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11.7シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス
2015.08.31
11.7シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス

 

橘木写真_d

 

シンポジウムのご案内です。格差・不平等が世界でそして日本で拡大しています。昨年-今年と一大旋風を起こしたトマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」は、格差・不平等との闘いの理論的支柱を提起しています。ちょっと落ち着いたところで、あらためてピケティ理論を捉え返してみたいと思います。

 

基調報告は、日本の貧困・格差問題の第一人者である橘木俊詔先生に行っていただきます。また、パネルディスカッションでは各分野の第一線で活躍されている専門家の先生方が問題提起を行います。

 

また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。

 

世界と日本の格差・不平等を解消し、かつ世界的な貧困化・温暖化等の地球規模課題に対応していくために、そしてこれらに資する税制改革はいかにあるべきか、ともに考えていきましょう。

 

 

 シンポジウム:ピケティ「21世紀の資本」とグローバル・タックス         ~行き詰まる資本主義、日本の格差・貧困、国際課税への提言~

 

◎基調講演: 橘木俊詔 (京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)

テーマ:「『21世紀の資本』と世界的な資産税の可能性~日本の貧困・格差問題を踏まえて~」(仮題)

 

◎民間税制調査会:「民間税制調査会版税制大綱最終答申」の紹介
    三木義一(民間税調共同代表、青山学院大学教授)

 

◎パネルディスカッション:「グローバル・タックス、グローバル累進的資産税の可能性を探る」

・モデレーター: 三木義一(青山学院大学教授)

・パネリスト: 水野和夫(日本大学教授)「超バブル経済と資本主義の終焉」

        志賀 櫻(弁護士)「タックスヘイブン対策なくしてグローバル課税なし」

        上村雄彦(横浜市立大学教授)「グローバル連帯税と21世紀の資本」

       小西雅子(WWF気候変動・エネルギー・プロジェクト・    ーダー)。。。。。。。。。。。。。。。。。「気候変動とグローバル資金」

 

・日時11月7日(土)13:00~16:30(12:30開場)

・会場:青山学院大学9号館931教室

・定員:150名

・資料代:500円(学生は無料)

・申込み:お名前とご所属、「シンポジウム参加」と明記のうえ、Eメールまた

     はFAXでお申し込みください。

      Eメール:info@isl-forum.jp / Fax:03- 3834-2406

 

 

グローバル累進資産税はなぜ必要か?それは可能か? 日本の現場から、グローバル・タックスの可能性から考えてみる~日本の貧困・格差問題の第一人者を迎えて~

 

フランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21 世紀の資本』が世界的にベストセラーとなる中、今年初めに本人が来日し一大旋風をまきおこしました。同書ではグローバルな規模での富(所得)の格差を歴史的に証明するとともに、格差是正に向けての処方箋を提起しています。グローバルな累進資産課税がそれです。

 

ピケティ教授は次のように言う。20世紀の社会(福祉)国家と累進所得税は将来的にも中心的役割を果たすが、「民主主義が21世紀のグローバル化金融資本主義に対するコントロールを取り戻すためには、…資本(注:資産)に対する世界的な累進課税」が必要であり、「それをきわめて高水準の国際金融の透明性と組み合わせなければならない」(邦訳版 539P)、と。

 

つまり、教授は、第2次世界大戦での富の破壊や富裕層への課税強化により格差が縮小し、その傾向が1970年代まで続いたが、21世紀資本主義は再び格差を大きく拡大しつつある、と述べています(これは私たちにとって日々肌で確認するところです)。従って、このままでは民主主義体制を危うくし、ひいては資本主義そのものが立ち行かなくなるという危険性を警告するとともに、教授は税制を通しての資本主義規制を提案しています。

 

一方、途上国にあっては資金の不法流出が急速に増え続け、途上国へ供与された政府開発援助(ODA)の7倍の資金が途上国から流出しているという現実があります(2011年)。

 

とはいえ、資産に対する累進課税は、とくに金融資産への課税は容易ではない。やすやすと国境を越えてタックスヘイブンなどへと移り課税を回避することが可能であるからです。今や同地に秘匿されている金融資産は2010年の段階で少な目に見積って21兆~32兆ドル(約2500兆~3800兆円)に達しています。

  

ところで、日本の格差問題は、米国型の富裕層への所得と資産の集中、つまり「1%対99%」型というよりは、「貧困者や資産ゼロの人々の存在」に負っているというのが橘木教授の所論です。「OECD諸国の中では日本は15%を超す貧困率であり、主要先進国の中ではアメリカに次ぐ第二位の貧困率の高さである」(「トマ・ピケティ著『21世紀の資本』の衝撃」現代思想1月増刊号)。貧困化する高齢者(生活保護世帯の半分を占める)や一人親世帯、そして非正規労働者の増大等、日本では低所得の分厚い層が岩盤のように存在しています。

 

本シンポジウムでは、日本での貧困・格差問題を踏まえつつ、国際課税(気候変動や貧困問題等の地球規模課題の財源としても使用するためのグローバル・タックス)について理解を深め、同時にピケティ教授が提起した「グローバル累進資産課税」の可能性を展望していきます。

 

また民間税制調査会より「民間税制調査会版税制大綱最終答申」も併せて紹介します。

 

 共 催:グローバル連帯税フォーラム/民間税制調査会

 協 賛:(特活)日本リザルツ

 

<橘木俊詔(たちばなき としあき)教授プロフィール>

1943年、兵庫県生まれ。専門は労働経済学、公共経済学。京都大学経済学博士(1998年)。小樽商科大学商学部卒業、大阪大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.取得)。仏米英独にて研究職・教育職、京都大学経済研究所教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員、日本経済学会会長、同志社大学経済学部教授を経て現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。『日本の経済格差』(岩波新書、エコノミスト賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、石橋湛山賞)、『格差社会』(岩波新書)、『学歴入門』(河出書房新社)、『夫婦格差社会』(共著、中公新書)、『「幸せ」の経済学』(岩波現代全書)など。

 

◆写真は、橘木教授です