ローマ法王、気候変動問題に関する回勅を公表(6月18日)

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先に「米国からウェビナーのお誘い」という記事を国際連帯税メーリングリストに流しましたが(下記参照)、そこで話題となっていたローマ法王の回状(encyclical 正しくは回勅)が昨日公表されました。で、この回勅ですが、「カトリック教会の公書のひとつ。ローマ教皇から全世界のカトリック教会の司教へあてられるかたちで書かれる文書で、道徳や教えの問題についての教皇の立場を示すものである…」(Wikipediaより)とのこと。

 

ともあれ、気候変動=地球温暖化問題を何とか前進させようとする世界の指導者やNGOにとっては、たいへん心強い声明となったと思います。以下、マスコミ記事で貧困(国)に焦点を当てているところをピックアップしてみました。

 

【毎日新聞】ローマ法王:環境問題で初の「回勅」迅速な温暖化対策促す

 

…また、法王は「富裕国の大量消費で引き起こされた温暖化のしわ寄せを、気温上昇や干ばつに苦しむアフリカなどの貧困地域が受けている」として先進国市民に「使い捨て」の生活様式を改めるよう要請。「回勅」にはカトリック史上初の中南米(アルゼンチン)出身法王として、社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」路線が反映されている。…

 

【朝日新聞】ローマ法王、地球温暖化に警鐘 公文書で呼びかけ

 

…法王は、道徳や教義への法王の立場を示す公文書「回勅」の中で、「数々の科学研究が、ここ数十年の地球温暖化の原因は主に人間活動の結果排出される温室効果ガスの濃縮によるものだと示している」と指摘。温室効果ガスを排出し続けて経済成長を遂げた先進国が、貧困の克服や社会の発展を目指す途上国の温暖化対策に技術などで協力するよう呼びかけた。…

 

【wsj】ローマ法王、迅速な地球温暖化対策を訴え

 

…法王はまた、政治的・経済的な強い関心が貧困層や次世代を犠牲にして地球を略奪していると強く非難した。…

 

◆写真左はフランシスコ法王、中は聖フランシスコ教会のあるアッシジ(2008年撮影)

 

 

●国際連帯税メーリングリスト(6月15日付)より

 

米国地球の友のKaren Orensteinより、以下のような招待メールが来ていましたので紹介します。タイトルは、『ウェビナー:気候変動事項に関して―パリ、ヴァチカンそしてウォールストリート税』。

 

このウェビナーとはオンラインセミナーのことのようですが、タイトルにヴァチカンが入っていましたので、気候変動や金融取引税とヴァチカンがどう関係しているのかなど、ちょっと関心がありましたので見てみました。

 

まず原文(下記参照)の“Why”でセミナーの目的が書かれています。以下、訳してみました。

 

…………………………
【翻訳】
貧困国は、これまでも人間としての要件―基礎的な保健サービスや初等学校教育の提供のような―を満たすための資金に苦労しているが、現在、気候変動に起因する異常気象対策に莫大な費用をかけなければならないことに直面しています。

 

気候危機を引き起こすことへの責任ほとんどを負ってないにもかかわらず 、彼らは命と生活を失うことによりそれの支払いをしています 。

 

世界はフランシスコ法王の気候変動に関する回勅を待っており、この12月のパリでの国連サミットでグローバルな気候に関する合意を得る方向にある時、金融取引への小さな税率の課税を行う方法を学ぶウェビナーにどうぞ参加してください。一般的にはロビンフッド税/ウォールストリート税として知られていますが、途上国が気候変動に対処するために必要な資金を提供できます。
<ここまで>
…………………………

 

しかし、なぜフランシスコ法王(ヴァチカン)の名前が出てくるのか、まだ分かりませんでしたが、ずっと下のスピーカーや主催者を見て納得。その中に、Maryknoll Office for Global Concernsとありますが、直訳すると世界的関心のためのメリノール事務所となりますが、この団体は米国のカソリック系教会であるMaryknoll FathersのNGO部門ですね。

 

いずれにせよこのウェビナーは、国際環境NGO、宗教団体NGO、労働組合、シンクタンク、与党民主党の国会議員事務所等の共催で行われるようです(それに仏の環境団体、英のいつもおなじみのデービット・ヒルマン)。米国の運動のダイナミズムが伝わってきます。これに参加したい人は以下の要項でお願いします。

 

◎日時:6月17日(米国)東部夏時間正午

◎連絡:ウェビナー参加希望者は、korenstein@foe.org まで連絡のこと

 

《原文》

You’re invited!

 

What: Webinar -Connecting the climate change dots – Paris, the Vatican and taxing Wall Street

 

When: Wednesday, June 17, noon EDT (9 AM Pacific)

 

Why: Impoverished countries, already struggling to fund unmet human needs — like providing basic health services and primary school education — now also face the enormously expensive fallout of extreme weather caused by climate change. Though bearing little-to-no responsibility for causing the climate crisis, they are already paying for it in lives and livelihoods lost.

 

As the world awaits Pope Francis’s encyclical on climate change and heads toward a global climate agreement at the UN summit in Paris this December, please join us for a webinar to learn how a tiny tax on financial transactions ? popularly known as the Robin Hood Tax/Wall Street Tax — could provide the money developing countries need to address climate change.

 

Speakers:

 

Bill Gallagher, National Nurses United
David Hillman, Stamp Out Poverty (UK)
Alix Mazounie, Climate Action Network France
Chloe Schwabe, Maryknoll Office for Global Concerns
Carol Wayman, Office of Congressman Keith Ellison

 

The webinar will cover:

・The basics ? The “what” and “how” of the financial transactions tax (FTT)

・Trailblazing trends in Europe – How 11 nations are leading the way with the establishment of a the world’s first regional FTT

・U.S. hope – Exciting initiatives in the U.S. Congress

・The climate connection ? What does the FTT have to do with climate change and the major Paris climate summit

 

The webinar will take place via Go-To-Meeting. Please RSVP to korenstein@foe.org  and we will send you a link to join the webinar. (If you’ve already RSVP’d, no need to do so again. We’ll be sending the link out this Thursday, June 11.)

 

Sponsored by Friends of the Earth US, Institute for Policy Studies, and Maryknoll Office for Global Concerns.

 

Karen Orenstein <KOrenstein@foe.org>

【ご案内】6.14民間税調第4回シンポジウム「所得税を考える」

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三木義一青山学院大学教授と水野和夫日本大学教授が共同を代表を務める民間税制調査会の第4回シンポジウムのご案内です。

 

     第4回民間税調シンポジウム「所得税を考える」

 

   ・日 時:6月14日(日曜日)午後1時から~4時半頃まで

   ・会 場:青山学院大学7号館720号教室

        (東京都渋谷区渋谷4-4-25) キャンパスマップ    

   ・申込み:次のアドレスにお名前、所属をお書きの上申込みください。

         yoshimikimiki@gmail.com

   ・参加費:無料

 

日本の大多数のサラリーマン(労働者)の所得税は、“源泉徴収と年末調整”という仕組みとなっており、ほとんど何も考える暇もなく税が徴収されてしまいます。ここから日本人の税制への無関心が形成されてきました。逆に言えば、財務省が巧妙な(モノ言わせぬ)納税システムを作った結果でもあります。日本の所得税について根本的に考えてみましょう(累進課税も含め)。

 

今回、以下の論点を中心に議論するとのことです。

 

1 税率構造

2 所得分類

3 課税単位

4 所得控除か税額控除か

5 年末調整

 

◆写真は、4月26日に開催された前回のシンポジウムの模様です(会場は政策研究大学院大学)