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欧州11カ国金融取引税、実施要綱の合意は越年へ!
2014.12.11
欧州11カ国金融取引税、実施要綱の合意は越年へ!

オランド

 

ご案内のように、欧州11カ国金融取引税は「本年末までに制度設計と立法化を終了する」予定でしたが、12月8-9日のECOFIN(欧州財務相理事会)で最終合意が図られず、合意が先送りとなりました。

 

この背景には、「株式にのみ課税することを進めるべき(従って、デリバティブ取引への課税は当面考えない)」というフランスと「デリバティブ取引への課税を含む野心的で広範な課税を求める」というドイツならびにオーストリアとの対立があるようです。そもそも5月6日ユーロ圏財務相会合で「株取引と一部デリバティブ取引への課税からはじめる」と合意したはずですが、フランスが後退しました。

 

世界に先駆け航空券連帯税を導入し、さらに2012年には(ミニ)金融取引税を導入して途上国支援を行ってきた「革新的資金調達のためのリーディング・グループ」のチャンピオンであるフランスが、今回の11カ国金融取引税導入問題でブレーキ役になっていることは何とも残念です。

 

ところで、ロイター通信は、年末までの合意ができなくなったので「2016年初めの導入計画が予定通りに実行できない可能性が出てきた」と報道していますが(A)、フランスは「2015年の早期に合意に達したい」と言明しています(ロイター通信B・C)。また、「(その合意は)金融取引税への第一歩」であると述べ、更なるステージを認めています。ですから、「2016年初めの導入」が不可能ということではありません。

 

 12月8日、欧州の市民4カ国の首都でいっせいアクションを行う

 

 8-9日のECOFINに向け、8日欧州の市民・社会運動団体は4カ国の首都(Paris,Berlin, Rome and Madrid)でいっせいにアクションとメディアワークを行いました。そのもようについては以下をご覧ください。

写真を見る:ここ

 

こうした市民・社会運動団体からの圧力もあり、11カ国は「野心的ではないFTT」での合意を取らなかった、とも言えます。

 

本日(10日)欧州の市民・社会運動団体は現状分析と今後について電話会議を行っています。その報告が週末には届くと思いますので、あらためて欧州11カ国FTTの展望について探ってみます。

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【A】ユーロ圏の金融取引税導入計画、年末までの合意困難に=外交筋 

 

 [ブリュッセル 8日 ロイター] – 外交筋が8日明らかにしたところによると、ユーロ圏11カ国は他の加盟国に先行して導入を検討している金融取引税(FTT)について、年末までに合意できない見通しとなり、2016年初めの導入計画が予定通りに実行できない可能性が出てきた。

 

 この計画は9日の財務相会合で承認される予定だったが、法案の準備を進めている外交筋によると、課税方法をめぐる見解の溝が埋まっていないという。

 

 外交筋の1人は「年末までの合意は不可能だ」と指摘した。また、2016年の導入計画にどのような影響を及ぼすかとの質問に、別の外交筋は「かなりの政治的意志が必要になるだろう」と語った。

 

【B】France seeks to keep EU ‘Robin Hood tax’ plan despite missed deadline

 

【C】Eleven euro zone countries want financial tax deal in early 2015 -France 

 

◆写真は左がベルリンでのイメージクリエイト&メディアワーク(首相府へ投影)。画面は、金融取引税:どちら側を選びますか? (天使)貧困と気候保護のために何とかしてください! (悪魔)銀行で聞いてください!  右はパリでのアクション。