去る7月24日開催した「SDGs達成のための国際連帯税を実現するシンポジウム2019」において、以下の宣言文が採択され、河野外務大臣に手交されました。手交したのは、横浜市立大学の1年生2人でした。
なお、宣言文にもありますように、9月のニューヨークでの国連総会(SDGサミットなど)でのリーディング・グループのサイドイベント等にシンポジウム参加者から2人(その後3人)派遣することになりました。派遣費用を助成してくれる団体に感謝します。以下、宣言文をお読みください。
「SDGs達成のための国際連帯税を実現するシンポジウム2019」
宣言文(案)
2019年7月24日
SDGsが国連で採択されてから4年目を迎え、9月24-25日に国連SDGサミットが開催されます。ここでは首脳級によるフォローアップが行われますが、4年間の評価は「人々の生活は概して、10年前よりも改善していますが、誰ひとり取り残さないための前進は、2030アジェンダの目標を達成できる速度では進んでいません」(『SDGs報告2019』)という状況です。以下、その一端です。
・世界で栄養不良状態にある人々の割合は8億1,500万人へと増加してきている
・年間560万人の子どもが5歳未満で亡くなっている(その半数はサハラ以南のアフリカ地域)
・気候変動による台風や大干ばつ等の災害により生じた経済的被害は3,000億ドルを超える
・難民・避難民が2018年で7千万人を超え「第2次世界大戦以降で最悪の状況」になっている
このように、いぜんとしてこの地球上において数十億の人々は貧困や疾病、また環境悪化に見舞われ、尊厳のある生活を送れずにいる状況です。
SDGs進捗を送らせている要因のひとつは「資金問題」にあることは明白です。国際機関の試算によると途上国だけでも毎年2.5兆ドル不足すると報告されています(UNCTAD)。世界のODA総額は1500億ドル程度ですから、その資金ギャップはたいへんなものがあります。そこで世界的に注目されてきているのが、国際連帯税などの革新的資金調達メカニズムです。国際連帯税とはグローバリゼーションによって受益している経済活動に広く薄く課税し、その税収をSDGsなど地球規模課題に使うというメカニズムです。すでに他の国では、国際航空券税や金融取引税として実施していますが、国際連帯税の広がりは十分ではなく、一部の国々に留まっている状況です。
一方、画期的なことに河野太郎外務大臣が昨年来G20外相会合など国際会議の場で国際連帯税を含む革新的資金調達について議論することを積極的に訴え、出席者から肯定的な反応を得ているという現実があります。さらに大臣は、「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」の議長国に本年就任し、国際連帯税を含む革新的資金調達の議論を国際的にリードしていくとの決意を語っています。
しかし、課題のひとつは日本国内でどう国際連帯税の議論を深め、実施機運を高めていくかです。本日のシンポジウムには多くの学生・若者が参加し、国際連帯税に関する方法論や望まれる使途につき大いに議論しました。まずはこうした若者たち、市民、民間からの議論の盛り上げこそが我が国での実施を確かなものにしていくことに繋がってくると確信します。
以上から、本シンポジウム参加者一同は、我が国で、そして世界で、SDGs推進のための国際連帯税が創設され、推進されることを求める立場から、以下、宣言します。
記
1、9月のニューヨークでの国連総会において、上記リーディング・グループのサイドイベント等に学生代表2名を送り込み、政府代表団とともに議論を盛り上げるために奮闘します。
2、我が国において国際連帯税の導入を図るべく、2020年(令和2年)度税制改正大綱において国際連帯税の導入に向けた具体的道筋が明記されるよう、外務大臣及び外務省のイニシアチブを全面的に支援するとともに、国内世論を盛り上げていく活動に邁進します。
(以上)
★左の写真は、シンポジウムで発言する学生です。