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国際連帯税adv.‐t:金子宏東京大学名誉教授のごあいさつ
2019.03.18
国際連帯税adv.‐t:金子宏東京大学名誉教授のごあいさつ

金子先生

 

2月25日「国際連帯税アドバイザリーチーム」立ち上げ会合に、昨年文化勲章を受章された金子宏東京大学名誉教授も駆けつけてくださり、参加者を激励しました。その時の先生の「ごあいさつ」を紹介します。

 

 

             【金子宏先生のごあいさつ】

 

ただ今ご紹介いただきました、金子でございます。予定の時間を過ぎて、遅れて参上いたしまして、大変失礼いたしました。ここに、先輩であり長年の友人である津島雄二さん(注:元自民党税調会長で国際連帯税創設を求める議員連盟の初代会長)がご一緒してくれました。昨年文化勲章を拝受いたしまして、非常に光栄なことと存じております。これは、租税法という法律、これは他の分野と比べると新しい分野でございますけれども、その分野の理論と体系を構築したということで、拝受いたしました。本当に光栄なことと存じております。

 

それから、今ご紹介がありました、国際連帯税に関しまして、私は国際人道税と呼んでおりますが、どちらも国際航空運賃に課税をするという点では共通でございます。1998年に日本の雑誌に国際人道税という名称で国際航空運賃に課税したらどうかという提案を含んだエッセイを書きました。そして、たまたま日本に来ておられたハーバード大学のロースクールのオールドマン先生に、こういうものを書いたと話しました。すると、国際航空運賃に課税するという提案は、まだ誰もしていないから、是非とも英語で発表するようにということで、早速アメリカのインターナショナル・タクゼーションに関する雑誌に掲載する手はずを整えてくださいました。私の拙い英語で英訳しましたが、オールドマン先生の弟子で、私の長年の知り合いのラムザイヤー教授が私の英語を見て、必要な訂正を施してくれて、ラムザイヤーさんが翻訳したくれたところ、見違えるほど内容が良くなりました。そして、それがアメリカの雑誌に載りました。

 

2006年でしたか、2000年代に入ってから、フランスの旧植民地の色々な人道問題を援助しているNGOを通じて、シラクさん(注:当時のジャック・シラク仏大統領)に対して強力に国際人道税を導入して、国際航空運賃に課税をすべきだと、そしてフランスの旧植民地においてマラリア根絶などの費用に充てる為に導入したらどうかと働きかけをしたようであります。シラクさんは最初反対しておりましたけれども、説得の結果導入されたようでありますが、フランスで導入されたものが、フランスの旧植民地に使うということで、UNICEFなど国際組織に寄付をするという私の提案とは違い、フランス政府の手で使うということになったようです。その後、いくつかの国と連帯して、共同で色々な事業に使っているようであります(注:UNITAID・国際医薬品購入ファシリティという国際機関を設立し、途上国の感染症対策のための医薬品等の購入を行う)。

 

私は、国際航空運賃というのはどこの国も消費税をかけることができないという理由で、つまり国外の消費でありますから、消費税の対象にならないためどこの国も課税してこなかったのでありますけれども、色々な宗教対立とか人種間の紛争とか、それによって子ども達が悲惨な目に遭っているという状況に照らして、今までどこの国も課税できないとして課税してこなかった国際航空運賃に課税をして、その税収をUNICEFに寄付して、UNICEFの手で色々な国でひどい目に遭っている子ども達の救済に充てたらどうかと考えた訳であります。

 

いくつかの国で、シラクさんが採用した国際連帯税という制度を採用している訳ですけれども、先ほど申しましたように、私の提案とは徴収した国が使うのか、それを国際組織に寄付をして国際組織の手で色々な、例えば国境なき医師団とか、国際的な活躍をしている、経験のある組織にお金を出してそしてそれを子ども達の救済に充ててもらうのかという違いがあるわけでありますけれども、私は今の国際連帯税がやがて税収を各国が使うのではなく、国際組織に使ってもらうというようになっていくといいなと考えています。

 

ですから、国際連帯税と国際人道税は決して違うものではなくて、私が同種の租税が将来的には徐々に国際人道税に発展してゆくことを期待している訳であります。国際連帯税に反対するわけではなく、むしろその発展に少しでもお役に立つことができればというふうに思っている次第でございます。歳を取ってしまいましたけれども、できる限りでご協力をしていきたいと思っております。ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(大きな拍手)

 

★遅ればせながらお祝いの色紙を手交させていただきました。