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国際連帯税議連創設の立役者=峰崎元参議院議員、国際連帯税を語る
2018.08.27
国際連帯税議連創設の立役者=峰崎元参議院議員、国際連帯税を語る

峰崎直樹元参議院議員(元財務副大臣)の週刊(個人)レター『チャランケ通信』(8月28日号)で、国際連帯税に関するコメント記事が掲載されています。記事にもありますように、国際連帯税創設を求める議員連盟は当時野党であった民主党の峰崎議員など有志が、自民党税制調査会会長であった津島雄二議員に働きかけて、超党派議連として設立されました。

 

その議連設立の経緯ですが、「肝腎の外務省自身が及び腰」だった、とのことは初耳ですね。が、記事にはありませんが、議連設立後、外務省担当者が打って変わったように積極的に動いてくれました。

 

ともあれ、峰崎先生は「成立した『出国税』を『国際連帯税』へと転換させてはどうか、さらに為替取引への課税など、世界で大いに論議を進めるべきだ」と提言しています。

 

なお、アイヌ語で談判、議論を意味する『チャランケ通信』は、民間税制調査会のWEBサイトで読むことができます。峰崎先生の鋭い税財政・金融問題等の分析・問題提起がとても評判です。以下、記事です。

 

 

河野外務大臣の「国際連帯税」への積極姿勢、大いに注目したい

 

 先週21日、日本経済新聞の政治欄を見て河野外務大臣が「国際連帯税」を提起した事の記事に注目した。7月に都内で開催された国際連帯税に関するシンポジウムに出席し、「国の予算に依存せず、必要な資金ギャップを埋めるやり方として国際連帯税は有力な方法の一つだ」と語り、「先進国は『援助疲れ』している」とも述べ、縮小するODAの代替策の必要性を指摘したようだ。

 

最初のアイディアは、金子宏東大名誉教授の「国際人道税」、それを実践したシラク大統領、フランスが「航空券連帯税」導入へ

 

 この税について、おそらく世界で最初の問題提起をしたのは、税法の権威である金子宏東大名誉教授の「国際人道税」の提唱だろう。1997年の事だった。それを受けて、2006年にフランスでの航空券連帯税が出来上がるわけだ。私自身がこの流れを知った野党民主党時代の2008年、フランスのストラスブールでEU議会との日本の国会議員交流で訪仏した際、フランス外務省を訪問してフランスから始まった航空券連帯税について調査をしたことに始まる。税収の使い道として、ユニットエイドを通じて感染症対策などに支出されていたと記憶する。

 

 この後、日本に帰り、当時自民党税制調査会長を務めておられた津島雄二衆議院議員の部屋を訪ね、超党派の「国際連帯税議連」の設立と津島議員に会長の就任を要請したことから具体化が進む。私自身も副会長として参加し、外務省や財務省などに働きかけたが、肝腎の外務省自身が及び腰で、なかなか前に進まなかったことを記憶する。もちろん、経済界は反対であったし、何よりも航空業界は「航空券連帯税」には真っ向から反対してきたことは言うまでもない。

 

動き始めたのは、2009年の政権交代から、G20の場でも発言へ

 

 やはり動き始めたのは2009年の政権交代からであり、翌2010年には政府税制調査会の下に「国際課税小委員会」を設置して具体的検討に入ったことが日経紙にも記載されている。政権が再び自民党・公明党に交代して以降も、細々と議連の活動が続くのだが、河野外務大臣時代になって、ようやくこの問題が正面から取り上げられるようになって来たわけで、それだけに感慨深いものがある。

 

 ただ、今年5月に開催されたG20外相会合の場で国際連帯税の呼びかけを進めたようだが、実は2010年6月初旬、韓国プサンで開催されたG20財務大臣会合の場で、菅財務大臣の代理出席した副大臣の私は、国際連帯税の提案と法人税の引き下げ競争を止めるべきだ、という発言をしたことを思い出す。当時は、リーマンショック後の世界的金融危機とギリシア危機に始まった途上国の問題などがメインで、税についてはあまり関心を呼ぶことは無かった。だが、財務副大臣として最後の国際会議の場となるわけで、この問題に絞って問題提起をした。財務省からの振り付けではない発言だっただけに、やや緊張したことを思い出す。

 

成立した「出国税」を「国際連帯税」へと転換させてはどうか、さらに為替取引への課税など、世界で大いに論議を進めるべきだ

 

 河野外務大臣は、来年日本で開催されるG20の会合でも議題として取り上げるようだが、その前に来年度の税制改正の場でしっかりとした議論をするよう求めるべきだ。航空券連帯税によく似た「出国税」が今年4月成立し、来年1月7日以降日本から出国する2歳以上の総ての人対象に、一人1,000円税として徴収することとなる。航空と船舶が対象だが、これは航空券連帯税とどう違うのか、国際貢献に使うか、それとも国内の観光インフラに使うかの違いだろうが、桁はせいぜい100億円オーダーであり、国際連帯税として支出する方がベターであろう。出国税は観光関連の目的税にする意向のようだが、使い方の監視が緩く成り易いことに警戒すべきだろう。できれば、この「出国税」を「国際連帯税」として改組すべきではないか、と考えるがどうだろう。

 

 今回河野大臣の提起には、外国為替取引などにも課税対象にしているようだが、色々と課税対象も考えて行くべきだろう。それにしても、従来の外務省の姿勢とは質的に異なる画期的な動きとして今後の動きを注目しておきたい。(了)

 

★写真は、2008年6月議員連盟の勉強会で挨拶する峰崎先生(ちょっとお若いですね)