フォーラムの講演会のご案内です。
諸富 徹教授講演「グローバル・タックスの意義と可能性」(仮題)
◎日 時:6月20日(日)14:30~16:30
◎参 加:Zoomでの受講
◎参加費:1000円
◎講 師:諸富 徹(京都大学大学院経済学研究科教授)
※要申込:gtaxftt@gmail.com までに、お名前、所属をお書きの上申込みください。40人程度になりましたら締め切らせていただきます。また、前日までに参加URLをメールにてご案内差し上げます
◎参加費振込:上記URLを送付時に振込先をお知らせしますので、後日振り込んでくださるよう願います。
<呼びかけ>
所得税のフラット化、法人税率の引き下げ、タックスヘイブン利用による租税回避…。この傾向が1980年代から新自由主義政策として展開されてきました。一言でいえば、富裕層や大企業に優しい税制がとられてきたのです。経済のグローバル化とデジタル化がそれを可能にしました。この結果、GAFAはじめ巨大多国籍企業が台頭し、「租税戦争」が仕掛けられてきました。
もとより国際社会はこうした「租税戦争」が各国内の税収過小と企業間の公平な競争を阻害することより、過度な租税回避行為を防止するための国際課税ルールを求めて、2010年代よりOECDにおいてBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを立ち上げました。
国際課税ルール(デジタル課税など)議論の10年余を経て、米国トランプ政権に邪魔されながらも、バイデン政権に米国が変わるやデジタル課税に積極的になり、この4月米国案を約140か国に提示。内容は大雑把に言って、年間売上高と利益率が上位100位程度に入る巨大多国籍企業に対してそれぞれの国内で課税というもの。OECD側も米国案が弾みになり、10月のG20首脳会議までには確実に合意できるとの見通しを示しています。
さて、講師となっていただく諸富教授は、その著書『グローバル・タックス』(岩波新書、20年10月発行)において、グローバル・タックスとは「課税権力のグローバル化」と定義しています。具体的には、新しい国際共通ルールをつくって、その下で各国が協力しつつ実施していく税制で、今回のデジタル課税もそのようなケースになる、と分析しています。一方で、国際公共財の財源調達を目的に、国境を越える経済活動に対して課税する国際連帯税もグローバル・タックスの重要な要素としています。
以上から、1)BEPSプロジェクトとデジタル課税、2)米国案の評価と課題点、3)グローバル・タックスの意義と可能性などについて述べていただき、議論できればと思っています。ふるってご参加ください。
●諸富教授の著書
『グローバル・タックス-国境を超える課税権力』(岩波新書 2020年)、『資本主義の新しい形』(岩波書店 2020年)、『財政と現代の経済社会』(NHK出版 2015年)、『私たちはなぜ税金をおさめるのか-租税の経済思想史』(新潮選書 2013年)など多数