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日本記者クラブ「パナマ文書」第1回&財務省への質問書
2016.06.11
日本記者クラブ「パナマ文書」第1回&財務省への質問書

●OECD租税委員会議長・浅川財務官のお話し

 

日本記者クラブ研究会は「パナマ文書」問題を連続的に取り上げるようで、その第1回がOECD租税委員会議長である浅川雅嗣財務官のお話しでした(6月6日)。

 

浅川財務官は、パナマ文書公表については「驚くことはなかったが、BEPS(税源浸食と利益移転)の方向は正しかったし、追い風になった」と感想を述べています。また、「国境を利用した多国籍企業や富裕層の租税回避により、税の公平感・信頼感を失わせしめていることはとうてい看過できない」とBEPS取り組み等の背景について語りました。

 

同財務官はBEPSプロジェクトの取り組みを紹介しつつ、差し迫った取り組みとして、次の3課題について述べています。
 〇金融口座に関する自動情報交換について
 〇自動情報交換への非協力地域のブラックリスト作りについて
 〇実質的所有者情報と交換制について

 

◎浅川財務官のお話と質疑のもようは、ここをクリックしてください

 

 

●財務省への質問文

 

来る6月24日に第62回財務省・NGO定期協議(*)が開催されますが、ここで租税回避問題も協議できるということで、さっそく質問文を書いてみました。お気付きの点がありましたら、ご指摘ください。

 

【G7サミットを受けて租税回避の取組みについての質問】

 

1、6月30日~7月1日京都で開催されるOECD租税委員会拡大会合について

 

①「パナマ文書」公表で日本と世界とでたいへんな驚きと関心をもたらした課題ですので、財務省として正直な納税者たる市民に対してOECD租税委員会拡大会合(以下、拡大会合)に関する報告会を事前または事後に開催してください。

 

②拡大会合の主要議題の一つが、「国際的な課税逃れ阻止へ対策徹底として非協力ブラックリストの作成準備」(4月G20財務相・中央銀行総裁会議での要請)にあるようです。そこで、このブラックリスト方式はかつて2009年グローバルフォーラムが作成し公表してきた経緯がありますが、今回の予定されているブラックリスト方式は前回との違いは何であり、なぜあらためて必要なのかを説明ください。

 

2、金融口座情報の自動交換制度について

 

①金融口座の自動情報交換が2017-2018年からはじまる予定で、現在100か国程度がこれに参加しようとしていますが、とくにひとつのビルに十万社ものペーパー・カンパニーが登記しているタックスヘイブン国・地域での、例えばケイマン諸島などの税務当局の情報調査・収集能力について十分あると考えているのでしょうか(ちなみに世界第6位の金融センターであるケイマン諸島では政府機能が5階建てのビルにすっぽりと収まる程度のキャパシティしかないが)。

 

②今日先進国内のタックスヘイブンとして米国のデラウェア州などがありますが、ここが今後より大きな抜け穴になるとして問題視されています。米国に対してどのように自動交換制度への参加を図る予定でしょうか。

 

3、開発途上国を含む広範な国々が参加できる国際的枠組みの構築について

 

日本の政府税制調査会も述べているように、タックスヘイブン・租税回避で最大の被害を受けるのは開発途上国です。現在この問題はG20とOECDが先導しこれに関心を持つ途上国の参加をもって取り組まれていますが、これを国連規模の途上国を含む広範な国々が参加できる国際的枠組みへと発展させるべきではないでしょうか。そうでなければG20/OECD+アルファ諸国から漏れた国・地域が「腐敗,脱税,テロリストへの資金供与及び資金洗浄」(G7伊勢志摩サミット首脳宣言)の場になっていくからです。

 

4、内部告発に依拠しない実質的所有者の透明性の確保について

 

①G20は「実質的所有者情報の透明性」を求めていますが(4月G20財務相・中央銀行総裁会合)、ペーパーカンパニーの作成(タックスプラニングの設計)の元は銀行等金融機関であり、会計・法律事務所等であるので、まずこれらの入口を規制することにより実質的所有者を特定していくべきではないでしょうか。 

 

②日本では、国外財産調書の未提出者が対象者の約90%と推定されますが、これへの対策につき数値目標を含めどのように考えていますでしょうか。

 

(*)財務省・NGO定期協議:1997年に第1回協議会が開催されました。詳しくは、こちらを参照ください