12 月3日青山学院大学において「シンポジウム『税と正義/グローバル・タックスと税制改正』」が開催され、100人が参加しました。共催は、グローバル連帯税フォーラムと民間税制調査会。
約4時間にわたるシンポジウムは、予定していた時間をややオーバーして討論が行われました。当日のプログラムと講師の方々の資料を送りますので、目を通していただければ幸いです。なお、録音起こしも行う予定ですので、全体の議論については今しばらくお待ちください。
<シンポジウム開催の意図>
シンポジウム開催の意図につき、冒頭金子文夫・横浜市立大学名誉教授より以下のように述べられシンポジウムは始まりました。
「経済のグローバル化が進展するなかで、国内的にも世界的にも所得と資産の格差が広がり、不平等・不公正な社会が出現しており、パラダイス文書で明らかとなった多国籍企業や富裕層の目に余る租税回避を許すならば、格差の拡大は際限なく続く。格差を是正する公正な税制が、国内的にもグローバルな規模でも求められている。
今必要なことは、税とは何か、税の正義(タックス・ジャスティス)とは何か、という原理的視点を改めて確認し、国内的およびグローバルな規模での公正な税制の方向を明確にしていくことだ。
本日のシンポジウムでは、名古屋市立大学の伊藤先生には、政治哲学の立場から、税の正義について原理的・規範的な議論の提示をしていただく。北海道大学の津田さんからは、国際課税問題の最新の動向について、パラダイス文書とEU金融取引税に絞って紹介していただく。まとめとして、青山学院大学の三木先生には、2018年度税制改正をめぐる問題点について縦横無尽に語っていただく」。
<当日配布された資料>
2、主催者あいさつ:金子文夫・横浜市立大学名誉教授
3、講演
1)「税の正義とグローバル・タックス」…伊藤恭彦・名古屋市立大学人文社会学部教授
2)「グローバル・タックス・ジャスティスの検討―“パラダイス文書”と EU 金融取引税の観点から―」…津田久美子・北海道大学法学研究科博士課程日本学術振興会特別研究員 DC
3)「2018 年度税制改革を考える」…三木義一・青山学院大学法学部教授
4、今後の活動について…田中徹二・グローバル連帯税フォーラム代表理事
<シンポジウムに対する感想・コメント>
・普段は日常の仕事に追われてグローバルレベルで税ことを考えないが、それを考える時間をもったことが良かった。カントやアダム・スミスのことも勉強しないといけないと思った。
・3名の先生方のお話は大変分かりやすく、抱えている課題についても理解が深まりました。伊藤先生の税の正義について考える事は非常に重要だと感じました。ここを考えずして税の話はできないと思います。貴重な会を有難うございます。
・2018年度税制改革のことがとても理解できた。税の在り方はとても重要だと感じました。
・伊藤先生の話されるようなそもそも論は必要。タックスヘイブンの利用などの税回避行為は許せない。それを防ぐ、法的、国際的システムの構築が急務。
・現在、税の富の再分配機能について論文を書いており、本日の講義を聞いて枝葉末節の話にならないよう、基本的なところをしっかり押さえた内容にしなければならないと感じました。大変参考になった。
ほか。