このところあまり活躍が伝えられていませんが、欧州のマスコミではピケティ教授がスペインの反緊縮政党「ポデモス」の経済政策アドバイザーに就任したということで、話題を呼んでいます。英紙ガーディアンの記事を和訳してもらいましたので、送ります。なお、スペインの総選挙は12月です。
政治・政党と言いますと、すぐに左派と右派というように分けがちですが、欧州では新しい動きとして、反緊縮を掲げデモ・集会などの(直接)行動を背景とした新しい政党が生まれ、かつ急激に伸長しています。ギリシャ(SYRIZA)とスペイン(PODEMOS)がその典型です。
また、伝統的政党でも、先に英国労働党の党首選でラジカルな反緊縮政策を掲げるジェレミー・コービン氏が選出されました。欧州政治も変革期を迎えているようですね。
【ガーディアン】トマ・ピケティがスペインの反緊縮政党「ポデモス」にアドバイス
2015年9月7日
フランスのエコノミストが、総選挙に先立って経済政策を党にアドバイスする国際的な専門家委員会に加わることになった。
富と不平等に関する論争の的となった本で有名なフランスのエコノミストトマ・ピケティは、スペインの反緊縮政党ポデモスにアドバイスを行うことになった。
「21世紀の資本」の著者は、ポデモスが12月に行われる総選挙で初めて闘う準備を進めているので、その経済政策についてアドバイスする国際的な専門家委員会に加わることに同意した。
ピケティは、彼の2013年のベストセラーのテーマである不平等と闘う政策を発展させることおよびユーロ圏の民主化案に関して左翼政党と共に働くことになる、とポデモスは月曜日の声明で述べた。
経済危機、緊縮政策、高位官職者による汚職に対するフラストレーションが、「私たちはできる」という意味を持つポデモスのような新しいスペインの政党の立ち上げを促した。また、中道政党のシウダダノス(「市民」)は、与党の右翼政党「人民党(訳者注:日本のマスコミでは国民党と記述)」と野党の「社会党」に挑戦している。
ポデモスは昨年結成されたが、シウダダノスは二つの伝統的な政党、特に人民党の犠牲によって5月の地方選挙で躍進した。
しかしながら最近の世論調査は、経済の回復にともなって新しい政党への支持はピークに達したかもしれないことを示唆している。
先月の世論調査では、細分化した政治状況の中で人民党が対抗する政党を明らかにリードしているが、単独で政権を獲得するのに必要な過半数にははるかに及ばない。具体的には、人民党が28.2%、社会党が24.9%で両者とも前回の世論調査を上回っており、ポデモスとシウダダノスはそれぞれ15.7%と11.1%と後退した。