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自民党税調での橋本外交部会長の発言>国際連帯税支持して
2015.12.02
自民党税調での橋本外交部会長の発言>国際連帯税支持して

去る11月30日自民党の税制調査会が開催されましたが、同党外交部会から上がっていた国際連帯税(航空券連帯税)新設要望も議論され、「長期検討」ということになったようです。以下の外交部会長である橋本岳議員の報告をお読みください。橋本議員がしっかりと航空券連帯税の必要性を述べていたことが分かります。

 

次年度より(即時)航空券連帯税実施ということにならないのは誠に残念ですが、今後橋本議員のような有能な中堅・若手議員がグローバル連帯税(国際連帯税)に取り組んでもらえるようアプローチしていきたいと思います。

 

 

【橋本岳 2015年12月1日】

党税調における外交部会長発言

 

 11月30日における自民党税制調査会において、橋本が外交部会長として発言した内容をご紹介します。なお、その後他の方々から賛成・反対のご意見があった結果、「長期検討」という扱いにしていただきました。ご関係の方々や、納税者の皆さまにご納得いただけるように進めなければなりません。外務省にはそのように指示しました。

 

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 いわゆる国際連帯税について、先日の部会長ヒアリングにおいて、国土交通部会長から三点の理由を挙げて反対といわれました。まずその三点について申し上げます。

 

 一点目は、「受益者と負担者の関係が不明確」ということでした。これは全くおかしな議論です。今回は、政府開発援助、すなわちODAの財源として要望していますが、そもそもODAの直接の受益者は途上国の国民であり、それを先進国が負担して行うから意味があるものです。直接的な負担者と受益者が違うのは当然のことです。

 

 ODAは、直接的な負担と受益の関係で考えるものではありません。我が国が途上国の開発を支援し、その国の社会が安定したり、豊かになったりすることが、まわりまわって我が国の利益にも繋がるという発想によるものです。結果として国際的な人・もの・金の移動も促進されるという効果も持つでしょう。その点に着目して、国際的なやりとりに広く薄くODAの財源を求めようとするのがこの税の発想であるということを、どうかご理解頂きたいと思います。

 

 二点目は、「航空券への課税はインバウンドに悪影響をもたらし観光立国に反する」という点でした。まず事実から申し上げれば、2006年7月からフランスで、2007年9月に韓国で航空券連帯税が導入されましたが、両国ともその前後で観光客数や観光収入は、むしろ増加しています。仮に国際線の航空券に課税をするとしても、旅客の行動にほぼ影響を与えない広く薄い形での金額設定で課税を行い、効果をあげることは十分可能であると考えます。

 

 三点目は、「導入している国は少数で、世界的な潮流になっていない」という点でした。確かに、アメリカやイギリス、ドイツ等は国際連帯税を導入していません。しかしこれらの国々は日本を上回るODA供与実績をあげています。日本もそこまでODA財源が豊富であれば、そもそも新税など検討する必要はありません。

 

 残念ながら近年ODA予算は減額されています。来年度概算要求において増額要求をしておりますが、円安による目減り分も含めて極めて厳しい感触が財務当局から伝わっています。さる25日には高村副総裁を議長とする自民党外交再生戦略会議は「外交力の一層の強化を求める決議」を行い、総理に申し入れを行いました。また同日、武見敬三先生が委員長を務められる自民党国際保健医療戦略特命委員会も「国際保健に係る対策の推進に関する決議」を行って頂きました。そうした中で、財務当局を頼るばかりではなく、自分たちでも独自の財源確保の努力をしなければならないという想いから、今回の要望が上がっているのです。

 

 AIIBを擁する中国が我々のライバルなのです。そして我が国は、来年、先進主要7か国のサミットの議長を務めるのです。世界のリーダーとしての誇りを持って、いかに外交上の重要な武器であるODAを充実させるかという観点で真摯に検討すべきものです。

 

 以前は、世界においてODA拠出額第一位を我が国が占めておりました。今は第五位であります。本当にこのままでよいのでしょうか?むしろ我が国が先進国としてODAを通じて世界に貢献しているという事実を、もっと広く国民の皆さまに共有するべきです。それこそが安倍総理が行っている「地球儀を俯瞰する外交」への国民的理解に繋がり、民間も含めた日本の外交力の強化に繋がるのです。

 

 途上国も含めた、他の国がやっているとかやってないとか横並びのような議論をされるような意識の低さは誠に残念であります。むしろ我が国はこんな取り組みまでしているのだ、と他国に積極的に発信できるような制度を整えることが大事であると考えます。

 

 ただ、正直、これまで外務省の動きは極めて鈍かったと言わざるを得ません。その責任は政治にもあるでしょう。外務省には、法律に基づき主体的かつ前向きに検討や調整をしっかりと行わせる必要があります。そういう意味で、今回の税制改正では「お断りする」となっていますが「検討する」として頂きたく、ご要望申し上げます。

 

 どうぞお聞き届け頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

◆橋本がく・ブログ「党税調における部会長発言」
  http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-597d.html 
 BLOGOS 「  〃  」
  http://blogos.com/article/147452/ 

 

※写真は、14カ国で実施している航空券連帯税からの税収を主な資金とするUNITAID(ユニットエイド)のマラリア対策事業。「蚊の出る時期に集中して“季節性マラリアの化学的予防”の薬がすべてのマラリア蔓延国に低価格で十分行きわたるようにしている」(ユニットエイド・Japanより)