(OECD)Global Outlook on Financing for Sustainable Development 2021
オミクロン株の登場で、コロナウイルスもエンデミック状態へと転化していくのではと期待されましたが、中国や北朝鮮でも感染拡大が見られ、パンデミック状況は収まりそうもありません。
そういう中で我が国をはじめ各国のグローバルヘルスについての資金的貢献や取り組みを強化してもらうため、昨日(5月13日)参議院議員会館会議室において、『コロナ時代のグローバル・ヘルス(国際保健)への日本の取り組みに関する緊急院内集会』が超党派の国会議員とともに開催されました。主催は同集会実行委員会(注1)で、議員による呼びかけは7党派のみなさんから行われました(注2)。
◎集会プログラムと国際連帯税と資金調達に関する報告
集会は、議員呼びかけを代表して武見敬三参議院議員が行い、その後基調報告を國井修・GHITファンド(グローバルヘルス技術振興基金)最高経営責任者が行いました。國井さんは、高所得国と中・低所得国との桁違いともいえる医療格差の実態を明らかにしつつ、今日のグローバルヘルスの課題について述べました(詳細は後日報告)。参加した国会議員との質疑も活発に行われました。
国会議員の質問に答える國井氏(右から2人目)
その後、市民社会から3人、政府から2人がコメントを寄せました(注3)。私(田中)も『グロ-バルヘルスと資金調達――方法論としての国際連帯税』と題して報告を行いました。その骨子は次のようなものです。
国際連帯税を報告する田中氏(右端)
◎国際連帯税報告の要旨
1)これまでSDGs達成のための資金ギャップは年間2.5兆ドルと言われてきたが、コロナ禍の発生でそれが4.2兆ドルと拡大した(OECD2021)。保健に限れば1兆ドル。
2)一方、公的な開発援助資金ODAはトータルで1789億ドルしかなく、保健すら賄えず。それでOECDは民間資金である金融資産378.9兆ドルに着目し、その1.1%を動員できればギャップは解消すると提言。
3)その民間資金(金融資産)を動員する方法として、①投融資によるやり方、②税制によるやり方という2つ。OECDは前者を提言しているが、私たちは後者の国際連帯税という方法を提案する。
4)国際連帯税の2つのスキーム。①新多国籍企業税、②外国為替(通貨)取引税だ。何よりも政治リーダーが国際会合で主張し、専門家をまきこみつつ、市民=世論がこれを支えること。そうすれば国際共同スキームとして、兆円単位の援助資金を創出することができる。
(注1)
参加団体(50音順):グローバル連帯税フォーラム、新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべての人に!連絡会、アジア太平洋資料センター(PARC)、アフリカ日本協議会、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、日本リザルツ
(注2)
自由民主党 衛藤征士郎 衆議院議員、武見 敬三 参議院議員
立憲民主党 西村智奈美 衆議院議員、田島麻衣子 参議院議員
公 明 党 古屋 範子 衆議院議員
日本維新の会 青柳 仁士 衆議院議員
国民民主党 古川 元久 衆議院議員
日本共産党 井上 哲士 参議院議員
社会民主党 福島 瑞穂 参議院議員
(注3)
田中徹二:グローバル連帯税フォーラム(開発資金等)
堀江由美子:セーブザチルドレンジャパン(保健システム等)
金杉詩子:国境なき医師団(公平な医薬品アクセス等)
赤堀 毅:外務省地球規模課題審議官
三村 淳:財務省国際局長