文化勲章受章者、金子宏先生と国際連帯税>途上国の苦しんでいる子どもたちへの思いが

金子宏

      金子宏先生、文化勲章受章おめでとうございます!

 

今年度文化勲章を受章した金子宏先生(東京大学名誉教授)は、私たちの国際連帯税活動をずっと“熱く”支援してくれています。先生と国際連帯税との繋がりをふり返ってみました。

 

実は金子先生には、これまで2度実際に講演等を行ってくれています。そもそもどうして私たちが金子先生を知ったのかと言いますと、2006年8月3日のことですが、日本経済新聞のコラム経済教室に「人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で」と題した論考が載ったことが契機でした(下記参照)。「あっ、何と租税法のオーソリティーが連帯税を提唱している」とたいへん驚き、それで先生に連絡を取ったのでした。

 

この頃はまだ国際連帯税議員連盟もなく、また外務省や財務省に行ってもまともに相手にされず、国際連帯税はNGOや研究者の活動に留まっていました。ですから、これだけのオーソリティーがほぼ連帯税の考え方と同じ人道税を提唱したことに大いに鼓舞されたことを覚えています。

 

ともあれ第1回目の講演は、2007年1月12日にグローバル・タックス研究会(*)の場で行っていただきました。そのもようはこちらご覧ください(なお、講演内容はオルタモンドのWebサイトを通してPDF化していましたが、このWebがなくなったため消えてしまいました、残念)。
 

(*)同研究会は、NGOオルタモンドと当時上村先生が赴任していた千葉大地球福祉研究センターが中心となって行われたものです。

 

第2回目の講演は、2008年11月22日に開催した「『国際連帯税』東京シンポジウム2008」の 「専門家会合」で“各連帯税・資金メカニズムに関する提言”セッションで行っていただきました。

 

また、講演のほかに、2009年10月には「国際航空券税(国際人道税)等国際課税の問題について」と題するIMF財政局税制担当課長との公開会談を行っています。ここで先生は、先の日経記事の内容をさらに深めています。

 

そして先生の連帯税に関するもっとも大きな仕事は、2010年9月政府税制調査会の専門家委員会 に設置された国際課税小委員会の第1回目に特別報告を行ったことです。この小委員会の設置については、当時の政府税制調査会を仕切っていた峰崎直樹財務副大臣の並みならぬ努力があったと聞いています。

 

先生の政府税制調査会に提出された資料はここから見ることができます。その中に日経新聞に載った「人道支援の税制創設を 国際運輸に定率で」も入っています。
 

この年は、日本政府が革新的資金調達に関するリーディング・グループ(国際連帯税等を推進したい各国政府の集まり)の議長国になり東京で大規模な総会が開催され、また政府税調でも国際連帯税をメインのひとつとした国際課税小委員会が設置され議論するなど、もっとも連帯税実現に近づいた年でした。しかし、同年ナショナル・フラッグであった日本航空(JAL)が倒産し、また全日空(ANA)も空前の赤字に転落するなど、航空業界を取り巻く経済状況が最悪という状況でした。こうした状況もあり、国際連帯税の第一弾となる(はずの)航空券連帯税は、結果として見送られてしまいました。

 

ところで、金子先生は1930年11月生まれですので、この年ちょうど80歳となられました。その後は外での講演などは控えられましたが、私たちは日本リザルツの白須代表がことあるごとに先生に連絡し、助言をいただいていました。そしてみなさんもご存じのように、本年7月26日開催した「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」にも激励のコメントを寄せてくださりました。

 

以上から分かりますように、金子先生は租税法のオーソリティーでありますが、決して学問や法解釈の世界に閉じこもっていたのではありません。途上国の紛争や貧困・飢餓、とくに子供たちの苦しみに胸を痛め、その救援のための方法として税制の面からアプローチを試みたという点で、まさに実践家でもありました。門下生はもとより先生の教えに学んだ学生は数知れず、そしてかなりの人が政財官の中枢を担っていると思いますが、ぜひとも先生の国際人道税構想を忘れてほしくないと思います。

 

最後に金子先生の教えです。「国際航空旅行は国外における消費行為であるから、国家の課税権はこれに及ばないのではないか、という批判がありうるが、国際航空券税は、 国際社会が課税権をもっている消費行為に対して、国際社会がまだ徴税機構を持つほどに組織化されていないため、各国家が国際社会に代わって徴収し その税収を国際機関に転送する仕組みであると考えるのが、グローバリゼーションの時代に適合しているといえる」(「人道支援の税制創設を」)。しかし、今次の国際観光旅客税は日本が(勝手に)自分たちだけのために使っているという点で、本来国際社会の税収とすべきものに対する課税権の越権行為と言えましょう。

【速報】河野外相、「P4Gコペンハーゲン・サミット2018」で国際連帯税を訴える

河野外相コペ

 

10月20日午前(日本時間同日午後)、河野太郎外務大臣は、ラスムセン・デンマーク首相主催「P4Gコペンハーゲン・サミット2018」に出席し,「持続可能な未来に向けたグローバルリーダーシップ」セッションにおいてスピーチを行いましたが、そのもようを本日の8時45分からのNHKテレビが報道しました。Webサイトに載っていますのでご覧ください。

 

「P4Gコペンハーゲン・サミット2018」とは【=外務省解説】:
 P4G(Partnering for Green Growth and the Global Goals 2030)は,環境に優しい経済成長とSDGs実現のため,官民連携強化を目的として2018年に設立されたネットワーク。今回のサミットには,P4Gメンバー国であるデンマーク,オランダ,ベトナム,韓国,バングラデシュ,エチオピアの他,世界経済フォーラム(WEF)等経済界の要人が出席。

