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欧州金融取引税にフランシスコ・ローマ教皇が関与
2021.03.29
欧州金融取引税にフランシスコ・ローマ教皇が関与

教皇

 

今月、フランシスコ・ローマ教皇は、ヘルス・雇用・気候変動対策のために500億ユーロのロビンフッド税(金融取引税)を求めるフランスの活動家たちと会われました。教皇は、従来から金融システムが地球を破壊していると考えており、社会のために働くようにすべきだ、と主張してきました。昨年10月に発表した回勅でも、「新型コロナウイルス禍における資本主義は失敗に終わったとの見解を示し、自由市場政策では人道上最も差し迫った課題全てを解決できないことが、今回のパンデミックで示されたと指摘」(CNN)していました。

 

今後ローマ教皇は欧州金融取引税について、様々な場で関与してくれるのではないでしょうか。

 

今回の活動家たちと教皇との謁見を仲立ちしたのはジャン=クロード・ホレリッチ(Jean-Claude Hollerich)大司教ですが、同大司教は日本での長い宣教経験を持ち、上智大学の元副学長を務めていたとのことです(バチカン・ニュースより)。

 

●宗教家と金融取引税・国際連帯税

 

ところで、金融取引税や国際連帯税に関し、倫理と正義を重んじる宗教家も格差・不平等解消のツールとしてこれを支持してきました。バチカン(ローマ教皇庁)はベネデクト16世前教皇の時から金融取引税への支持を表明していましたし、欧州10か国金融取引税問題が浮上した2014年には欧州カトリック指導者がいっせいにこれを支持。また、ローワン・ウィリアムズ(当時)カンタベリー大主教、デズモンド・ツツ元南部アフリカ聖公会ケープタウン名誉大主教(ノーベル平和賞受賞者)も支持を表明。日本では池田大作・創価学会インタナショナル会長が従来より国際連帯税推進を呼びかけています(*)。

 

(*)金融取引税(FTT)に関する欧州カトリック指導者の声明

 

以下、教皇との謁見の経緯・意義についての報道をお知らせします。

 

 

        欧州金融取引税:ローマ教皇関わる

 

【archyde】European tax on financial transactions: the Pope gets involved

 

欧州(議会)の予算担当の審査官は強力な態度に出ました。L’obs Sundayが伝えるところによると、昨年10月に金融取引税を擁護するためにハンガーストライキを行った欧州議会議員のピエール・ラルトゥロウ(Pierre Larrouturou)氏が、今度は3月15日月曜日に教皇に謁見する予定である。共存運動(Coexist movement)の創始者であるサミュエル・グジボフスキー(Samuel Grzybowski)氏、市民気候会議(Citizen’s Climate Convention)の後見人のシリル・ディオン(Cyril Dion)氏、そして起業家のエヴァ・サドゥン(Eva Sadoun)氏を伴い、エコロジー社会への移行に向けた資金調達を話し合うために会いに行くのである。

 

この会談は、ルクセンブルク大公国の大司教であるジャン=クロード・ホレリッチ(Jean-Claude Hollerich)氏の助力によって実現した。去年1月、ピエール・ラルトゥロウ(Pierre Larrouturou)氏は、財務大臣と会うためルクセンブルクに訪問した期間中、気候擁護に熱心で知られる氏をバチカンに訪ねた。欧州連合司教会議委員会の会長であるジャン=クロード・ホレリッチ(Jean-Claude Hollerich)氏はこの話し合いの内容に賛同を示し、これを発展させる為、教皇に謁見を願い出、教皇はこれに快く応じました。

 

毎年500億ユーロの収入をもたらす税

 

この欧州金融取引税は、年間500億ユーロをもたらすと、広く欧州議会議員や環境活動家から評価されている。しかしながら、このプロジェクトは多くの反対、とりわけフランスからの反対に直面している(注)。

 

教皇はこの大義の為に彼の影響力を行使する用意があるようだが、ポルトガルも「強化された協力 (Enhanced Cooperation)」のために関係国を一つにまとめようとしている。ポルトガルは現在EU理事会の議長を務めており、この教皇の協力により、全会一致を待たずに欧州金融取引税を前に進めることを希望している(注)。

 

(翻訳者:注)本年1月からポルトガルがEU理事会の議長を務めているが、ポルトガルは10か国主導の金融取引税をまず実現しようと株取引と株関連デリバティブ取引への課税を提案しているが、フランスが反対している(デリバティブ取引を含むことに否定的)。