三木義一・青山学院大学学長(民間税制調査会メンバー)のベストセラーである岩波新書『日本の税金』の第3版が新規に発売されました。「定評ある入門書の最新アップデート版」ですので、ぜひ手に取って勉強しましょう。タックスヘイブン問題や国際連帯税についても記述されています。以下、岩波新書の案内文より。
<内 容>
日本の税制は複雑でわかりにくい.政治家と官僚まかせで作られた制度を,市民の目線で見直し解きほぐす.所得税,法人税,相続税,消費税,地方税,間接税,国際課税.その基本的な考え方,導入の背景,問題点などをコンパクトに解説する.定評ある入門書の最新アップデート版.税金の仕組みをすぐ知るのに最適な一冊.
<目 次>
序 章 私たちは誰のために税を負担するのだろう?
政権交代・再交代/地震・原発大災害/二一世紀の資本/まず税制を知ろう
第1章 所得税――給与所得が中心だが
1 「所得」税と給与所得
「収入」と「所得」/給与所得控除/サラリーマンの必要経費/サラリーマンにも実額控除可能?/事業所得者の必要経費/家族労働の必要経費性/住居の維持費
2 誰の所得なのか
夫婦の所得?/課税単位/夫婦財産契約
3 「所得」に課税するのか,「人」に課税するのか
総所得金額/人税としての所得税/基礎控除額で人間が生活できるだろうか/課税最低限のまやかし/配偶者控除論争/医療費控除等
4 累進税率の意味
超過累進税率/税額控除か所得控除か/控除から手当へ/給付付き税額控除/住民税負担
5 所得税をどう改革すべきか
建前の応能負担/所得の把握と番号/税のグローバル化
第2章 法人税――税率引下げ競争の行く末
1 会社の税金の実態
法人税率は高いか/赤字法人/多い法人数
2 法人税の仕組み
法人の所得/会社の建前と法人税/同族会社/受取配当益金不算入/交際費損金不算入/税率/公益法人課税/組織再編税制の台頭
3 会社の所得は誰のものか
法人擬制説と実在説/選挙権のない法人/法人税の方向
第3章 消費税――市民の錯覚が支えてきた?
1 錯覚する消費者
痛みを感じた消費税/誰が払うべきなのか/誰に払っているのか――免税業者/誰に払っているのか――簡易課税業者
2 複雑で,不公平でもある税制
どの取引に消費税がかかるのか/複雑な税制/消費税は付加価値税/仕入税額控除否認/逆進性と軽減税率/消費税と滞納
3 どうなるのか消費税
税率アップと非課税/ゼロ税率/給付付き消費税額控除/高齢化社会と消費税/正規雇用と付加価値税
第4章 相続税――取得税方式に徹底すべきでは?
1 制度疲労に陥っている税制
相続額が同じでも/遺産取得税方式から折衷方式へ/死亡件数一〇〇件のうち,相続税がかかるのは?/法定相続分でまず計算/取得額が同じでも税負担増/連帯納付/右肩上がりの税制/通達で評価/事業承継
2 相続税をどう考えるべきか
相続廃止は可能か/遺産取得税方式の徹底へ/相続三代続くと
3 贈与税の仕組みと問題点
贈与税は補完税/相続時精算課税の導入/いつ取得したか/法人への贈与は注意
第5章 間接税等――本当に合理的で必要なのか?
1 税が酒を造る
ビール業界と大蔵省のいたちごっこ/分類差等課税/ビールは高級酒?/いたちごっこの終焉?/免許は必要か
2 たばこ増税の攻防
たばこにかかる四種類の税/四重課税か/増税で禁煙させられるか
3 暫定が恒久化する自動車関係税
引上げは暫定?/特定財源の攻防/環境税化へ
4 様々な流通税
各種の流通税/相続させる遺言と登録免許税
5 不思議な国税
電源開発促進税/森林環境税
第6章 地方税――財政自主権は確立できたのか?
1 地方税の仕組み
地方税条例主義/不明確な規定/三割自治は変わらず
2 事業税
「事業」に課税/外形標準課税
3 固定資産税
台帳課税主義/バブル後遺症/家屋はなぜ下がらない/時価に連動すべきなのか/課税ミスの連続
4 都市計画税
固定資産税とどう違う/都市計画財源として機能しているか/都市計画への住民参加と都市計画税の再生
5 法定外税等
自治体独自の税/実際の導入例/超過課税
第7章 国際課税――国境から税が逃げていく
1 逃げる納税者
タックス・ギャップ/「居住者」か否か/住所か国籍か/内国法人・外国法人/税金分捕り合戦
2 パナマ文書,パラダイス文書の衝撃
国外逃亡と徴税/パナマ文書・パラダイス文書/国境を超えた税――国際連帯税が出国税に
終 章 税金問題こそ政治
反税の義賊=ロビン・フッドは今?/財政ポピュリズムの台頭/毎年の税制改正手続とその公正化
あとがき