報告が遅れましたが、去る4月23日TOKYO MXテレビで放映された「寺島実郎の世界を知る力 対談編~時代との対話~#25」で寺島氏が金融取引税を力説していましたので紹介します。番組は、ゲストに白井さゆり・慶應義塾大学教授、真壁昭夫・多摩大学招聘教授を迎え、米国銀行やクレディ・スイス銀行など相次ぐ経営破綻により急速に広がりを見せている金融不安の構造と本質的な課題についての議論が中心となります。
●金融不安の背景に、超低金利と超金余り
その構造ですが、真壁氏は「いつか来た道にまた戻りつつあるということだ」と明言。今回の場合は、超低金利が長く続く中お金がジャブジャブの状態で余っており、(預金では儲からないため)お金が株式や不動産、コモディディ(商品)に向かい、暗号資産など怪しい金融商品でも金利の高いものに向かいバブル状態になっていること、そしてこれが破綻しつつあり、銀行にとって不良債権となる。これは古典的な状況ですね、と【感想:リーマンショック前と同じということでしょう。以下、個々の銀行の経営破綻の要因は略】。
一方、日本では「内需があまりにも弱いので政府の支出が必要となっているが、その支出を増税で賄えないために国債発行となり、今は90%が国内で消化できているがそれが今後どうなるか(実際、10年物国債が消化できずらくなりつつある)」、と白井氏。加えて、寺島氏が黒田日銀が果たしてきた負の役割(異次元金融緩和によるお金ジャブジャブ状態、赤字国債の引き受けによる発行している国債の半分以上の所有、あげくには中央銀行にあるまじき株式の直接購入など)を報告。
これらを受けて、寺島氏は日本が典型のような「どんどんはまっていくぬかるみ状況」からどう脱却するのかを考えるが、それは「資本主義社会をどう見るのかにさえ行き着く問題ではないか」、と指摘。
●SDGs的世界観が必要で、新しいグローバルなルールづくりの段階に
その脱却の方法として、寺島氏はSDGs的世界観が必要であること【感想:そう断定的な言い方ではなかったが】、そして金融の分野においては「世界の新しい次元のルールづくり」を挙げます。「米国の金融規制という次元を超えて、もう一次元ギアアップして、ルールをつくり、その下で世界の先進国のみならずすべての国々がそのために金融取引や為替取引、つまりマネーゲームで儲けた利益に広く薄く税金をかけ、その財源をもって国際社会の安定のために図っていくなど新しい次元のルール形成が必要になってくるのではないか」、と。
番組の最後の方で、再び寺島氏は「今日コモンズということが大きな流れとなってきており、グローバルサウスもまきこんだコモンズの仕組みづくり、ルールづくりが必要で、例えば(金融取引に)広く薄く課税しマネーゲームで利益を上げた人は責任を共有してもらう。…世界はこれからこのような金融セクターの新しい仕組みづくりの議論に向かわざるを得なくなってきているのではないか」と話を結びました。
【エコノミスト鼎談】寺島実郎の世界を知る力対談篇~時代との対話~#25
経済専門家と鼎談!世界・日本の未来と課題
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