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はじまる来年度税制改正の動き>グローバル連帯税の実現へ
2017.06.21
はじまる来年度税制改正の動き>グローバル連帯税の実現へ

通常国会が、(政府与党の「テロ等準備罪」採決ならびに「加計学園問題解明」が)「あまりに強引で説明不足ではないか」(6月16日付日経新聞社説)という状況にありながら閉幕となりました。

 

●通常国会の閉幕と(世界規模での)市民活動空間への抑圧

 

「テロ等準備罪=共謀罪」ですが、確実に市民・NGO活動を委縮させることになりそうです。映画監督の周防正行氏は(気づいたら密告社会になっていたという事態を避けるためにも)「萎縮せず発言を」と訴えています(同上日経新聞社会面)。

 

このような市民・NGO活動への抑圧・締め付けは、日本も含め(新興国等では暴力も伴って)世界規模で起きており、世界の市民社会は来る来月のG20ハンブルグ・サミットで“主要な議題”に市民社会の活動空間の保護を加えるよう議長国のメルケル首相に要請しています。

 

*G20ハンブルク・サミット議題における市民社会の取り扱いに関する要請書

 

●次年度税制改正に向けて:活動を本格化していこう

 

ともあれ、これからの国レベルでの主な作業は、次年度(2018年度)に向けた予算案づくり、税制改正案づくりとなってきます。どちらも8月末に概算要求(予算)、改正要望(税制)を各省庁から財務省に提出することになります。

 

グローバル(国際)連帯税についても、例年通り外務省が「国際連帯・貢献税」の新設要望を出す(私たちから言えば、外務省に出してもらう)ことからはじまります。今年は以下の3つの状況の変化がありますので、例年より活動がしやすいと言えます。

 

(1)岸田外務大臣が国際連帯税にとても前向きなこと

 

すでにお知らせしましたが、去る5月の参議院決算委員会で、(国際連帯税議連事務局長の)石橋通宏議員の質問に対して、岸田外務大臣は次のように答えました。

 

外務省としましても、また私自身としましても、…是非、国際連帯税に向けて前向きにしっかりと取組を続けていきたい。

 

(2)外務省の国際連帯税に関する調査委託報告書の公表

 

外務省は、昨年11月国際連帯税の制度設計に関する調査のため、寺島実郎氏を座長とし有識者による研究会を立ち上げ(正式名は、「国際連帯税を導入する場合のあり得べき制度設計及び効果・影響の試算等」調査委託)、その報告書が本年3月に公表されました。

 

*外務省の調査委託報告書

 

その報告書では、「我が国が今後さらに(SDGs実施等)積極的な国際貢献を行い、 国際的な影響力を拡大させるためにも、国際連帯税導入に向けた検討を進めていくことが必要」との立場から、航空券連帯税、金融取引税、炭素税、旅券手数料への課税を打ち出しました。

 

なお、研究会では(WEB)アンケート調査も実施しましたが、航空券連帯税につき「約 3/4 が定額税・定率税を支払ってもよいと回答(ただし国際連帯税に対する賛成は5割強)」という結果を得たことも報告されています。この「賛成」の数字はとても高く、予想をはるかに超えてのものでした。

 

また、この調査委託につき、岸田外務大臣は先の委員会で「調査に制度設計をお願いしたのだから、その答えを踏まえながら具体的取り組みを進めていきたい」と答えています。

 

(3)国連HLPFでのフランスの報告>国際連帯税の実施を報告

 

ご案内のように、2015年9月国連で「持続可能な開発目標(SDGs)/2030アジェンダ」が採択されて以降、舞台は持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF :High Level Political Forum)に移りました。

 

HLPFでは4年に1回首脳級の総会を開催し、SDGs実施のレビューを行いますが(第1回が2019年)、これとは別に毎年閣僚級による自国の取組に関する自発的レビューや取組につき発信することになり、昨年からはじまっています。

 

昨年22ヵ国が自発的なレビューを行いましたが、フランスの報告が注目されます。それは先進国・ドナー国としての重要な責務である開発資金の調達に関し明確に述べたことです。

 

フランスはODAのGNI比0.7%拠出の2030年までの実施(EUの共通援助目標として)を報告するとともに、革新的資金調達としての国際連帯税(航空券や金融取引への課税)を実施し、パンデミック(感染症の世界的な流行)や気候変動への対策資金として提供している、ということを報告しました。

 

*HLPFでのフランスの報告

 

今年7月には2回目のHLPFが開催され、今回は日本政府も報告します。日本政府はぜひともフランスに続いて、先進国・ドナー国の責務としてODAの0.7%拠出ならびに国際連帯税につき報告していただきたいと思っています。

 

【フランス報告での国際連帯税の部分】
FRANCE TAKES AN INNOVATIVE APPROACH TO SUSTAINABLE DEVELOPMENT TOOLS AND FINANCING

 

In 2004, France took the initiative, with Brazil and Chile, to propose putting in place international solidarity taxes on activities that benefit the most from globalisation to provide innovative development financing in addition to budget resources. It introduced these taxes on airline tickets and financial transactions, providing funding to tackle the pandemics and take climate change action.

 

★写真は、UNITAID(国際医薬品購入ファシリティ)の新ロゴ。UNITAID(ユニットエイド)はその予算の70%弱を各国の航空券連帯税による税収で賄われており、途上国の主にエイズ・結核・マラリアという3大感染症の治療薬を購入する資金を提供しています。