5月6日ユーロ圏財務相会合が行われ、“強化された協力”手続きによる金融取引税の先行実施につき議論されました。が、合意されたのは「遅くとも2016年1月1日に導入」という時期だけで、課税対象、税率、徴税方法等の制度面の内容についての言及はありませんでした。
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これは、(2013年2月の欧州委員会提案についての)技術的問題がまだ残っているため、「実行可能な解決策を年末までにまとめ上げること」(10か国共同声明)が必要だから、とのことです。
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こうした経緯もあり、当初予定していた実施の段階的アプローチ、つまり“株および一部デリバティブへの課税を第一ステップとして実施し、しかる後に金融取引税の完全な実施へとステップを踏む”という段取りの合意もできなかったようです。
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こうした背景には、ひとつには英国やスウェーデンなどの国レベルでの反対、さらに導入国内においても金融セクターからの相当強い反発がありました。ちなみに、欧州でのデリバティブ取引業務の第一位はドイツ銀行であり、第二位はBNPパリバ銀行です。
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ともあれ、(やや遅くなった感がありますが)実施時期が明確になったこと、ならびに(ただちに合意とならなかったものの)デリバティブ取引への課税も射程に入れることになったこと、これらのことは最小限評価できると思います。
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共同声明で、10か国の閣僚は次のようにコミットしています。
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「我々の金融取引税導入へのコミットメントは依然として強固なものである。EUレベルでの協議および国家レベルでの取引税に関する有望な実践を経て、このプロジェクトを前進させようという我々の意志はより強固になっている。」
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※今回合意した10カ国は、オーストリア、ベルギー、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スロバキア、スペインで、当初賛同していたスロベニアは合意に加わらなかった。
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10か国共同声明と欧州財務相会合プレスリリース
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10か国共同声明と欧州財務相会合プレスリリースを翻訳しましたので、お読みください。
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◆10か国共同声明を読む⇒PDF
◆欧州財務相会合プレスリリースを読む⇒PDF
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写真: ロビンフッド・タックスキャンペーン(英国)