ライブラリー目次
国際連帯税フォーラムが推薦する金融取引税(通貨取引税)や国際連帯税の諸論文集です。「5、環境・貧困・格差に立ち向かう国際連帯税の実現をめざして」以外は英語で書かれていますが、それらはすべて邦訳しています。
<もくじ>
1、次の段階へ―通貨取引開発税の実施
Taking the Next Step – Implementing a Currency Transaction Development Levy
デービッド・ヒルマン、ソニー・カプーア、ステファン・スプラット、2006年12月
英国のNGO、Stamp Out Povertyのメンバーによって書かれたこの報告書は、開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループの第3回国際会議を主催するノルウェー外務省に委嘱されたものである。同国際会議は2007年2月にオスロで行われた。この報告書で通貨取引開発税(CTDL: Currency Transaction Development Levy)が提案された。第2章~第4章を翻訳してある。
2、通貨取引税:税率および税収の見積
The Currency Transaction Tax:Rate and Revenue Estimates
ロドニー・シュミット、2007年10月
この小論において、経済学者のロドニー・シュミットは0.005%の通貨取引税を提案している。このレートは「多くの資金を得るには十分高いが、市場歪曲の避けるのは十分低い」とシュミットは言う。またこの通貨取引税が一国・一地域単独で単一の主要通貨に課税される場合(ドル、ユーロ、円、ポンド)と、これらのうち複数の通貨に協調して課税される場合の税収を見積る。
3、モンテレイ精神の維持 開発資金アジェンダと未完事項
Upholding the Spirit of Monterrey
The Financing for Development agenda and its Unfinished Business
CIDSE(開発と連帯のための国際協力)政策文書、2008年6月
カトリック教会の開発団体のネットワークであるCIDSEは、効果的な参加とパートナーシップに基づいた完全に包含的で公正な万人のための世界的開発というモンテレイの目標を共有し、ドーハ・レビュー会議に対するCIDSEの結論および提案を示す政策文書である。
4、連帯のグローバル化:金融課税のための論拠
「国際的な金融取引と開発に関するタスクフォース」専門家委員会報告書
Globalizing solidarity: The Case for Financial Levies
Report of the Committee of Experts to the Taskforce on International Financial Transactions and Development
開発のための革新的資金メカニズムに関するリーディング・グループ、2010年
この報告書は、米国、英国、フランス、ドイツと日本を含む9カ国からの専門家委員会によって書かれたもの。金融セクターからのより大きな税収を得るために5つの異なるオプションを評価しつつ、通貨取引に課税することが国際的な開発と気候変動への解決のために資金提供を促進する最良の方法であると結論する。ここでは、第3章の「革新的資金調達オプションの評価」の「3.5 中央で徴収する多通貨取引税(中央徴収型多通貨取引税)」について翻訳している。
5、環境・貧困・格差に立ち向かう国際連帯税の実現をめざして
―地球規模課題に対する新しい政策提言―
国際連帯税推進協議会(寺島委員会)最終報告書、2010 年9 月
国際連帯税推進協議会(通称、寺島委員会)は、国際連帯税、とりわけ通貨取引税の内容
と方法、税収の使途、ガヴァナンスを検討し、日本からその実現の道を切り開いていくこと
を目的として、国際連帯税創設を求める議員連盟(2008 年2 月設立)との密接な連携のも
と、2009 年4 月に創設された。委員は、この分野に関心をもつ研究者、NGO、国会議員、
労働組合、金融業界によって構成され、外務省、財務省、環境省、世界銀行がオブザーバー
として参加した。協議会はこれまでに10 回開催され、2009 年末に中間報告書を作成し、それをふまえて今回の最終報告書が完成した。
6、IMF中間報告書 金融取引への課税:実務上の実現可能性の評価
IMF Working Paper
Taxing Financial Transactions:An Assessment of Administrative Feasibility
John D. Brondolo - IMF中間報告書、2011年8月
本文書は、様々な金融商品に対する金融取引税(FTT)徴収の管理実現可能性を検討するものである。現在このテーマには、政治家、市民社会組織、学者が多大な関心を寄せているとともに、金融セクターへの課税の様々な選択肢に対する政策・管理メリットに議論が集中している。本文書では、管理実行可能性の問題、つまり広い基盤を持つFTTが管理可能であるか、またそれをどのように行うかという点にのみ焦点を合わせている。ここではFTT全般の分析のうち「IV. 外国為替商品」の部分を邦訳している。
7、金融取引税の共通制度および指令2008/7/ECの修正に関する理事会指令案
Proposal for a
COUNCIL DIRECTIVE
on a common system of financial transaction tax and amending Directive 2008/7/EC
欧州委員会、2011年9月28日
欧州委員会は、欧州連合(EU)の加盟27カ国で金融取引税を導入する法案を提出。取引に関わる機関のうち少なくとも1機関がEU域内に拠点を置いている場合課税対象となり、株と債券の取引については0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引には0.01%の税率が課せられる。これにより、年間約570億ユーロの税収が見込まれる。欧州委員会は、同税の2014年1月1日導入を提案している。
8、金融取引税を巡る12の誤解
Financial Transaction Tax: Myth-Busting
Stamp Out Poverty 編、2012年3月
国際的に見ても金融取引税(FTT)への支持が広がっているのに、反対論者たちはいまだにFTTが経済に与える影響に関する「神話」を広めようとしている。だが、こうした「神話」は事実無根だ。この論文の目的は、こうした「神話」を一掃することである。