グローバル連帯税フォーラム

サイトマップ
お問合せ
ACTION
川田龍平議員:国際観光旅客税への質問趣意書提出>連帯税的要素を入れよ
2018.03.31
川田龍平議員:国際観光旅客税への質問趣意書提出>連帯税的要素を入れよ

川田龍平参議院議員

 

準日切れ法案として提出されていた国際観光旅客税(ならびに外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案)は、森友改ざん問題で審議が大幅に遅れ、年度を繰り越すことになりました。この法案に対して、川田龍平議員は参議院予算委員会で質疑を行う予定でしたが、改ざん問題が優先されましたので、質問趣意書を一昨日提出しました。

 

<解 説>

 

趣意書の趣旨はタイトルにもありますように「国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべき」というものです。法案(一部改正案の方)は使途について、観光インフラ整備と並んで「最新技術活用などのCIQ(税関、出入国管理、検疫)体制の整備」等を謳っています。これは受益と負担との関係で、出国日本人(正確には日本居住者)はほとんど受益しないための苦肉の策と言ってよいでしょう(CIQ整備はふつうは必要に応じて国交省関係予算からの支出で賄うもので、必ずしも国際観光旅客税収によらなくてもよい)。

 

しかし、CIQ整備以前に考えなければならないことがあります。それは国境を超える人・モノの移動には、それが大量になればなるほど感染症の伝播という負の影響も高まってきます(温室効果ガスの大量排出も)。グローバル化が必ずしも利便性・効率性だけをもたらすものではないのです。

 

いずれにせよ、もし3年前の韓国で起きた中東呼吸器症候群(MERS)のような新興感染症が国内で広がった場合、訪日観光客は激減するでしょう。従って、国内のみならず国外での感染症対策は観光インフラやCIQ整備と並んで行わなくてはならない事業なのです。実際、この旅客税による税収が国外の感染症対策にも使用されることになれば、SDGs(持続可能な開発目標)の目標3に大いに資することになるでしょう。

 

 

国際観光旅客税の使途に感染症対策を含めるべきことに関する質問主意書(提出番号54番)

 

参議院議員川田龍平

2018年3月29日提出

 

政府は2020年に訪日外国人旅行者数を4千万人とする目標を掲げているが、訪日外国人旅行者が多くなればなるほど、国外から感染症が持ち込まれるリスクが高まる。中東呼吸器症候群(MERS)のような新興感染症が国内で広がった場合、訪日外国人旅行者数が減少する影響だけで経済損失が2.7兆円生じ、観光業などでの雇用が58万人失われるとの試算がある。

 

外務省が税制改正要望において、国際連帯税(国際貢献税)の新設を平成22年度から平成30年度まで九年も続けて要望している中、政府は国会に国際観光旅客税法案(第196回国会閣法第2号)及び外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(第196回国会閣法第四号)を提出したので、以下、質問する。

 

一 「国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について」(平成29年12月22日観光立国推進閣僚会議決定。以下「基本方針」という。)では、国際観光旅客税の充当先の一つとして「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」が挙げられているが、ここにいう「環境の整備」に感染症対策も含めるべきではないか。

 

二 感染症の元を絶つため、国際観光旅客税の使途を国際的な感染症対策にも広げるべきではないか。

 

三 国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」では、「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」ことが掲げられている。我が国の「SDGs実施指針」における優先課題の一つである「健康・長寿の達成」では、具体的施策の例として「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画の推進」が挙げられている。基本方針では、2019年度以降の国際観光旅客税の使途は、外務省も参加する観光戦略実行推進タスクフォースで検討する旨定められているが、国際観光旅客税を国内だけでなく海外での取り組みにも充てられるよう検討するべきではないか。

 

  右質問する。

 

(注;答弁書は4月6日予定。なお、主意書の数字は漢数字だが、見易くするために算用数字に直してあります)

 

★写真は、参議院予算委員会で質問する川田龍平議員(3月16日)