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冬季資金支援のお願い>希望は急速に盛り上がった国際課税の議論
2024.12.10
冬季資金支援のお願い>希望は急速に盛り上がった国際課税の議論

本年を振り返りますと、世界的には、戦争、気候危機、そしてインフレ・物価高騰等々に見舞われ、途上国ではこれに債務危機が重なり「ポリクライシス(複合危機)」に陥っています。他方、先進国では米大統領選挙に典型的なようにポピュリスト・極右勢力が台頭してきました(英国だけは別)。このような情勢の中で、人々のグローバルな希望の一つとして「国際課税」実現に向けての取り組みの進展があります。当フォーラムは当面この希望を国内で推進していく決意ですが、そのためには資金も必要ですので、冬季一時金の折、資金支援を訴えますので、よろしくお願いいたします。

 

■ 超富裕層への課税:G20リオ・サミットそして経団連会長

 

去る11月18-19日、ブラジル・リオデジャネイロでG20サミットが開催され、その首脳宣言の冒頭に「我々は、誰一人取り残すことなく、公正な世界と持続可能な地球を構築すること」というSDGs(持続可能な開発目標)理念の確認を行いましたが、宣言でも述べているように目標は17%しか進展しておらず、SDGs危機ともいうべき状況です。これを打破すべく、議長国ブラジルは「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」と、それを推進するための資金調達として「世界の超富裕層への課税」を提唱しました(宣言にも明記 注1)。

 

この超富裕層への課税ですが、4月にブラジルが起草し、ドイツ、南アフリカ、スペインが賛同した提言は、資産額が10億ドルを超える全世界の約3000人の超富裕層の資産に少なくとも2%を課税し、2500億ポンド(47兆円)の収入を見込む、というものです(注2)。

 

この提案については、今日グローバルな資金創出のツールとして国際的に市民権を得るに至っています。実際、7月と10月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議声明において、9月の国連未来サミットでの「未来のための協定」において、さらに後述する「国連 国際租税協力のための枠組条約」議論において、取り上げられています。

 

一方、こうした国際的な議論に刺激されたのか(?)日本経団連の十倉雅和会長が2040年を見据えた政策提言「フューチャー・デザイン2040」で、所得や資産に対する富裕層への課税強化で34年度までに5兆円規模の財源を確保し、現役世代の社会保険料の負担率が上がらないようにする、と提案しています。課税の具体的な中身は分かりませんが、注目すべきかと思います。ちなみに、日本で資産額が10億ドル(1500億円)を超える人は、ファーストリテイリングの柳井会長以下44人いて(フォーブス・ジャパン「日本長者番付 2023 トップ50」)、そこに2%課税すると5180億円の税収を得ることができます。

 

■ グローバル連帯税:7項目の連帯税オプション

 

フランス、ケニア、バルバドスを議長国とする「グローバル連帯課税タスクフォース」は、先月のCOP29で報告書「連帯を拡大する: グローバル連帯税の進捗(Scaling Solidarity: Progress on Global Solidarity Levies)」を発表し、以下の7項目の連帯税オプションを提案しています。1)航空税、2)化石燃料課税、3)金融取引税、4)海上輸送課税、5)プラスチック生産課税、6)暗号通貨課税、7)超富裕層個人への課税。

 

詳細は、当フォーラムのWebサイトに掲載している「COP29:グローバル連帯税で数千億ドル創出可能との訴え>モトリー首相」をご覧ください(注4)。

 

■ 国際租税協力に関する枠組条約:反対した8カ国の税収損失は1,770億ドル(約26.6兆円)!!

 

既報通り、11月27日国際租税枠組条約への付託草案が圧倒的多数で採択され、新しい条約の交渉プロセスは、いよいよ来年2025年2月に開始され、2027年に終了することとなります。条約草案は、多国籍企業への公平な課税、世界の富裕層への効果的な課税、不正な資金の流れや租税回避・脱税への対応等を求めており、総合的で持続可能な開発のための国際税制の構築を目指しています。これは、タックスヘイブンが世界の多国籍企業や富裕層の脱税を許している現在の制度の根本的転換となります。

 

ところで、付託草案採択にあたり、これまで反対していた8カ国<オーストラリア、カナダ、イスラエル、日本、ニュージーランド、韓国、英国、米国>とアルゼンチンが今回反対しました。英国のNGO、タックス・ジャスティス・ネットワークの最新の調査によれば、各国はタックスヘイブンを利用して税金を安く納めている多国籍企業や富裕層により、年間4,920億ドル(約74兆円)の税金を失っていますが、上記8カ国の損失は1,770億ドルで、ほぼ半分(43%)を占めるとのことです(注5)。何という皮肉!!

 

■ 冬季資金支援のお願い:最低向こう3年間はがんばります

 

以上、急ピッチに進んだ本年の国際課税の動きを概括すると、超富裕層への課税もグローバル連帯税も国際租税枠組条約の動向に収斂していくと思われます。今日多国籍企業や富裕層への課税につき、単独でまたは有志国で実施することは困難な状況で、まして米国で国際協調に背を向けることが予想されるトランプ政権が誕生する状況にあってはなお厳しく、従って、国連を舞台とした法的根拠のある条約と議定書が必要になります。

 

その条約と議定書が晴れて陽の目を見るのは3年後の2027年です(その頃はトランプ大統領もレームダック状況になっているかも?)。それまでは当フォーラムとしてもがんばっていこうと考えています。国内外の関係NGOのみなさんと連携しつつ、いっそう国会議員や政府・省庁へのアプローチを強化していきますので、資金支援をよろしくお願いいたします。

 

<資金支援先>

 

【お振り込み先】
■銀行口座: みずほ銀行 築地支店(支店番号015)
        普通 2698313
■口座名義: 国際連帯税フォーラム

 

※ 支援された方は、gtaxftt@gmail.com までご一報くださると助かります。

 

(注1)
G20リオデジャネイロ首脳宣言
(注2)
World’s billionaires should pay minimum 2% wealth tax, say G20 ministers
(注3)
経団連会長「税・社保改革逃げるな」 2040年見据え提言
(注4)

COP29:グローバル連帯税で数千億ドル創出可能との訴え>モトリー首相

(注5)
The State of Tax Justice 2024