今朝(14日)の朝日新聞にトマ・ピケティ教授へのロング・インアビューが載っ ていましたので紹介します。
【朝日新聞】(インタビュー)新しい資本論 トマ・ピケティさん
2014年6月14日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11188946.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11188946
“世界の不平等問題で、何が起きているのでしょうか”という問へ答えることか らからはじまり、不平等への対処として「教育の機会を拡大することが最も重要 ですが、それだけでは十分ではありません。収入と資産の両方に、額が大きいほ ど税率が高くなる累進課税をかける必要があります」と教授は述べています。
さらに、教授は“夢物語のような”国際的な累進課税の可能性を述べ、「…完璧 な世界規模の課税制度をつくるか、さもなくば何もできないか、というオール・ オア・ナッシングの進め方ではだめです。その中間に多くのやり方があります。 一歩一歩前に進むべきです」と述べています。確かに、例えば金融取引税なども 反対派はすぐにオール・オア・ナッシングの議論をしがちですね。
ともあれ、“課税の累進性を強めると、比較的富裕な層の経済活動が鈍くなり、 結果として経済成長を鈍化させませんか”という問いに対し、「これは慎重に扱 わなければいけない問題です。実利的に考えるべきです。すべては、どのような 水準の収入や資産にどのような税率をかけるかに、かかっています。確かに年収 20万ドル(2040万円)の人に80%の最高税率が課せられたら、やる気を 失ってしまうでしょう。でも、年収100万ドルや500万ドルであれば大丈夫 だと思います。資産への課税も同じです。巨額の資産があり、そこから年6~7 %の収益を得ている人に1~2%の税金をかけることは大きな問題ではないでしょ う」。ここらは説得力がありますね。
ところで、話は変わりますが、グローバル富裕税は教授の専売特許ではなく、最 近も2つの国際機関が同税のことを提案しています。
ひとつは、国連経済社会局の『2012年版世界経済社会調査―新しい開発資金を求 めて』という報告書。そこでは、世界58カ国にいる1225人の(内米国には400人 強)10億ドル長者の財産に1%の課税を提案しています。
もうひとつは、ILO『世界労働レポート2011』。世界の富の70%以上を所有してい る最富裕10%層の家計に3%の富裕税を一時的に付加すれば4兆ドルの税収が上がる (2010年)、と提案しています。
http://www.ilo.org/global/publications/ilo-bookstore/orderonline/books/WCMS_166021/lang–en/index.htm
あと富裕税ではありませんが、IMFも格差・不平等問題に目を向け始め。所得格 差は経済成長にマイナス作用の可能性という調査報告を提出しています。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYEA1Q00420140227