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国会の論戦から:国際観光旅客税と国際連帯税
2018.03.26
国会の論戦から:国際観光旅客税と国際連帯税

国際観光旅客税は26年ぶりの国内での新税創設となりますが、国民的議論もないどころか(少なくともパブリックコメント募集はやるべきであった)、自民党内でも十分な議論なく30年度税制改正大綱に盛られ、そして今国会に上程されています。

 

この税の法案は、衆議院で可決され、現在参議院に送られていますが、森友文書改ざん問題で審議が止まっています。

 

●衆議院での質疑/野田佳彦議員(無所属の会)などが追及

 

ところで、衆議院の財務金融委員会の審議では(2月22日、同月28日、3月2日)、次の議員の方たちが国際連帯税について言及しました。野田佳彦議員(無所属の会)、宮本徹議員(共産党)、岸本周平議員(希望の党)が法案反対の立場で連帯税について発言しました。また、斉藤鉄夫議員(公明党)は法案賛成の立場ですが連帯税に言及しています。

 

また、2月13日の衆議院本会議の代表質問で金子恵美議員(無所属の会)が真っ向から国際連帯税について発言されました。

 

ここでは、2月28日の野田佳彦議員の質疑、同月13日の金子恵美議員の発言を紹介します。とくに、前者の質問に対し星野次彦・財務省主税局長が答えていますが、一言でいえば、「外務省が具体的な制度設計を出していない、それを出してもらったら検討する」というものでした。これに対し、すかさず野田議員は「外務省から具体的な制度設計の提案があれば検討するということですね」と念を押し、一方で国交省や航空業界の国際協力・協調政策への非協力を批判しています。以下、野田議員と金子議員の質疑・発言を紹介します。

 

●実際の質疑/「最初から国交省や航空業界は反対だったが…」

 

<2018年2月28日 衆議院財務金融委員会>
○野田(佳)委員 (野田佳彦議員・無所属の会)
 … そもそも、国境をまたぐ人の動きとかお金の動きに課税をするというやり方は、考え方としてはありました。それは国際連帯税であるとか、あるいは国際航空券税など、そういう議論はありました。2009年ぐらいからこういう提案があって、 旧民主党の時代では、これは税調の大きな議題として議論をし、そして税制改正大綱の中には検討項目としていつも入っていたというふうに思うんです。
 それが、残念ながら、平成25年の税制改正大綱からすっぽり抜け落ちて、6年連続抜け落ちていますね。抽象的な表現では、こういう国境を越えたものに対する課税のあり方についての必要性みたいな議論は書かれていると思うんですが、いわゆる国際連帯税みたいなものは、項目としては消えました。
 やはり、国境を越えた動きに対して課税をするというのは、最終的には、地球温暖化対策であるとか、感染症対策とか、そういうグローバルな課題で国際協調の路線の中でやらなければいけない施策があったときに考える税目だと思うんですね。これは、私は、依然として議論としては必要だというふうに思っているんですが。
 そこで、まずお尋ねしたいんですけれども、この国境を越える地球規模の課題の解決に税収を充てるという国際連帯税、国際航空券税の議論は、 現在、今どうなっているんですか。御説明をいただければと思います。

 

○星野政府参考人(星野次彦・財務省主税局長)
 お答え申し上げます。
 御指摘の国際連帯税、一般的には、御指摘のとおり、感染症対策、また貧困問題、環境問題等々、地球規模の問題への対策のための財源確保を目的とした税ということで議論をされてきたと認識をしております。
 先ほど御指摘がございましたとおり、民主党時代の税制改正大綱に載っていたりとか、また、税制抜本改革法の第七条第七号におきまして、「国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討する」とされておりまして、この導入に当たっては、課税の目的、また範囲、効果、執行可能性などの点にも留意しつつ検討していく必要があると考えております。
 これまで、毎年度の税制改正プロセスの中で、外務省から、国際連帯税に係る税制改正要望の提出を受けてきたところではございますけれども、具体的な制度設計の提案については提案をいただいていないという状況が続いておりました。
 本件については、まずは担当省でございます外務省におきまして、諸外国の事例等も参考にしつつ、具体的な制度設計の案を検討していただき、その上で財務省としても検討していくという手順 を踏む必要があると考えております。

 

○野田(佳)委員
 外務省から具体的な制度設計の提案があれば検討するということですよね。
 外務省の努力も必要になるかもしれませんけれども、比較的、この国際連帯税については、はなから国交省とか航空業界は反対の意見が強かったと思います。いわゆる今回の出国税の形式と同じなんですよね。形式は同じなのに、いわゆる国際協調路線で何かやることについては、業界の反対もある、国交省も反対をされる。今回の観光立国に向けての政策だと、同じ出国税なのに、何かするすると出来ちゃう。非常に私は違和感を感じているということをまず申し上げたいというふうに思います。…以下、省略

 

<2018年2月13日衆議院本会議>
○金子恵美君 無所属の会の金子恵美です。

 

 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 …国際観光旅客税、いわゆる出国税については、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るとの看板は美しく見えますが、本来、地方経済の活性化等の観点から、観光インフラや観光資源の整備促進のための財源は一般財源に求めるべきです。
 出国税など、国境を越える人や金融資本の移動にかけられる税は、これまでの国際連帯税の議論や諸外国の導入実績等も踏まえ、主として、気候変動や感染症対策などの国境を越えた地球規模課題への対策にこそ使われるべきと考えます。
 1992年に導入された地価税以来の新税であるにもかかわらず、十分な検討なく取りまとめられた国際観光旅客税は、なぜ日本人出国者にも負担を求めるのか、なぜ出国一回につき千円という水準なのか、なぜ来年一月七日から適用という性急過ぎる時期が設定されているのか、全くわかりません。総理の明確な説明を求めます。