去る5月6日、欧州10カ国が金融取引税(FTT)導入に合意しましたが(遅くとも2016年1月1日までに)、同時に技術的な問題につき今年末までに解決するための作業が必要であるということも確認されました。
その作業部会が、5月28日に開催されたことをブルームバーグが報道しています。これによれば、議題は次の二つです。①(初期段階で)どのデリバティブに課税するかの決定、②追って拡張される課税ベースに向けて初期段階でどのように設定すべきか。この記事について和訳してもらいましたので、どうぞお読みください
◆ブルームバーグ『EU 金融取引税構想、デリバティブへ着手』を読む⇒ PDF
さて、報道の続きです。この議題を進めるために、EU議長国であるギリシャが3通りの案を提示しました。議論の結果等についてブルームバーグは報道していませんので、さらに情報を待ちたいと思います。
ひとつ気になることが。それは同記事の中で、ドイツ連邦銀行のイェンス・ヴァイトマン総裁は金融セクターに税を支払わせようとしているが、同セクターに影響は与えないこと、つまり「税負担を、金融セクターから顧客へ、そして実体経済、個人投資家へ転嫁できるのが実情だ」と言明していることです。FTT推進のリーダー国であるドイツの中央銀行総裁がこんなことを言うなんて、やはり金融セクター関係者の抵抗は強いものがありますね。
FTTのコストにつき顧客や個人投資家に転嫁するのか、できるのか。転嫁したくても、金融取引のぼう大な割合を占めるデリバティブ取引や株取引での超高速度取引などに一般投資家は無縁です。これについては年金の問題含め『金融取引税を巡る12の誤解』(英Stamp out poverty編)をお読みください。
http://isl-forum.jp/archives/159
なお、ギリシャ提案の中身ですが、Agence Europeというツイッターに書かれてある以下のURLから読むことができます。
https://docs.google.com/file/d/0B3jeKY5PJU8wd1kxU3BuUTZzM2M/edit