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金融取引税とは何か?
2014.03.04
金融取引税とは何か?

金融取引税とは何か?

 

●概要

金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)とは、通貨、株式、債券、デリバティブ、一次産品など、あらゆる金融資産の取引への課税を指します。この税により、株価、為替レート、一次産品価格の乱高下という不安定さが弱められるのみならず、実施国政府に多大な税収をもたらします。

 

この税は、金融業界はじめ経済界の反対などがあり、実現はむずかしいと考えられてきました。ところが、2011年9月に、欧州委員会はEU加盟各国に対し、欧州金融取引税を2014年1月に導入するEU指令案を提示しました。これは、EU域内居住者である金融機関(またはそれに準ずるファンドや個人)の取引に対し、株式と債券取引に0.1%、デリバティブ取引に0.01%を課すものです。

 

この税制の目的・特徴について、アルジルダス・セメタ税制担当欧州委員(閣僚級)は次のように発言しています。「①FTTは金融セクターの国家財政への妥当な貢献をもたらす、②FTTは安定した金融活動をもたらし高リスクな投機を抑制する、③FTTは一般市民に負担を求めることなく大幅な税収増をもたらす、④この税収は景気対策のみならず、開発や気候変動等の地球規模課題の対応資金とすることができる」(2012年5月欧州議会での演説のまとめ)。

 

しかし、この提案に英国等が反対し、EU27国によるいっせい導入が困難になりました。それでドイツ、フランスなどの導入積極グループは、2013年1月22日、「強化された協力」という手続きで11ヵ国による先行導入を決めました(同年2月14日欧州委員会が11カ国導入に向け正式提案)。以後、英国によるEU法に反するとしての欧州司法裁判所への提訴などで紆余曲折があったものの、2014年中へのFTT導入をめざして11カ国で調整中となっています。

 

 ■金融取引税導入予定11カ国
ベルギー、ドイツ、エストニア、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、オーストリア、ポルトガル、スロベニア、スロバキア

 

●導入予定のFTTの実施内容

導入予定の実施内容について、ロイター通信は以下のように報道しています(『〔情報BOX〕EU11カ国で導入する金融取引税のポイント』2013年 02月 15日)。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK829290420130215

 

<対象>

11カ国に「経済的なつながり」がある場合、すべての金融機関によるすべての商品及び市場に関するすべての取引。

<税率>

株式や債券、短期金融資産、レポ取引、証券貸借取引は0.1%。デリバティブ(金融派生商品)取引は0.01%。取引にかかわった各金融機関が支払う。加盟国はこれより高い税率を適用することも可能。

<例外>

クレジットカード、預金、通貨のスポット取引など日常的な金融取引は課税対象とはならない。株式や債券、投資信託ユニットの資金調達を目的とした発行も対象外。

<課税逃れ防止対策>

11カ国内の金融商品に関する取引は、時期や場所を問わず課税されるとの「発行原則」を採用。課税地域からロンドンなど域外へ取引が移ることを阻止することが狙い。

<税収見込み>

年間300億─350億ユーロ  《以上がロイター通信の記事》

 

課税の目的ですが、基本的に国内財政への寄与ならびに金融規制を挙げていますが、これにグローバル公共財への資金創出が入るかどうかは、今後の協議となります。

 

●11カ国FTTは日本の金融機関にも関係してきます

ところで、課税対象ですが、加盟国の金融機関どうしの取引では両金融機関に課税されることはもちろんですが、加盟国の金融機関と取引した非加盟国の金融機関も「加盟国に設立されたものとみなされ課税対象とする」ということが欧州委員会提案に明記されていますので、非加盟国の金融機関も納税をしなければなりません。例えば、(非加盟国である)日本の金融機関が(加盟国の)フランスの金融機関と取引した場合、世界のどこで取引を行ったとしても、日本の金融機関にも課税され、フランスの税当局に納税しなければならない規定となっています。

 

また、租税回避を防ぐために、同提案では発行主義原則を取っており、加盟国で発行された金融商品に関して加盟国圏外で取引された場合にも課税されることになります。例えば、(非加盟国である)日本の金融機関が(非加盟国である)米国の金融機関との間で、(加盟国の)ドイツの金融機関が発行した株式を取引した場合、日本と米国の金融機関はそれぞれドイツの税当局に納税しなければならないのです。

 

このように欧州で実施されようとしているFTTは、日本の金融機関や金融市場には無関係どころか、大きく影響してきます。

 

●今後のスケジュールと日本での課題

11カ国FTTの導入は、本来2014年1月1日からの予定でしたが、英国の反対の立場からの欧州司法裁判所への提訴などで、大幅に遅れてしまいました。しかし、11カ国は、昨年12月の「FTT推進を合意した」ドイツ大連立政権の誕生もあり、年が明けてからようやく交渉のエンジンもかかってきたようです。スケジュール的には、11カ国は「5月6日を期限に欧州委員会提案の検討」に入っています(情報は、1月17日「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」第12回総会から)。

そして11カ国導入をリードずるためにフランスとドイツの首脳会議が開催され、そこで方向性が出されると思います(首脳会議は2月19日)。

 

一方、日本においてはFTTに関し政府レベルでも金融機関等の民間レベルでもまだ関心が高まっていません。従って、官民挙げて早急にFTTについて検討していくことが求められています。そしてFTTの積極的要素を踏まえ、欧州11カ国と連動しつつ導入を図っていくことが求められています。その要素とは、セメタ欧州委員(閣僚級)の言うように、①財政の安定化のために、②投機マネーを規制するために、③そして世界の貧困や気候変動対策のためのグローバル資金調達のために、です。