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6月11日、9月に開催予定の「在京EU11カ国の大使館関係者らとの意見交換会」の プレ会合として、クリスチャン・マセ駐日フランス大使とベルンハルド・ツィム ブルグ駐日オーストリア大使を講師に招いて国際連帯税、金融取引税に関する勉 強会を2つの議員連盟(国際連帯税創設を求める議員連盟・世界連邦日本国会委員会)の共催で行いました。
出席議員は9人、代理出席が19人、市民側10人、でした。両大使のプレゼンを簡 単に紹介します(文責はサイト編集部)。
◎マセ駐日フランス大使:
来年2015年は開発アジェンダにとって大きなエポックをなす年。MGDs(ミレニ アム開発目標)の最終レビューとポストMGDsが決まる。翻って、2000年の国連ミ レニアムサミットに続く開発資金会議で革新的資金調達メカニズム(IFM)の考 え方出る。グローバル化の恩恵を最も受けている主体が、広く薄く貧困などの地 球規模課題の資金を担うこと、これがIFMの一形態である国際連帯税の考え方。 IFMには安定性、予測可能性が求められるが、国際連帯税(ISL)はその目的に最 もよく叶う。
現在ISLは航空券連帯税(ATL)として実現し、さらにフランスは金融取引税 (FTT)の一部を国際連帯に使っている。ATLは国際保健の中で、エイズ・結核・ マラリアの治療薬や診断薬購入のために使われている。実は、2000年のG8沖縄 サミットで感染症のための世界基金創設のイニシアティブを取ったのが日本であ り、国際保健分野で日本は先進的取り組みを行ってきている。
ATLについてぜひ日本でも取り組んでいただき、国際保健や貧困の分野でいっ そうのイニシアティブを発揮していただくことを期待する。
◎ツィムブルグ駐日オーストリア大使:
2008年の金融危機を受け、欧州でFTT導入の機運高まる。まず金融安定化のた めのコストを金融セクターに負担させること、従って納税者への負担を和らげる ことを目的として議論され、現在EU10カ国でFTTを先行導入させようとしている。 もちろん、FTTはEU内だけではなく、全世界で取り組むことが望ましいが、すぐ には実現が無理なので、まずEU内からということであり、フランスとイタリアで はすでに個別にFTTを導入している。
現在議論されているFTTは、強化された協力という手続きで行われており、 2016年1月1日までに導入することを目指し、具体的指針を年内中に作成する。欧 州委員会提案を参考にしつつも、まず株式と一定のデリバティブ取引への課税か らはじめ、(課税ベースを拡大していくという)段階的導入となるだろう。FTT 取組で何が重要か。それは多額な公的資金を受けた金融セクターに恩返しを求め る、ということ。危機の未然防止という役割もある。
先ほど述べたように、FTTは幅広い国で導入することが望ましいので、ぜひ日 本でも導入の方向で検討していただくことを期待する。
◎こぼれ話:
冒頭マセ大使が次のように発言していました。「昨年オランド大統領が安倍総 理に書簡を出して以来、大統領が総理に会う機会があるたびに国際連帯税のことを 話題にしているが、この5月(の日仏首脳会議)でも話題になった…」。とする と、安倍総理の頭の中に国際連帯税がしっかりとインプットされている可能性が 大ですね。
◎世界連邦国会委員会の横路孝弘会長のまとめ:
「国際連帯税について一昨年合同で官邸に要望書を提出した経緯がある。今度も ぜひ合同で行えるようにしたい」。
写真は、ベルンハルド・ツィム ブルグ駐日オーストリア大使です。