 

【NHK】河野外相 途上国貧困対策で為替取引への課税導入を(⇒動画あり)

デンマークを訪れている河野外務大臣は、環境問題や経済成長について話し合う国際会議で講演し、為替取引などに課税して、その税収で途上国の貧困対策などの資金をまかなう「国際連帯税」の導入を検討すべきだと訴えました。

 

この中で、河野外務大臣は、2030年までに世界から貧困や格差などをなくそうという国連の目標を達成するには、世界で毎年2兆5000億ドルの資金が不足していて、先進国によるODA=政府開発援助などではまかなえないと指摘しました。

 

そのうえで「グローバリゼーションの恩恵を受けている人たちから税金を徴収して、人道支援を行う国際機関に直接渡す『国際連帯税』は長期的な解決策の1つだ。為替取引に税をかければ非常に低い税率でも資金調達のギャップをたやすく埋めることができる」と述べ、「国際連帯税」の導入を国際社会として検討すべきだと訴えました。

【ご案内】10.26上村雄彦先生の国際連帯税ほか欧州研究報告

●定員一杯になりましたので、受付を締め切らせていただきます。またの機会をご利用ください。(10月16日)

 

(特活)日本リザルツが毎年開催しているサンキューセミナーですが、今回は1年間の欧州サバティカルを送ってきた上村雄彦・横浜市大教授による報告セミナーです。また、外務省地球規模課題総括課の甲木浩太郎課長からの報告も併せて行います。ふるってご参加ください(協力:グローバル連帯税フォーラム)。

 

◆◇サンキューセミナー:
1)欧州での研究を終えた上村雄彦先生が「国際連帯税と欧州の今」を語る
2)外務省の国際連帯税の取組みを甲木浩太郎課長が語る

 

◎日 時:10月26日(金)午後7時15分~9時

◎会 場:日本リザルツ会議室
     住所:東京都千代田区霞が関3-6-14 三久ビル503
     アクセス:千代田線・丸ノ内線「国会議事堂前駅」より徒歩5分   
◎申込み:フォーム https://bit.ly/2CsZhmQ から申込みください。
◎お話し:上村雄彦・横浜市立大学教授、甲木浩太郎・外務省地球規模課題総括課長
◎定 員:60人、定員に達し次第締め切らせていただきます。
※軽食を用意しますので、食べながらお話をお聞きください。

 

<呼びかけ>
1年間のサバティカル(在外研究)を送った横浜市立大学の上村雄彦先生が先月帰国されました。研究の拠点はフィンランドでヘルシンキ大学客員教授も務められました。上村先生は、ご承知のように、グローバル・タックスやグローバル・ガバナンスの第一人者です。在欧州中にも「出国税と国際連帯税」について日本
のマスコミ等を通して発言されてきました。

 

一方、河野太郎外務大臣は5月のG20外務相会合の場で、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に必要な資金を確保するため国際連帯税の推進を各国に呼びかけました。また、外務省も19年度税制改正として国際連帯税を要望しました。

 

このように今や国際連帯税はSDGs達成のため、途上国支援のための重要な資金調達ツールとなっており、日本での、そして国際社会での実施が大いに期待されています。

 

今回のセミナーでは、まず上村先生から「国際連帯税と欧州の今」と題して、あらためて在外(欧州)研究生活の中から国際連帯税をとらえ返し、その意義について語っていただきます。

 

続いて、外務省地球規模課題総括課の甲木浩太郎課長から、9月の国連総会関連のハイレベルイベント「新興する課題と変化するパラダイム:開発のための国際協力の新たな視点」での河野大臣発言について、また19年度税制改正での外務省要望について語っていただきます。

 

★写真は、上村先生が特任教授を務めたヘルシンキ大学

米の人気歌手T・スウィフト民主党支持を表明>中間選挙の行方は?

世界的なポップスターのテイラー・スウィフトさんが、これまでの沈黙を破り民主党支持を表明したとのことで、SNS含めメディアでたいへんな話題となっているようです。何しろインスタグラムのフォロアーが1億人以上ですから無理もありません(国際連帯税親善大使とかになってくれないかなぁ)。

 

【ロイター】米歌手T・スウィフトが民主支持表明、政治に関する沈黙破る
【NHK】テイラー・スウィフトさん「政治的沈黙破る」民主支持を表明 ⇒動画あり

 

来月の米国の中間選挙ですが、通常同選挙は大統領選挙と違ってあまり注目されてきませんでした。しかし、今回の選挙は米国のみならず、貿易問題や気候変動等の国際条約関係に多大な影響を与えることになるということで、世界的にも大いに注目されています。

 

これまでの中間選挙の予想は、下院選挙で民主党が過半数を取りそうな勢いだが、上院の方は難しい、というのが一般的な見方のようです。その中で、米国政治に精通している双日総合研究所の吉崎達彦氏が溜池通信に『米中間選挙の投票日 1 か月前情勢』と題して分析しています。その分析が面白いのは、「民主党の①Wave(小勝ち)、②Flood(大勝ち)、③Tsunami(ボロ勝ち)という3段階」のシナリオを提示していることです。

 

■『米中間選挙の投票日 1 か月前情勢』 

テイラー・スウィフトさんの民主党支持声明が、民主党のTsunami(ボロ勝ち)に繋がっていくか、楽しみですね。

 

続 報

 

【ロイター】米中間選挙、テイラー・スウィフトの投票呼びかけでオンライン登録急増

…スウィフトさんのインスタグラムのフォロワーは1億1200万人。ツイッターのフォロワーは8400万人。ネットへの投稿で有名人が何百万人ものファンに影響を及ぼすことができるということがあらためて浮き彫りになった。