第6回民間税調シンポジウムのお知らせです。今回のテーマは「国際課税」です。
民間税調第6回シンポジウム「国際課税を考える」
・日 時:8月23日(日)午後1時~(4時半頃まで)
・会 場:青山学院大学7号館720教室
(東京都渋谷区渋谷4-4-25)
・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。
yoshimikimiki@gmail.com
・参加費:無料
日本の税制において、所得税は累進課税であるかと言えば、決してそうではありません。申告納税者の税負担率を見ると、年収1億円までは累進制になっていますが、その収入を越すと逆に税率が下がっていきます。そのからくりは、富裕層の所得の多くを占める株式の譲渡等にかかる税率が20%と低く(2003~2013年までは10%)、かつ分離課課税になっているからです。
「これはおかしい。分離ではなく総合課税にしきちっと累進制を取れ」ということに対し、税率が上げると富裕層は海外に所得を持ち出し課税逃れしようとするので、無暗に上げるわけにはいかない、というのが課税当局のみならずエコノミストほかの考えのようです。これを少しでも防止するために、森信茂樹中央大学教授は北欧諸国が取っている「二元的所得税」を紹介し、それに沿った日本版二元的所得税を提言しています(7月31日付日経新聞『経済教室』「戦後70年 税制残された課題(上)公平性と効率性の両立を」)。
しかし、森信教授のせっかくの提言も、「高率の税率を金融・資本所得に課して資本・税源が国外に逃げれば、一国の経済成長や福祉に大きな影響を与える。源泉国(所得の発生した国)で広く、確実に課税する方が、経済に良い影響を及ぼす」ということを前提にしている限り、中途半端なものに終わっています。
問題は、「資本・税源が国外に逃げ」ることを可能としている今日のタックスヘイブン(オフショア)の存在をどう防いでいくのかだと思います。こうした問題は日本や他の先進国のみならず、実は途上国でも大変な問題になっています。先月開催された第3回(国連)開発資金国際会議(FfD3)で最ももめたのが税制問題、とりわけ途上国側は租税不正(租税回避や犯罪・腐敗)に実効的な新しいルールを策定できる、実行力のある新国連機関の設置を求めて先進国側と激しく対立しました。結果は、新機関設置は否決されてしまいました。
【Thomson Reuters Foundation 】
Development finance talks in Ethiopia close to collapse – charities
◆タックスヘイブン(オフショア)に秘匿されている資金…21兆ドル~32兆ドル(タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)調べ)
⇒シンポジウムで基調報告する志賀弁護士は、この数字はまだ過小推計と言っている。ちなみに、世界のGDP総額(2014年)は77兆ドルで、日本のGDPは4.6兆ドル。
◆タックスヘイブン(オフショア)問題はこれを放置しておくと、(世界の)民主主義も人権も立ちゆきません。何とかしないとなりません。が、専門的すぎて、一般市民はとっつきにくいが、何ができるだろうか?
例えば、
・毎日のようにマスコミ等で報道されているタックスヘイブンに関する情報の収集と分析…分かりやすく解説してくれる専門家がいるとよいですね。
・各産業セクターの対外投資の状況を調査する…かならずタックスヘイブンに投資しているはず(世界の対内投資の第3位は香港で第5位は英領ヴァージン諸島)
◆グラフは、日経「経済教室」に載った申告納税者の所得税負担率(2013年)