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国際連帯税2.0「国際航空プレミアム券連帯税」の実現を>26年度税制改正
2025.08.05
国際連帯税2.0「国際航空プレミアム券連帯税」の実現を>26年度税制改正

各省庁が26年度税制改正要望を提出する時期となってきました(決定するのは年末となります)。当フォーラムは毎年航空券連帯税や金融取引税などの国際連帯税を要求してきましたが、今回は、国際連帯税2.0として、より具体的に「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」を下記の通り要求します。

 

 

2026年度 国際連帯税に関する要請書

 

外務大臣 岩屋 毅 様

 

                  グローバル連帯税フォーラム

                       代表理事 金子文夫、田中徹二

 

日頃からの日本と世界のための外交努力に感謝します。

 

2026年度税制改正要望を提出する時期となってきました。当フォーラムは「国際連帯税創設を求める議員連盟」とともに、2010年度税制改正要望の時期以来「国際連帯税」を要求してきました。また、外務省におかれましても同年度から同税を要望してまいりました。ところが、貴省は2020年の『SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会』最終論点で、「新型コロナウイルスより日本経済全体が大きな打撃を受けている状況下での新税の導入は現実的ではない」(要旨)という提言を受ける形で、2021年度税制改正要望から国際連帯税要望を断念するようになりました。

 

しかし、同提言では「国際旅客は短期間での感染症拡大等の形で人々の健康及び国内経済に大きな打撃を与え得ることから、国境を越えた人の移動への課税による税収を国際的な感染症予防対策の支援に充てることには合理性があり、国際航空事業が正常化した段階で(入国税として)再考すべき」(要旨)とも述べています。貴省はその後、この提言部分についてどのように再検討され、連帯税要望の断念に至ったのか、 遺憾ながらその足跡が見当たりません。

 

翻って、ここ数年とみに人類に脅威を及ぼしている主たる事象は、ひとつは新型コロナウイルス(COVID-19)禍に見られたように感染症のパンデミックであり、もうひとつは気候変動・温暖化です。この二つの脅威に関係してくるのが、国際航空です。前者については、上記有識者会議で述べているように、短期に爆発的に感染症を広めるという役割を負いました。後者については、航空部門は人為的なCO₂排出量の2.5%以上を占めており(他の排出ガス等を含めれば4%)、単位距離あたりのCO₂排出量が他のどの交通手段よりも多いという傾向があります。その上国際民間航空機関(ICAO)は、2030年に世界の総旅客数が2024年比126%、2042年には倍増の205%に増加すると予測しています。

 

我が国においても、訪日外国人は過去最高が2019年3,188万人(出国日本人は2,008万人)でしたが、2024年には3,687万人(出国日本人は1,301万人)を数えました。そして本年には4,500万人と予測され(出国日本人は1,410万人)、政府は2030年には6,000万人を見込んでいます。

 

このように航空部門は内外とも、温室効果ガス排出量が最も急速に増加している部門の一つと言えますが、同部門がグローバルに負の影響を与えている活動に対して、対策を実施するための資金調達方法として航空券連帯税があります。この度、同税のバージョン2として、本年6月末第4回開発資金国際会議(FfD4)時に「国際線プレミアム旅客への課税を求める連帯連合」がフランス、ケニア、スペインなど8カ国(*)で立ち上がりました。プレミアム旅客とは国際線のビジネス・ファースト席ならびにプライベート・ジェット機を利用する乗客ということで、エコノミークラスとは違って富裕層が利用し年々需要が高まっています。同連合は、目的として「開発途上国の国内歳入動員を改善し、国際的な連帯(特に気候変動の緩和と適応、パンデミック、その他の開発課題に関して)を支援すること」を挙げるとともに、広く参加国を求めています。

 

つきましては、貴省におかれては10年にわたり航空券連帯税など国際連帯税を要望するために知見を深めてきたところですので、その知見をもって連帯連合に参加し、航空券連帯税2.0を目指してはいかがでしょうか。このことから、私たちは下記のことを要望します。

 

 

1、日本政府は「国際線プレミアム旅客(ビジネス・ファースト席、プライベート・ジェット利用者)への課税を求める連帯連合」に参加してください。

 

2、26年度税制改正要望に「仮称・国際航空プレミアム券連帯税」を要求し、導入に向けて準備してください。

 

(*)8カ国とは、フランス、ケニア、バルバドス、スペイン、ソマリア、ベナン、シエラレオネ、アンティグア・バーブーダ。同連帯連合は2023年に発足したフランス、ケニア、バルバドスを議長国とする「グローバル連帯税タスクフォース」の支援を受けている。

                                                             2025年8月吉日

 

※写真は、日本航空(JAL)のHPより