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金融取引税はCOVID-19により国際法人税改革の次に浮上か⁉
2021.08.23
金融取引税はCOVID-19により国際法人税改革の次に浮上か⁉

●COVID-19の猛威とともに財源として金融取引税(FTT)が注目さる

 

COVID-19(新型コロナウイルス、以下コロナと略)が猛威を振るいはじめた昨年から、どの国も医療や事業支援など莫大な対策費を余儀なくされ、赤字国債(債券)を大量発行しました。そして問題はそのような赤字財政をどうファイナンスしていくかということで、そのリソースの有力なツールとして金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)が挙げられ、議論されていました。

 

日本でも前年度には60兆円もの赤字国債を発行し補正予算を組みましたが、このままでは財政の持続可能性を大きく損なってしまう恐れも生じてきています。これに対し、現在政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で活躍されている小林慶一郎氏(東京財団政策研究所)など学者やエコノミストの一部から財政立て直しのため世界的規模での金融取引税(またはトービン税)実施の主張もされました。

 

世界的には、欧州連合(EU)の2021年前期議長国であったポルトガルや米国のバーニー・サンダース上院議員らのFTT実施に向けての動きがありましたが、実現に至っていません。もっともこれらの動きは主に国内政策への資金動員という性格のものですが、課税対象や税収の多寡いかんによっては途上国支援のための国際連帯税的な要素を十分持つことができます。例えば、G7など有力国で外国為替取引(通貨取引)へ共同で課税できれば、すぐれて国際公共財の資金源になります。

 

●ITR誌でのFTT小論の要旨

 

ITR(International Tax Review)誌に『金融取引税は反対がありながらもCOVID-19により、その可能性が高まっている』と題してFTTに関する現状と今後の展望について興味深い小論が載っていましたので、紹介します。以下、小論の要旨です。

 

1)世界的にコロナ禍対策による財政立て直しのために金融取引税(FTT)を求める声は高まっている

 

2)実際、FTTの中の株式取引税についてはフランス、イタリアはじめ相当の国で行われており、その実施に困難性はない

 

3)が、FTTはOECDやG20のような組織にとって優先順位は低いとのこと、現在の国際法人税のルール改革が優先されている。しかも、依然としてグローバル企業の反対も強い

 

4)とはいえ、「コロナにより必要になった収入を求める政府の窮状はこの税を採択することで局面が変わるだろう…(今のところ)EUでさえもコンセンサスを得る事は大変だろうが、個々の国々から変化を起こせるだろう」

 

●ITR誌でのFTT小論の全文(日本語・英語)

 

金融取引税は反対がありながらもCOVID-19により、その可能性が高まっている

FTTs more likely due to COVID-19 although objections remain

2021年8月18日 By Alice Jones

 

~各国政府はパンデミックの代償への支払策を探し求めており、金融取引税(FTT)を求める声は高まっている。しかし、論点が依然として残っている。~

 

税務専門家がITRに語った所によると、トービン税として知られている金融取引税(FTT)はCOVID19により失った収入を取り戻す政府の計画の一環として、今後数年間でその可能性が高まってくる。EUが国家間レベルでの課税を協議している間、スペインなど個々の国々は単独で行動をとってきた。

 

「FTTは長い長い間、浮き沈みを繰り返しながらやってきたが、今後目にする機会が多くなるかもしれない。」と税務・財務・会計のフリーランスコンサルタントであるJohn Bush氏は語っている。

(以下省略、続きはこちらをご覧ください