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毎日新聞『余録』で国際連帯税、「富の再分配と投機抑制」で連帯を
2022.03.08
毎日新聞『余録』で国際連帯税、「富の再分配と投機抑制」で連帯を

昨日(3月7日)の毎日新聞朝刊一面のコラム『余録』にトービン税や国際連帯税の記述がなされ、上村雄彦横浜市大教授のコメントも載っています【注】。タイトルが「所得税の確定申告手続きがたけなわだ…」となっているので、見逃された方も多いと思います。以下、簡単にまとめます。

 

▲効果が見えやすい税のアイデアが生まれたのは、今から50年前の1972年だった。外国為替市場の取引に各国が共同で課税し、投機マネーの流入を抑えるものだ。…ノーベル賞を受賞した経済学者トービンが唱えた。

 

▲この案をベースにした「国際連帯税」構想がコロナ下で注目されている。株や為替などの取引に各国が課税し、税収を途上国支援に充てる。先進国の金融緩和でマネーゲームの様相が色濃くなった一方、途上国では貧困層の暮らしが悪化したためだ。

 

▲日本でも導入を求めて活動しているNGOがある。メンバーの横浜市立大教授、上村雄彦(うえむら・たけひこ)さん(56)は国連職員としてパキスタンの農村支援に携わった経験が忘れられない。…上村さんは「格差が広がる今こそ先進国は世界の富の再分配を主導すべきだ」と語る。

 

▲ロシアのウクライナ侵攻で原油価格が急騰し、途上国には物価高ものしかかる。世界が連帯する必要性は一段と高まっている

 

<原油価格急騰と投機マネー>

 

ところで、この原油価格の急騰ですが、本日1バレル140ドル近くまで急伸し、「2008年7月以来、約13年8カ月ぶりの高値を付け」(3月7日付日経新聞電子版)ました。その背景として欧米がロシアからの原油輸入の禁止を検討しているからとのことです。しかし、実際のところ投機マネーが少々の需給ひっ迫を最大限利用してどんどん原油先物市場に入り込んでいるからです。

 

かつて原油トレーダーでもあった豊島逸夫氏は次のように述べています。「市場が恐れていた事態が起こりつつある。百戦錬磨であるニューヨーク市場参加者の顔が昨晩は青ざめた。原油先物価格が1日で11%も暴騰し、もはや投機マネーの空中戦と化している」(3月2日付日経新聞電子版「核とスタグフレーション懸念の共振」豊島逸夫)。市場参加者が青ざめた3月1日のWTIでの原油先物価格は約109ドル。もはや原油先物市場は(小麦を含む他の国際商品も)ウクライナ危機を奇貨として投機筋のマネーゲームの修羅場(というより鉄火場)となっているのです。

 

マネーゲームを抑制するには、トービン税はじめさまざまな規制が必要となっています。他方そうした税制が実現されればばく大な税収をもたらします。これをコロナ・ワクチンほかの国際公共財のための資金調達として途上国支援を行うことができます。

 

【注】

(余録)所得税の確定申告手続きがたけなわだ…

https://mainichi.jp/articles/20220307/ddm/001/070/145000c 

 

J・トービン

経済学者のジェームズ・トービン(右)、岩井克人氏(左)と並ぶ宇沢弘文氏(1985年ころ、東京)
<2014年9月26日付 日経新聞電子版より>