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G7広島コミュニケと資金動員>寺島実郎氏、国際連帯税を提案(#サンモニ)
2023.05.24
G7広島コミュニケと資金動員>寺島実郎氏、国際連帯税を提案(#サンモニ)

G7広島サミットは21日に閉幕しましたが、首脳コミュニケが前日に出されるという異例の事態でした。サミットは、最後に来て「ゼレンスキー・サミット」と呼ばれるほどの演出が際立ちましたが、日本政府が事前に目玉として宣伝していた「グローバルサウスとの連携」はどうだったのでしょうか?

 

●民間資金及び公的資金の動員を謳っているが…

 

「グローバルサウスとの連携」を言うなら、まずは途上国支援のための資金が求められています。実際コミュニケでも「我々は、2030年までの持続可能な開発目標の達成、貧困の削減、気候危機を含むグローバルな課題への対応及び低・中所得国における債務脆弱性への対処は、緊急であり…」と認識し、「これらの課題に対処し、公正な移行を支援するために必要な民間資金及び公的資金を動員する…」(以上、第10パラグラフ)と謳っています。

 

しかし、途上国のSDGs達成のための資金ギャップが年間4兆ドルを超えるという現状に対して、まずはG7が公的資金を十分に拠出し、その上で民間資金の動員があって、そのギャップは埋められていきます(第10パラでは逆の表現に)。その公的資金については、ODAのGNI比0.7%目標の重要性の認識、ならびに「革新的資金調達メカニズム」の必要性ということで記述されていますが(第11パラ)、その具体性については依然として語られていません。

 

例えば、0.7%目標については毎回毎回「重要性の認識」にとどまり、目標を達成するための工程がネグレクトされています。また、革新的資金調達メカニズムの方も具体的提案がありません。

 

もうひとつ。気候変動問題で言いますと、COP27で合意され、今年のCOP28でも最大の議題となる「損害と損失」基金問題が、第18パラから21パラまでの『気候』記述の中で一番最後に「世界的な気候変動の悪影響を警戒し、特に最も脆弱な国々に対して、損失と損害を回避し…これらに対処するための行動と支援を増加させる(COP27等の決定)」とさらっと記しているだけです。そこには先進国としての責任を果たすという意欲が見られないのです。

 

●グローバルサウスへの支援、国際連帯税構想で>寺島実郎氏

 

「グローバルサウスを惹きつけるようなクリエイティブな発想がG7にはまったくない」というのが、21日TBSで放映されたサンデーモーニングでの寺島実郎氏のコメントです。

 

寺島氏の発言を追ってみます。「今度のサミットでグローバルサウスに対して何ができるのか。例えばG7が豊かな国というのなら、そこでのマネーゲームに税金をかけてアフリカやアジアの貧しい国々に対して、こういう仕組みでもって、これ国際連帯税構想というものがあるのですが、そういうものに踏み込んだとなれば、グローバルサウスの方はG7はたいしたものだなとなる」。しかし、そうではない、ということで上のような結論になりました。

 

テレビでの発言は時間的制約があるため、論理が短絡していますが、G7は国の財政が厳しくなると公的資金ではなく盛んに民間資金の利用を言い出し、先進国としての責任を放棄してきたのです。一般財政からの拠出が厳しいのであれば、革新的資金メカニズムを構想し実行しなければならないのです。それが国際連帯税だと寺島氏は主張します。

 

●6月新国際金融サミット、9月G20サミット、11月COP28へ

 

首脳コミュニケは、気候変動や貧困削減のための「開発資金ツールキットを強化」するため、「6月…パリで開催される国際開発金融の再活性化のためのサミットに始まり、(9月)ニューデリーでのG20サミット、ニューヨークでのSDGsサミット…(11月)アラブ首長国連邦での…COP28を通じてこのモメンタムを維持し…具体的な進展を得るために協働する」と謳っています(第10パラ)。

 

私たちもG7サミットに引き続き、6月パリサミットからCOP28まで、今度こそ運動をまき起こし国際連帯税や金融取引税をアピールしていきたいと考えています。

 

※写真は、NHKテレビより