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財源確保の切り札?トービン税再び静かに浮上>加谷珪一氏の解説
2020.07.02
財源確保の切り札?トービン税再び静かに浮上>加谷珪一氏の解説

今週の『ニューズウィーク』誌(7月7日号)に経済評論家・加谷珪一氏のトービン税の超解説「コロナ給付金の財源問題も即解決だが……取り扱い注意なトービン税とは」が載っていまして、それが電子版でも読むことができますので、紹介するとともに氏の「解説」へ少々のコメントを加えさせていただきます。

 

◎いま、なぜトービン税? 簡単に数兆円の財源捻出が可能?

 

まずなぜトービン税を問題にするかというと、「新型コロナウイルスに関する『基本的対処方針等諮問委員会』のメンバーに経済の専門家として加わった小林慶一郎氏…が、感染対策によって増大する財政問題の解決策として『トービン税』の導入を提唱して話題となっている」から、と加谷氏は言っています。

 

さて、為替を含む金融取引ですが、「金融取引の規模は、モノやサービスなどリアルな取引とは比べものにならない。外国為替取引ひとつをとっても、日本における取引量は1日40兆円を超える。…わずかな税金をかけるだけで、数兆円程度の税収はごく簡単に捻出できるので、トービン税は財政の切り札とも言われる」、と加谷氏は続けます。

 

数字をちょっと挙げてみましょう。年間為替取引高は、40兆円×250日=1京円、これに0.01%の低率課税で、年間1兆円、0.05%で5兆円の税収となります(世界全体では、0.01%で約18兆円)。

 

また、金融取引税は為替取引だけではなく、株・債券・デリバティブ取引等もありますので、これらにも課税できれば、より低率の税金での実施が可能となります。

 

◎世界同時導入でなければトービン税実施は不可能? 

 

「だが、トービン税は全世界で同時に導入しなければ意味がない。例えば日本だけトービン税を導入すると、日本の金融取引は全て海外に逃げて…しまう。トービン税を機能させるには、全ての国が一切の不正を行わず同時に実施する必要がある。(また)これを実現するには、ある種の世界国家を樹立するという話とな(る)」

 

この指摘は、トービン税実施不可能の論拠として必ず用いられるものですね。しかし、①まず一国で実施することが本当に不可能なのか。ブラジルは一国でも為替に関するIOF税(金融取引税)を行いました。また税率を超々低率(例えば、0.0001%)で制度設計したら可能ではないのか? ②何よりもG20サミットなどで絶えず金融取引税を主要議題とする政府が現れたら案外早く実現するのではないか、それは加谷氏が「コロナ危機がなければ、話題にはならなかった可能性が高い」と言明していますが、逆にコロナ危機だからこそ(第2波もありそうだし、別のウイルスの流行も考慮にいれて)平時では考えられないことが起こる可能性があるのです。

 

◎議論も大事だが、どうすれば実施可能か知恵を絞るべきでは?

 

最後に、加谷氏は「日本政府は今回のコロナ危機に際して、既に2回の補正予算を組んでおり、真水で60兆円近くの財政支出を決定している。今後、感染が再拡大すれば財政支出がさらに増大するのは確実であり、財源確保は全ての国にとって共通課題となりつつある。実際に導入するのかはともかく、聖域を設けず議論を進めることは重要だろう」、と言います。

 

今年度予算は、ついに100兆円を超えての赤字国債発行(借金)という事態になりますが、コロナ情勢によっては第3次補正予算を組まなければならないし、そもそも20年度税収が激減するなかで来年度の予算をどのように組むか、予算編成がもすごく厳しいものになりそうです。このことを鑑みれば、消費税などいわゆる大衆増税はとうてい行えませんので、何らかの金融取引税は必要です。そればかりか今後貧困国・医療脆弱国へさらに援助が必要となることは目に見えていますので、できるだけ幅広い形での徴税を実現し、国内財政や国際協力のための資金調達(国際連帯税として)を捻出していかねばならないと思います。

 

ですから、逼迫し赤字だらけの財政を何とか持ちこたえつつ、かつ国際協力を進めるという立場から、どうすれば金融取引税の実現が可能か知恵を絞るべきなのです。議論のための議論ではなく!!

 

【ニューズウィーク】コロナ給付金の財源問題も即解決だが……取り扱い注意なトービン税とは