シンポジウムに参加し、大いに議論を巻き起こしていきましょう。

 

 

     民間税調第6回シンポジウム「社会保障と税を考える」

 

・日 時:7月26日(日曜日)午後1時~(4時半頃まで)
・会 場:青山学院大学1号館123教室(東京都渋谷区渋谷4-4-25)
     キャンパスマップhttp://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/aoyama.html
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
        yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料

 

※各国の国民所得における税収の割合についての論考ですが、トマ・ピケティの
『21世紀の資本』の「第13章 21世紀の社会国家」が面白いですね。結局、税収率の低い国は社会保障・福祉政策を満足に取れないということで、我が国は米国と並んで30~35%のラインにいます。北欧・独仏は50%前後。さらに問題は途上国で10~15%でこれが年々下がっている、「実に由々しき事態」とピケティ教授は述べています。

 

◆図1は財務省のWEBサイトから、図2は内閣府“財政・社会保障の持続可能性に関する「経済分析ワーキング・グループ」”に提出された小塩隆士一橋大学教授の提出資料から、それぞれ取りました。